第26話 成功の鍵は事前準備にあり
次の日から騎士団長討伐に向けた特訓が始まったわけだが、兎に角私達は短期間で上げられるだけレベルを上げるべく、メルポティシア付近にある高レベルダンジョンを手当たり次第に攻略して行くという荒技で無理矢理全員のレベル引き上げを目指すことにした。
しかし、既に国が存在を把握して管理しているダンジョンに挑めば必然的に教皇様に私達の動きがバレてしまうため、ユリちゃんが前世の記憶で把握している物の内で未だその存在が国に知られていない、つまりは見付けづらい場所に存在するダンジョンを選ばなければならなかったため予想以上に時間が削られることとなってしまう。
ただ、私達8人は国内でもトップクラスの実力者であるため適正レベル以上のダンジョンでもさほど苦戦する事は無くサクサクと攻略が進み、道中の魔獣から得られる経験値は私やドロシーちゃん、ライアーくんなどのレベルが低いメンバーが積極的に取得して行き、獲得経験値が多いダンジョンボスは高レベルメンバーが中心となって討伐する事で全体のレベル差を少しでも縮めていった。
だが、レベル上げを始めた当初はクロード神父の528から始まりオルランド様の461、ミリアさんの336、ユリちゃんの302、ジルラント様の299、私の204、ライアーくんの192、ドロシーちゃんの187とかなりレベルに開きがあるため、最初から全員のレベルを平均的に揃えることは諦めていた。
そのため、一先ず私を含めた3人のレベルを250まで、ユリちゃんとジルラント様レベルを330まで引き上げつつ、クロード神父とミリアさんの装備を調え、可能な限りオルランド様のレベルも上げると言う方針で動くことが決まった。
そうやって次々とダンジョン攻略を進めていったのだが、当然ながらメルポティシア付近で未発見の物に絞って攻略していく以上、どうしてもある程度の数を攻略した所でユリちゃんが把握しているダンジョンが尽きてしまう。
と言うか、条件が当てはまる高レベルのダンジョンがそう都合良く10も20も集中しているわけが無いので、5つ目のダンジョンを攻略した段階で早くもストック切れを起し、その段階ではレベルが低い3人のレベルがどうにか20上がった程度で決戦の日まで残り15日を切っていた。
そのため、その段階で私達はユリちゃんの指示で必要な装備を揃えるグループ(クロード神父、ミリアさんのペア)と、5つのダンジョンの内比較的難易度が高い場所で集中してレベルを上げるグループ(ユリちゃんとジルラント様のペア)と、レベルが近いことからある程度ステータスに見合ったダンジョンでコツコツ経験値を稼いでいくグループ(ドロシーちゃんとライアーくんのペア)と、最後に余った私とオルランド様(1人でも余裕でダンジョンに潜れるのでペアでは無く、それぞれ個別にレベル上げを行うグループ)と言う形に分かれることになった。
当然ながらこの準備段階で大怪我を負ったり命を落としてしまっては元も子もないため、作戦の方針は『命を大事に』で行く事を十分共有してそれぞれ出来る限りの努力を重ねていくことになるのだが、どうしてもドロシーちゃんとライアーくんのペアが無茶をしないか不安だった私は常に分身体を2人の護衛に付けることにしたのだが、その結果思わぬ発見をする事になる。
なんと、遠く離れたダンジョンで分身体が魔獣と戦闘を行った場合でもその経験値が本体である私に入ると言う事が判明したのだ。
良く考えれば、この世界の経験値システムは敵にダメージを与えた比率でその魔獣が持つ経験値が分配される仕様になっているのだが、今まで私が分身体で魔獣にどれだけダメージを与えていようと最終的にその魔獣が保有している経験値の100%が本体である私に入っていた。
それを今まで私は『私の【戦技】で倒したと見なされて普通に経験値が入っているのだろう』と考えていたが、どうやら実際は『分身体が獲得するはずだった経験値が本体の私に流れ込んでいただけ』だったことに気付く。
そこで私はその次の日から常に最大まで分身体を召喚し、1体をドロシーちゃん達の護衛に付けて残り5体を最も経験値効率の良いダンジョンの様々な階層に配置し、本体の私と合わせて6人同時に経験値を稼ぐという荒技に打って出たのだ。
正直、今回挑んだ5つのダンジョンの内、技巧値が使えないことで苦戦するような敵が出て来るダンジョンは無かったため、想定の6倍のスピードで経験値を獲得できるようになった私のレベルはみるみる上がっていた。
その結果、オーラント自然公園に向かう前日には私のステータスはこんな感じになっていた。
アイリス Lv.348(次のレベルまで15,231)
(能力情報)属性:星・人/竜 疲労度:― 疲労補正:0%
適性武器:剣 適性クラス:
体力:35,480/35,480(17,740) 魔力:20,000/20,000 技巧値:300/300
攻撃力:14,759(6,559)+17,400 魔法力:23,350(13,050)+10,440
防御力:22,292(10,092)+3,480 俊敏力:21,910(11,310)
(装備)
武器:
神刀『三日月』
防具:
アクセサリー:
戦神の祝福
ドラゴンハート
(状態)
【疲労無効】【全状態異常無効】【CP自動回復】
【弱体無効】【HP自動回復(極大)】【
(習得魔法)
魔獣召喚 Lv.Ⅹ MP2,000
専用魔法『
(習得技能)
ドラゴンスクラッチ MP300
ドラゴンブレス(小) MP500
ドラゴンブレス(中) MP800
ドラゴンブレス(大) MP1,200
ドラゴンブレス(極大) MP2,000
エリアバースト MP3,800
エナジーブラスト MP4,500
クイックチャージ MP???(ブレスの消費魔力×2)
フライ MP100
トランスポート MP1,200
テレパシー MP10~(念話を繋げる対処との距離により消費魔力が上昇)
(保有スキル)
【特殊】
【パッシブ】
攻撃強化(大) Lv.5/5
防御強化(大) Lv.5/5
魔法力強化(大) Lv.5/5
俊敏強化(大) Lv.5/5
縮地 Lv.5/5
不屈
回復魔力量向上(大) Lv.5/5
消費魔力軽減 Lv.5/5
心眼
雲隠れ
装備破壊耐性付与
召喚魔獣強化
【戦技】
流水 Lv.5/5 CP30
疾風 CP30
不動 CP30
蜃気楼 CP60
秘技『
それに、ヴァンパイアロードである騎士団長を想定した戦闘のシミュレーションも十分に重ねる事が出来、当初の計画以上に十分な準備が整ったと言えるだろう。
更に、今回分身体の新たな特性が判明したことで来たる対教皇様戦で使えるかも知れない新たな作戦も思い付くことも出来たので、あとは12月に起こる皆既日食までに調整を行えば完璧だろう。
そして新暦1838年8月25日の早朝4時半頃、私が操縦する飛空戦艦『大和』はオーラント自然公園が存在するエンプレッサ領の荒野にひっそりと着陸するのだった。
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