幕間6 Scatter


「おい、処刑が終わったらこいつの死体はどうするんだ」


(……覚えておるか?)


「首以外は適当に捨てておけ」


(我がいつか、そなたに話したことを)


「了解」


(我の故郷では、腹を切って死ぬことは名誉なのだと言ったら、そなたは不思議そうな顔をしておったな。『過程はどうだろうが死ねば同じだ』と)


(散り際を自分で決められる桜があったらどんなに良いか、と答えたら、『神様って案外そういうものかもしれねぇな』って笑って)


「よし、それじゃ……」


(……ねえ)


(結局我は花になんてなれぬのだな)


(散り積もる桜でもなく、溶けだす雪でもなく)


(例えるならそう、褪せた椿のように。吹き消される蝋燭のように)


(……散らない命になりたかった)


(そなたの隣で)


(……生きたかった)

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