13 古き修道僧たちの清浄たる住み処へ
雲は少しずつ厚く、暗くなってきていた。せめて僕らが歩き回っている間くらいは降り出さないでほしいな、などと願いながら、エイト・ブリッジへ向かう。
「一度にいろいろな情報が得られましたね」
とウルフ。僕は出鼻をくじかれて、しようと思っていた質問を引っ込めた――さっきのアンドリューズに対する態度、あの完璧な
「ええと、既出情報で確定したのは――」
「先週の土曜日に私たちの寮へ来たのはアンドリューズではなかった。アンドリューズは自分を突き落とした犯人を見ていない。これぐらいでしょう」
「そうだね。残りは未確定のまま――で、あとは新出情報か」
「ジュールが先学期に単位を落としかけたことで、ホール教授を恨んでいた、という話ですね」
「うん」
僕はそれらの情報をメモに書き込んだ。
「それと、もう一つ気になることが出てきました」
「それは?」
「“アンドリューズが転落する直前、魔法使いのところへ怒鳴り込みに行っていた”という噂がありましたよね?」
「あったね」
「では、それを流したのは誰なんでしょう」
「あ」
確かに。僕らの寮に来た奴がアンドリューズである、ってことは、僕らしか知らないはずだ。実際は違ったんだから。ヒューバートの人間なら見間違える可能性はあるけれど、見間違えるくらいならアンドリューズって名前も知らないだろう。エイト・ブリッジの人間なら間違えないはずだ。なのにどうして、アンドリューズがウルフのところへ行ったって広まったんだろう?
ウルフがじっと僕を見ている――その視線で察した。
「え、あ、僕じゃない、僕じゃないよ!」
慌てて否定したら、彼は「分かってますよ。冗談です」と軽く笑った。冗談です、って言いながら、念のため確認したかったんだろうな。
「アンドリューズのふりをして来た人間が広めた、と考えるのが妥当です。彼はどうしても、呪いのせいで落ちた、というシナリオにしたかったようですね」
「それにしてもすごいな。エイト・ブリッジの他の学生たちに見つからないようにこっちへ来て、その上でしれっと噂を流したってことだろ。度胸がある」ここまで言ってふと気が付いた。「そう考えると、突き落としたのもその人っぽいな。ウルフに罪をなすりつけるためにさ」
「流れとしては綺麗ですが、時間と服装が厳しいように思います。協力者がいたなら話は別ですけど」
エイト・ブリッジは変わらず堂々とした立ち姿を見せていた。『モフェット・グループ』の工事車両が通り過ぎるのを待ってから、幹線道路を横切る。
「へぇ」
道路に面した正面玄関を眺めて、ウルフが感心したような声を上げた。
「十三世紀初頭らしい、よい建物ですね。素晴らしい均整だ。ガーゴイルは建て直したときにでも設置したのでしょうか。しかしかなり古そうですね」
「君は建築もいけるんだ」
「いえ、少しかじった程度です。――左のガーゴイルが壊れていますね」
「ああ、やっぱりそうだよね。先週僕が来たときにはもう壊れてたよ」
「……ふむ」
ウルフは何か考えているような素振りを見せながら、裏手へ回った。彼の目が注意深く建物の外観を探っているのが分かった。
「何か気になることでも?」
「ガーゴイルは悪魔の姿をかたどった物で、雨樋の部分に付ける装飾品として有名ですが、そもそもは魔除けとして作られたものです。ですから、その配置は均等でなくてはなりません。均等であることは非常に重要です、魔法の世界観からして。特に守りを固める際には最も気をつけなくてはならない」
「結界みたいな感じ?」
「まさしくそれです。そういう観点から見ると、この建物は完璧と言うほかありません――ありません
彼はわざわざ過去形にし直した。ガーゴイルが一つ落ちた状態では完璧とは言えない、ということだろう。
「真南が正門、真北が裏門、出入り口はこの二カ所のみ。東西に長い両翼は、中心軸から完璧な左右対称になっています。部屋の配置も、一階二階三階例外なく完全に統一されています」
と、彼が指さした方向を見て納得する。窓の配置は見事にそろっていた。神経質な数学者が描いた図形みたいに。
「さて、ここはもともとは修道士のための宿舎でしたが、さらにその前、宿舎が建てられるよりも前は沼地だったそうです。沼地、すなわち水の流れが滞る場所には、悪い
十一世紀って何世紀だ? ってぐらいに歴史に疎い僕は、まぁだいぶ昔のことなんだなってことだけ理解をしておいた。“いつ”よりも“何が起きたか”のほうが興味深いし。
