追想2 “I remember the PROMISE, and…”
「全てが朽ちて枯れる時、それを絶望と呼ぶように」
「全てが生まれ変わる時、それを希望と呼ぶように」
「生きとし生けるもの、全てを唄う死のように」
「生きとし生けるもの、全てを廻る血のように」
「生きとし生けるもの、貴方に宿る印のように」
ねえ。
わかっているの。
あたしの、いや、私の言葉は、あなたには届かないってこと。
同じように、貴方の言葉もきっと、間に合わないってこと。
だって、私の命は、もう。
(私は『おしまい』に辿り着く)
馬鹿ね、私って。
未来が見えるからって、それがどうだというわけではないのに。
未来を変えられなければ何の意味もないのに。
ずっとずっと、この日を警告してきた。
この廃都の惨状も、王家が辿る末路も、ずっとずっと前から見えていた。
……けれど。
私の言葉を聞いてくれる人はいなかった。それどころか狂人とみなされて軟禁状態にされてしまった。
私はただ『空想』に命を削るだけ。意味もなく魔力を使い果たして死んでいくだけ。
そう思っていた、貴方に会うまでは。
「またいつか、会えるよね」
……エトムント様、私の愛しい人。
一人の英雄が国を立て直す伝承が成るには、もう遅すぎた。
もしも貴方がもう少し早く即位していたら。もっと早く生まれていたら。
そんなことを考えてしまうけれど、結局かつての私が見た『未来』はそのまま『今』になってしまった。
私がもっと強ければ。傍観者でなければ。
……なんて、もう遅い。
(『奇跡は起こせる』)
(『なんだってできる』)
(『私達なら』)
貴方はいつもそう言っていた。ねえ、今もそうかしら。燃え盛る城の中で、最期までそう信じているのなら。
……ごめんね。
『私達』はもうすぐ『私』になってしまう。
(あなたの言葉、信じるから)
生まれ変わっても、貴方はきっとそう言うでしょう。
これは予見ではなくて、私の直感だけれど。
でも、今この瞬間は、何よりも信じられるものだから。
(だから、今は)
ねえ、エト。
(さようなら)
最期まで貴方の隣にいるのは。
(その日まで)
「……私がよかったな」
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