003_[草稿]坂口安吾と特攻、そして異形と戦う百合
自分が好きな百合作品は、ミリタリーもの、異形と戦うものが多い。
少女が過酷な運命で戦う姿を見て感動すること。これって倫理的に色々大丈夫かなと思いながら観ることが多い。
外から与えられた役割に殉ずることタイプのバトル百合と、自由意志によって戦うことを選ぶバトル百合がある。
これらは倫理的に立ち位置が少し違うかもしれない。
そんなことを考える予定。
まだ話がまとまっていないので草稿だけ投稿する。
最近、アニメを見る体力が大幅に落ちている。24分間映像を見続けるということが苦痛に感じられてしまうのだ。
それでも自分の精神衛生のためにも何か観ておかなければと思って『ルミナスウィッチーズ』というアニメを観た。
これはストライクウィッチーズというアニメを筆頭にした百合・ミリタリー・異形との戦いの先駆的な作品である。である。私が百合というジャンルにはまり始めた初期から観ていた&読んでいたコンテンツである。
同じジャンルとして艦これも好きになった。数年前に放送されたアニメとしては『アサルトリリィ』なども同じ系譜に属していると言えるだろう。
ミリタリー、というジャンルを一度ここから取り去ってみよう。そうすると「少女たちが役目を与えられて異形との戦いに駆り出される」という要素が出てくる。こう書いてみると、昨今流行っている大きな百合コンテンツがこうした性格を持っているのではないかと思う。
ここであえて駆り出されるという言い方をしたのだが、無理矢理に役割を与えられてその中で戦う、という形を取ることが多い。その中で、自分らしさや仲間との絆などを育んでいく。そうして戦死する者もいれば、英雄になる者もある。
創作物において、強制された役割に殉ずる登場人物は非常に魅力的に見える。軽率なことばを使うなら「エモい」という所だろうか。
異形と戦う百合作品は、大きく分けて二つに分類されるようだ。徴兵制か志願制かである。というより、何かを守るために戦う作品のほとんどはこのどちらの立場を取るかを悩みながら作られているのではないだろうか。
プリキュアなどを筆頭として、多くの「美少女戦士もの」あるいは「魔法少女もの」は強制的に役割を担わされているように見える。そうした意味でこれらは徴兵制的なバトル百合である。
『まどマギ』などは逆に、一端その少女の「自由意志」に任せてから過酷な運命を与えるという形になっていた。志願制のバトル百合である。それはそれで残酷である。
人類史において、最も残酷な徴兵制とはなんだったであろうか。明確な答えを出すことは難しいが、それでも有力な候補の1つを挙げるだけなら、我々日本人にとってこれほど簡単なことはないだろう。
それは特攻であろう。
坂口安吾は戦うことを強制することは絶対に否定されなければならないが、強制された中で戦う役割に殉じる精神については絶対に肯定されなければらならないという旨の主張をしている。
<坂口安吾『特攻隊に捧ぐ』>
人間が戦争を呪うのは当然だ。呪わぬ者は人間ではない。否応なく、いのちを強要される。私は無償の行為と云ったが、それが至高の人の姿であるにしても多くの人はむしろ平凡を愛しており、小さな家庭の小さな平和を愛しているのだ。かかる人々を強要して体当たりをさせる。暴力の極であり、私とて、最大の怒りをもってこれを呪うものである。そしれ恐らく大部分の兵隊が戦争を呪ったに決まっている。
けれども私は「強制せられた」ことを一応忘れる考え方も必要だと思っている。なぜなら彼等は強制せられた、人間ではなく人形として否応なく強制せられた。だが、その次に始まったのは彼自身の壮絶な死との格闘、人間の苦悩で、強要によって起こりはしたが、燃焼はそれ自体であり、強要と切り離して、それ自体として見ることも可能だという考えである。否、私はむしろ切り離して、それ自体として見ることが正当で、格闘のあげくの殉国の情熱を最大の賛美を以て敬愛したいと思うのだ。
また、マイケル・サンデルが正義について議論している中で、徴兵制と志願制のどちらが道徳的かという話をしていた。
志願氏のほうが一見道徳的だが、志願する理由をよく観てみると経済的なものであったりと、自由意志の皮を被って自己責任を個人に押しつける分、志願制のほうが非道徳的なのではないかという考え方もできるような気がする。
まどマギはそのパターンだろう。魔法少女になると決めたのはその少女自身なのだ。そこに不条理さがある。ちなみに私はまどマギをまだ観ていない。徴兵制的なバトル百合のほうが性癖に合っているように感じる。
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