「時代が下って沼は埋め立てられ、修道士のための宿舎が建てられたのですが、その建設の際に蓋が外れて悪霊が飛び出し、散々に悪さをしたようです。それをまた八人の修道士たちが、再び殉教する形で封じ込めました。そういうエピソードから、『エイト・ブリッジ』という名前が付けられているとのことです」
「へぇ、そんな由来がある寮だったんだ」
「ええ。だから、完璧な結界が構築されているのは当然のことと頷けます。ですが」
ウルフは残念がるように眉尻を下げた。
「完璧な結界は小さな綻びによってあっけなく瓦解します。おそらく、劣化していたところに工事車両の振動が影響したのだろうと思いますが、ガーゴイルが落ちたのは痛手でしたね。だから小さな隣人たちが入り込めたのでしょう。完璧な状態なら、あの悪戯好きたちが入り込めたわけがありませんから」
「なるほど、ガーゴイルって効果あるんだね」
「なければとっくに廃れていますよ」
確かに。ウルフの言うことはいちいちもっともだ。
裏門から中に入る。前に来たときよりずっと静かで薄暗かった。玄関ホールには誰もいない。僕らから見て背中側、つまり正面から入ってくれば目の前になる壁に、大きなタペストリーが掛かっていた。古い修道服を着た人が八人並んでいる。かなり古びて色褪せているが、かろうじて赤色っぽい服であるのが見てとれた。エイト・ブリッジの由来となった八人だろう。
「ジュールの部屋は三階ですよね?」
「そう」
階段は西端と東端にあった。「やはり内装も完璧な調和がとれてますね。部屋番号の配置も素晴らしい」とウルフ。
ジョナサン・ジュールの部屋は三階の東側、十八号室だ。十八号室の向かいは三号室。必ず向かい合った部屋の番号が計二十一になるようになっていて、奇数が北側、偶数が南側にあり、東北の角が一号室だ。魔法的なことはよく分からないけれど、均整がとれているな――正確に言うと、こだわりがあるんだなとは思う。
東側の階段を二階分上がって、南側の二つ目の部屋を、ウルフが軽くノックした。
少しして、気怠げな応答があった。ジュールがいる!
扉がわずかに開いて「誰。何の用」と無愛想な声が出てきた。
「借りてた物を返しに来たんだけど……」と、弱々しく言ったのはウルフだ。また声音を変えている。「あー、ごめん、忙しかった?」
「いや、別に」
その声音にほだされたように、ジュールが顔を出した。その顔を見た瞬間ほぼ確信に至る――僕らの部屋に来たのは彼だ。急なことに驚いていたし、じっくり見る間もなく帰ってしまったし、化粧で誤魔化していただろうし、あれはアンドリューズだとすっかり思い込んでいたから疑っていなかったけれど、こうして見てみれば間違いない。アンドリューズより大きな鼻。僕より二インチ小さい背。毛量が少なくなりつつあるくすんだブロンド。神経質に揺れ動く白目がちの瞳。
ジュールはウルフを見上げて、はっとした顔になった。また一歩確信に近付く。すかさず閉まろうとしたドアに、ウルフがパッと手を差し込んだ。
「こんにちは、ジョナサン・ジュール」
「お前っ……何しに来た!」
すごい、あんなに力強かった奴と、ウルフは片腕で拮抗している。二人の手によって反対方向の圧力をかけられ、古いドアがミシミシと音を立てる。
「ただお話をしに来ただけです。中に入っても?」
「嫌っ、だねっ、帰れ!」
「なぜそんなに嫌がるんです? 我々は
「っ……お、お前のことは誰でも知ってるよ、まほ――」
「つい先ほどアンドリューズに会ってきました」
魔法使いだろ、とかって言いかけたジュールの言葉を切り捨てるように、ウルフが鋭く告げた。
瞬間、ジュールの顔色が変わった。犬猿の仲の被害者がどんな証言をしたか、察するのは容易だったろう。彼の顔は僕らの寮に来たときと同じ、憤怒の色に染まって、爆発――する直前。
「話をしましょう」
ウルフがふと態度を和らげた。わずかに潤んだ視線と声が火薬を湿らす。
「お願いですから、話を。お互いの疑念を晴らすために」
もはや“懇願”といって差し支えないような態度だった。これを断れる奴がいるなら見てみたいものだ。
ジュールは毒気を抜かれたように黙って、ドアを開いた。なぜ、何の話をしに来たのか、一言も言ってないのにね。詐欺じみた手際だなと妙な感心をしながら、僕はウルフの後に続いて中に入った。
部屋はものすごく綺麗に片付けられていた。ほこりなんて欠片も落ちていないんじゃないか、ってレベルで整然としている。本は背表紙の色や大きさに合わせて区別され、本棚にきっちりと収まっていた。ベッドメイキングも完璧で、シーツは真っ白、しわ一つない。失礼だけど、なんだかちょっと病的に思えた。
