塾をつくって好き勝手やってみたら。

@yuki_yamanoue

第1話 念願の夢

俺は五十嵐いがらし 那央なお。あの有名なW大学の卒業生だ。小さい時から将来の夢は変わらない。ずっと塾をつくりたいと思っている。俺は中学受験で失敗し、リベンジを果たすため、中学時代も塾に通った。高校では無事志望校に合格し、大学受験のためにまた塾に通った。塾の先生には感謝してもしきれないと思う。ただ、俺は3つの塾に通ったことでそれぞれの長所と短所に気がついた。それで、幼稚園の頃から先生になりたいと思っていた俺は塾の先生になることにした。それを目指して教育学部に在籍し、教育についてたくさん学んだ。


そして、卒業した時に思いきって起業した。学生時代に塾や家庭教師のアルバイトをして貯めたお金を資金として、塾をつくった。俺は当初、小さな個人塾から始めようとも思ったが、それでは多くの生徒を合格させるという理念に反すると思い、起業して同じ塾で働いていた友人らとともに塾をつくることにした。幸い彼らも同じ夢を持っていたので起業もうまくいった。


そして俺らはM-NEXTという塾をつくった。学びを次に繋げる、という思いが込められている。みんなで集めた資金で都心からやや外れたところのビルの2階を借り、手続きや改装を済ませた。ブース型の自習室や防音の教室にして、掲示板もつくった。


オープンに向けて、半年くらいの準備期間があり、近隣住民にチラシを配ったり、ホームページを作ったりした。地元でもあったので生徒集めもすごい順調だった。小学生が10人、中学生が30人、高校生が20人。最初の月は無料期間にしたので、どれくらいの人数残るかはわからないけど。


俺らは担当する教科を決めた。俺は小学生と中学生の英語・理科・数学を担当する。少し多いが、先生が少ないので仕方ない。しばらくブラック企業かな。友達の夕斗ゆうとは中高生の文系科目、海瑠かいるは高校生の理系科目、そして副業として講師をしてくれる楽杜らくとは小学生の国語と社会だ。俺のわがままに付き合ってまだ不安定な塾経営で社員になってくれていて、本当に感謝しかない。


いよいよ明日から開講だ。初日はどうなるかなぁ。

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