つぶやき。
望月
つぶやき。
「消えてしまいたい」
目の前で泣き叫ぶ人がいる。
人生上手くいかないものだな。
そんな私の話をしてみようと思う、暇つぶしに戯言でも聞いてみてくれ。
私の家は決して裕福ではなかった。
けれども、毎日食べるものはあるし、住む家だってある。
じゃあなんでうまくいかないのかって?
それは、家族仲のことだ。
私の家族は少し他とは違う、その原因は簡単に言うと両親だ。
父親が不倫したのだ。
不倫と聞くとそこまで遠いことに聞こえないのは今どきドラマや漫画などでよく題材にされているからだろう。
ただ、だからといって自分が関係してくるとそんなことは考えてられない。
不快感と嫌悪感で消えてしまいたくなる。
自分はこんなにも不潔な人の子供だということ、母親と姉の様子でうすうす気づいていたにも関わらず知らんぷりをしていたこと。
今こうして考えてみると我ながら最悪な心境だったと思う。
この出来事がきっかけで私の家庭は崩壊寸前だった。
私たちを捨てるような発言をする父親、それに対し激怒し泣きわめく母親。
こんな普段とは違うことが起きてしまうとさすがに嫌になってくる。
母親は鬱病になった、毎日がしんどかった。
ずっと寝ていて、泣き叫び「死にたい」と何度も口にする、そして家のベランダから飛び降りようとする。
姉と私で必死に止める。
他の人の立場になって考えるのは苦手だから、今の自分の状況でいっぱいいっぱいになって母親と同じようなことをネットで呟き続けた。そんなことをしたってなににもならないのに。
日にちが経ち、父親ともきちんとしたやり取りが終わり母親も落ち着き、普段通りの日常が送れるようになった時、また始まった。
母親の鬱が悪化したのだ。
仕事は辞めなければならなくなり、家に篭もるようになった。
私が学校から帰った時母親の首に着いていた痕は今でも鮮明に覚えている。
そして泣き叫び死のうとする。
こんなことが続いたある日母親は精神病院に入院した。
父親のせいだ、と電話越しに話す母親に私はなんとも言えなくなってしまった。
私も疲れ果てていた。少し安堵してしまった自分を殺してやりたかった。
家の事、勉強、全部をきちんとこなさなければならないことに対する家族からの圧もすごかった。
母親が退院して、やっと普段の日常をもう一度取り戻した。それでも全てが戻るわけではなかった。
母親が働けないから、もとから裕福ではないうちの家にはお金が無い。と、塾を辞めることになった。
塾は嫌いだったからそこまで苦ではなかった。
それでも辞めてからもっと家族からの圧が強くなった。周りから「なんで辞めたの?」と聞かれることもたくさんある。その中にな辞めたことに対する呆れの声もあった。失望されるのは怖かった。どうするべきなのか、わからなくなった。
そうしてまた私はネットに逃げる。自分のやるべきことに対してからも逃げている。
こんなことを気楽に話せる友達なんて私にはいないし、そんな孤独な自分も嫌になる。
今こんなことを書いたってなんの気持ちの落ち着きにもならないのに。
だから私は呟く。
つぶやき。 望月 @tu11ki31
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