「椅子はない」
無愛想を継続しながら、ジュールは自分の席に着いた。
「構いません。長居はしませんから」とウルフ。
「それで、何の話をしに来たんだ」
「先週の土曜日に私たちのところへ来たのは、あなたですよね?」
沈黙。ジュールは気まずげにそっぽを向いている。沈黙は金、雄弁は銀と言うけれど、時に沈黙は驚くほど雄弁だ。
「どうしてあんなことを?」
「……アンドリューズを追い出すために。君との騒ぎが大事になって、大学側が介入すれば、奴の悪事が公になると思ったんだ」
「悪事というのは、女性を連れ込んでいることですか」
「なんでそのことをっ」
「噂は本当だったんですね」
ウルフの言葉で鎌をかけられたんだと思ったらしい。ジュールは怒らせていた肩を落として、力なく首を振った。
「……それだけじゃない。あいつは浮気も繰り返しているし、借りた物は金でも本でも絶対に返さないし、人の悪口を好き放題、本当にあることないこと言いふらして――本当に迷惑な奴なんだ! 毎晩のように――」
ふいに押し黙ったと思ったら、彼は小さな声で「この寮、古いせいか壁がちょっと薄くて、大声出すと隣に聞こえるんだ。……で、すぐ隣、二十号室がアンドリューズの部屋でさ」と続けた。つまり――ああ、うん、そりゃ確かに、時々のことだったらまだしも、毎晩だったら喧嘩にもなるだろうね。
腕を組んで壁にもたれかかっていたウルフが冷ややかに言った。
「そのために私を巻き込んだんですか。呪いまででっち上げて」
「全部あいつが悪いんだ! アンドリューズが!」
ジュールは瞬間的に沸騰した。
「あいつが散々俺に嫌がらせをしてきて……本はなくなるしレポートは破られてるし、携帯は壊れるし、最低なのはあいつだ!」
「だからって
つられたように沸騰――いや、彼の場合は
やがてウルフは大きく息を吸って、大きく吐いて、再び壁にもたれかかった。
「あなたに降りかかった不幸は、確かにきっかけはアンドリューズが作ったかもしれませんが、後半の大方は妖精の仕業だったと思いますよ」
「……は? 妖精?」
「はい。不幸なことが続いたのはあなただけでなく、アンドリューズもそうだったはずです。違いますか」
ジュールはしばらく考え込んでから、ようやく“そういえば……そうだったかもしれない”って調子で曖昧に頷いた。まぁ、嫌いな奴の日常生活なんて気にしてないよな。
「アンドリューズが嫌がらせをし続けていただけなら、彼にも不幸が降りかかるのはおかしな話です。それに、そもそも呪いは魔法法によって禁止されています。妖精――慣習上“小さな隣人”と呼ばせてもらいますが、彼らは――」
冷静さを取り戻したウルフは、僕や刑事さんたちにしたのと同じ説明を、もう少しかいつまんで彼にした。ジュールは理解しているのかしていないのかよく分からない顔で、けれど少なくともウルフが呪ったわけではないということは認めたようだった。
「それで、アンドリューズを階段から落としたのはあなたですか?」
ウルフはストレートに聞いた。ジュールが鼻で笑う。
「残念ながら違う。あいつはそう言っただろうし、僕だってそうしてやりたかったけどな」
「その時間、あなたはどこに?」
「グランダッド」
それは学生御用達のパブ、『ザ・グランド・オールド・マン』の愛称だった。安くて美味くて居心地がよい、と大人気で、僕らもよく行くところである。
「グランマが保証してくれるぜ。それはもう警察にも話したし」
それならアリバイは成立だ。店の顔であるグランマの記憶力は飛び抜けているからね。間違いないだろう。
「ところで、あなたはホール教授が亡くなったことはもうご存じですか」
「当然だろ。昨日の夜には全員に通達があった。あれって君が呪ったんじゃないのか?」
ジュールの思慮のない言葉に、ウルフは冷たい視線を返した。
「先ほどの話を聞いていましたか? 呪いは禁じられているんです。わざわざ違法行為に手を出してまで、殺すような動機は持ち合わせていません。それに」
「分かった、分かったよ。マジになるなよ、ジョークだろ」
降参するようにジュールが両手を上げた。あれをジョークだというならずいぶんとナンセンスだ。
仕返しのようにウルフが冷たく言った。
「犯人に相応しいのはあなたのほうでしょう」
「は?」
「先学期ホール教授の授業を落としかけて、退学させられそうになったそうですね」
