004_哲学の棚卸 自分の思想の移り変わりを復習する1 

 自分がこれまで興味を持って読んできた本や調べてきた思想について、かなりとっちらかってきたので一度棚卸をしてみることにする。


↓今の興味↓

マルクス主義(+唯物論)

ヘーゲル

カント

実存主義

現象学

メタ倫理学

戦後日本思想

フェミニズム


……ect



<きっかけ 右翼思想から革命思想へ>

 私がいわゆる思想とか哲学とかに興味を持つようになったのは大学に入ってからだったと思う。元々私は高校生の時から右翼思想の持ち主だったのだが、色々と限界を感じて(これについてはまた別で詳細を記述したい)他の思想を探すようになった。

 私が最初に興味を持ったのは共産主義革命の思想だった。突然過激すぎる気がするが、本当にそうだったのだから仕方が無い。

 私は右翼として、弱小な日本が世界の中で生き残っていくための「理論」を求めていた。その中で、弱小な勢力がより強大な勢力に打ち勝った世界史の例を探していくうちに、第二次世界大戦後の共産主義革命(あるいは植民地革命。この辺りの時代ではほぼ同じ事を指していることが多い)に目を付けた。

 中国革命。

 ベトナム戦争。

 キューバ革命。

 これらに強い興味を抱いた。ただ、その中でも、同じ島国であり数十人という勢力から革命を成し遂げたというキューバ革命は当時の私に非常に魅力的に映った。

 そこでフィデル・カストロと共にキューバ革命を指導したチェ・ゲバラの『ゲリラ戦争』を古本で購入した。

 内容は、かなりサバイバルに寄った内容になっていたと思う。

 当時は実家暮らしだったのだが、通販で物を買って実家に届けるということをしたのはこれが始めてだった。かなり緊張したことを覚えている。

 さて、次に参考にしたいと思ったのはベトナム戦争だ。これも弱者による強者への抵抗だった。ベトナム戦争を指導した将校である、ヴォー・グエン・ザップ将軍の『人民の戦争・人民の軍隊』を購入して読んだ。当時の具体的歴史的な状況を踏まえた上で読まなければ理解できなかったことが多く書かれていたような気がする。

 確か、ザップ将軍に日本人がインタビューする動画がyoutubeに残されており、それも観た。今思えば違法視聴だったと思う。

 その動画にてザップ将軍が「我々は日本の帝国主義者共を追い出し、次はフランスとアメリカの帝国主義者を追い出さなければならなかった。ああ、あなたたちのことではないですよ(笑)」といった話をしていた。

 当時の私は右翼思想に傾倒していたから、日本が東南アジアでしてきたことの、美化された部分しか知ってこなかった。つまり「大東亜共栄圏を西洋文明から解放するために日本は戦ったのだし、東南アジアの人たちは比較的感謝してくれているらしい」ということを信じていた。だから戦争当時の指導者がこのように日本のことを追放するべき帝国主義者であると認識していたということを知り、かなりショックを受けた。

 上記の本を読んでいく中で、マルクス主義思想というものを軸に共産主義運動が進められていたということが分かってきた。

 マルクス主義思想自体は倫理の科目で知ってはいたが、それが経済だけではなく政治や哲学にまで幅広く及んでいるということは理解していなかった。

 ベトナムやキューバにまで引き継がれたマルクス主義についての解説を読んだ。それによると


マルクス主義はマルクスとエンゲルスによって作られ、それがレーニン、スターリン、毛沢東によって「正当」に継承された


 らしいということがわかった。

 ここで言う「正当」というのは、ベルンシュタインなどの修正主義やトロツキズムなどを異端として扱っているということである(もちろん当時はベルンシュタインのベの字も知らないのだが……)


<革命思想からマルクス主義哲学へ>

 とりあえず、マルクス→エンゲルス→レーニン→スターリン→毛沢東の順番に発展したのならマルクスから読んでみようかと思い、中古で『経済・哲学草稿』を購入したのだが本当に一文字も理解できずに挫折した。『資本論』にしなかったのは経済じゃなくて考え方を、つまり哲学だけを手っ取り早く知りたいと思ったから、手始めに題名に哲学と書いてあるこれを読んだというわけだった。

 マルクスに挫折した私は毛沢東から順番に遡っていくことにした。岩波文庫で『実践論・矛盾論』が合本になっていたのでこれを図書館で取り寄せて読んだ。文章は明快で非常にわかりやすかった。この本を読むことで、マルクス主義は「唯物論的弁証法」というものを軸にした世界観であるということを知る(詳しくはマルクス・レーニン主義かもしれないが)。

 現実に存在する問題を現実に根ざして現実から出発して考えて(唯物論的)、現実を真逆の物へと反転させる(弁証法)のがマルクス主義の認識論であり、共産主義革命戦争を戦い抜くには全員がこれを理解しなければならない、という旨のことが『実践論・矛盾論』には書かれていた。これは実際に毛沢東が対日戦争・革命戦争を戦っている最中に共産党の軍の学校で使っていたテキストだったらしい。

 この時点で、弱小勢力が強大な勢力に立ち向かうための理論は見つかったわけなのだが、せっかくならさらにこの理論の元になったマルクス主義やマルクス・レーニン主義も知りたいと思ってしまう。

 そこでさらにレーニンの『帝国主義論』を読んだ。そこには資本主義・帝国主義を推し進めた列強国が最終的に衝突して世界大戦が起こるとい未来予測が書かれていた。日本がどのような道をたどって戦争に進んでいくかという予想も書かれていたのだが、これも当たっていて非常に驚いた覚えがある。

 この辺りで「マルクス主義、唯物論的弁証法ってすげー!!!」と完全にのめり込んでしまっていた。日常や社会の何もかもが唯物論的弁証法で説明でき、解決策を提示することができるのだと舞い上がった。


 ここまでは、弱者による革命を指導した理論を調べていたが、ここからマルクス主義唯物論的弁証法へと興味の舵を切っていくことになる。



【2138文字】

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