第2話 面談で

疲れ切った1日となった。俺たちは休む間もなく授業をした。学校が違う生徒もいたが、みんな楽しくやっていそうだ。そういうふうに毎日を過ごしていたら、あっという間に一ヶ月が経ち、入試本番まで一年を切っていた。無料期間が終わり、無事9割の生徒が正式に入塾することとなった。俺は今までの大手塾での経験を生かして、生徒に寄り添っているつもりだ。


一週間経ち、俺たちは受験生を優先して生徒との面談を始めた。俺はきちんと対応できるか不安だった。


一人目は中三の女子だった。空き教室に移動して話をした。彼女は元々近くの個別指導塾に在籍していたが、合わないと感じて転塾してきた。そこでの講師は熱血というよりもあっさりと教えることを教えて質問にも答えてもらえなかったらしい。それで、彼女の模試での偏差値は伸び悩んでいた。元々内申はよく、基礎はしっかりできていたが、応用問題で点を落とすようだ。

「先生、どうすれば志望校のA学院附属に受かりますか?」

そう聞いてきた。偏差値65越えの難関校だ。正直、今の学力の伸びだと厳しい。だけど、俺は、

「今から本気でやれ。1日最低3時間。もちろん目標10時間だ。もちろん授業以外で、だ。ただこれだけは言っておく。睡眠は七時間とれ。俺はこれで失敗してる。」

「どうしたんですか?」

「中学受験の時に俺は無理をして毎日3時間しか寝ていなかった。その状態で学校に行くわけだから、当然授業中は眠くなる。当然学校の成績は下がって、それに模試の偏差値も10ぐらい下がった。俺はそのあとは睡眠をきちんととりながら、がむしゃらにやったけど無理だった。」

「。。。わかりました。今日から絶対本気でやります。」

「毎日自習室に来い。昨日何時間やったか聞いてやる。このスケジュール表を使って頑張ってみろ。全力でサポートするから。」

「はい!」

やる気になってくれたようでよかった。

俺は、今の自分は生徒のみんなをサポートするためにいると思う。自分はどうなってもいい。この子達の夢を叶える手伝いをしたい。

その一心でやっている。

「よし、次の子はどうかな?」

俺は気合を入れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る