「そんなこと誰から――」言いながらすぐに気が付いたらしい。彼は拳でデスクを叩いた。「――アンドリューズか! くそっ、あの野郎、適当なこと言いやがって!」
「では、嘘だと?」
冷徹な追及を受けて、ジュールは言葉を詰まらせた。しかし、やがて静かに首を振る。
「……追試になったのはマジだし、その追試もギリギリだったのは確かだよ。でもそんなことで……」いったん言いにくそうに口をすぼめてから、意を決したように「……殺しなんかやるわけないだろ?」
「ホール教授が亡くなった夜、あなたはどこに?」
「グランダッドで飯食って、十時頃からはずっとこの部屋にいた」
「では、他に誰か、アンドリューズやホール教授ともめていた人物に心当たりはありませんか?」
「何でそんなこと気にしてんだよ」
「私はただこれらの事件が呪いでないことを証明したいだけです。あなた同様、小さな隣人の仕業だったかもしれませんし。――今のところ、あなたが容疑者筆頭なんですがね」
ウルフが半ば脅すような口調でそう言うと、ジュールは不満げにそっぽを向いて、爪先で貧乏ゆすりを始めた。しかしすぐに何かを思い出したらしく、勢いよく振り向く。
「そうだ。講師のオブライエンと、二年のエイリーン・サリンジャー。あいつらがやったんじゃないか」
「どうしてその二人が?」
「あいつら付き合ってるんだよ」
僕はそっと息を呑んだ。教師と学生の恋愛か。今でこそ多少は緩くなっているけれど、時代が時代なら絶対にやってはならないことだ。
「サリンジャーが成人したら結婚する、って約束までしてる。知ってる奴は少ないんだけどさ。それをホール教授が知って、よく言い争ってたんだ。教師が生徒と関係を持つなど不謹慎だ、って。ほら、ホール教授はそういうの厳しいだろ? しつこく説教され過ぎて頭にきて、なんていかにもありそうだ」
「そんな話どこで知ったんです?」
ジュールはちょっと不機嫌そうに「どこでもいいだろ。噂で聞いたんだよ」と言い捨てた。
「で、一ヶ月前くらいかな。新学期が始まった直後ぐらいに、アンドリューズがサリンジャーに手を出そうとしてたらしい。あいつのことだから、どうせしつこくつきまとったんだろ。それでオブライエンが切れて、ってシナリオなら充分あり得る」
「でも、オブライエン先生ってアンドリューズが運ばれていくのに付き添ってたよね」と口を挟んだのは僕だ。
「わざとそうしたんだろ。自分で突き落としておいて、疑われないようにさ」
ごもっとも。僕は挟んだ口を即座に引っ込めた。
「他には?」
「他? えーっと……そういえば、ちょっと前にタイナー准教授となんか口論してたな。珍しいなと思ったからよく覚えてる。補修工事がどうとかなんとか言ってたけど、たぶん学会の場所かなんかの話だったんだろ。あとは……あとは別に、特にないな」
「タイナー准教授はどんな方ですか」
「真面目で穏やかで、優しい先生だよ。わりと生徒を泣かすけど。淡々と詰めていく感じで、隙がないからさ。あれでボルダリングが趣味っていうんだから意外だよな」
「オブライエン先生は」
「大雑把でがさつで、何をするのも雑な奴だ。あいつの研究室なんかひどいぜ、ゴミためみたいに散らかってる。出不精だし、タイナー先生とは正反対だ」
よくあんな奴と付き合うよ、とジュールはどこか恨みがましい調子で呟いた。
「なるほど。ありがとうございました」
ウルフは壁から背を離した。聞きたかったことは全部聞き終えたらしい。
部屋を出る直前、ふと思い出したように彼は振り返った。
「しかしすごいですね」
「何が?」
「私たちの寮に来た時。アンドリューズによく似ていましたよ。あのメイクはどなたが?」
その瞬間のジュールの顔! 僕はそれを“聞かれたくないことを聞かれたときの動揺の表情”のお手本として、演劇の教科書に載せるべきだと思った。
「っ……ど、どうだっていいだろそんなこと! とっとと帰れ!」
僕らは乱暴に押し出された。バタンッ、とすさまじい音を立てて扉が閉まる。あっけにとられた僕が正気に戻るのに、丸二秒はかかった。
「今の質問は何だったの?」
「彼があれだけのメイクをできるとは思えなかったので」
「そりゃそうか」
「あからさまに動揺していましたね。おそらく、誰かの協力を得て、アンドリューズのふりをしたのでしょう。で、誰だったかは明かしたくない、と」
ウルフは肩をすくめた。
「謎は増える一方ですね。次に行きましょうか」
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