かつて見世物小屋というものがあった。
二十一世紀も四半世紀過ぎた現代社会においては信じられないかも知れないが、『畸形の人間を見世物にして、さらし者にする』事が興業として半ば公然と行われていた時代があった。
おおいたち、これは掴みの冗談だが、蛇を喰らう蛇女、怪力小人に空気女、毛女に骸骨男……江戸川乱歩の世界がそこには存在していたという。
私自身は寺山修司の『田園に死す』のサーカスぐらいでしか知らないのだが、実在はしていた。
そこに居るのは、すべて人間の筈だった――主人公が出会ったのは蛇の鱗に分かれた舌を持つ檻に閉じ込められた美女。
「鍵を開けてくれりゃしないかね」
それは果たして『拐かし』だったのだろうか――すべてはもう、解らない。