第3話 僕でも
その後も何人か小6と中3と面談をして、みんなの大体の志望校がわかってきた。いよいよ小6の中で最後の子がやってきた。
「こんにちは。この塾はどう?」
「あ、はい。楽しいです。」
こんな会話から始まって、志望校や困っていることを聞いていく。
「今どんな中学校に行きたいと思ってる?」
「うーん、僕はこのまま公立でもいいと思ってます。今の友達と離れたくないし。でも、僕でも行ける私立とかあったら教えて欲しいです。」
"僕でも"。この言葉、みんな言うよなぁ。もっと自信持っていいのに。
「もちろん、あるよ。中学校で何したい?」
「サッカーしたいです。でも、そんな強いところとかじゃなくて、楽しくやって大会にも出ているところ。」
「わかった。明後日また授業あるよね?その時に30分くらい早く来られるかな?」
「はい。ありがとうございます。」
俺はこういうふうに少しでも生徒自身が行きたいと思える学校に出会えるようにサポートしている。それにしても、僕でも、と言っていたが、私立中って色々な個性を持った人が行くから大勢の人が自分に合う学校を見つけられるんじゃないかな。
小6の面談を終えて、俺は志望校の情報を他の先生達と共有した。まだ志望校が決まってない生徒にはこちらからいくつか提案をすることになった。そして、もう一つ今回の職員会議で上がったのが、細かくクラス分けをするということだ。当然今よりも俺たちは忙しくなるが、一つのクラスに学力差がかなりある生徒がいたら、上位の生徒には遅く、成績が振るわない生徒にとっては授業が速く感じられてしまう。この制度はチラシを作って、夏休みから始めることにした。
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