ごく平凡な少年・月波幸人が入学した「ヌマ高」は、県内のヤンキーが集まる底辺不良高校だった。喧嘩上等、暴力こそすべての校風で、幸人は謎の美女から渡された宮本武蔵の『五輪書』の教えに従い、殺伐とした学校生活を生き抜いていく。凶暴なヤンキーの中に放り込まれた普通の男子生徒が頭脳とハッタリで成り上がる青春活劇です。
江戸時代の剣豪・宮本武蔵が書き遺した兵法書『五輪書』は、現代のビジネスマンの必読書といわれています。それは書物が伝えるのが、兵法や武芸だけでなく、どんな手段を用いても勝つ、徹底した合理主義にあるからです。
その哲学に共感した幸人は、不意打ち、騙し打ち、ハッタリ、ブラフ、ありとあらゆる手を使って不良グループを出し抜いていきます。
かといってただの卑怯者ではありません、幸人が力を発揮するのは常に誰かを助けるとき。不良たちの非道を目にし、自分を奮い立たせ、弱者が強者に抗う術として知恵と機転を巡らせて相手を翻弄する。義を見てせざるは勇なきなり。これぞ武士道精神です。
不良を撃退していくうちに、いつしか一目置かれる存在となっていきますが、より格上の不良グループに目をつけられ……、幸人が望む平和が訪れるのは果たしていつの日か。
皆さんもこの作品を読めば、心の悩みや問題を解決するヒントが見つかるかもしれません。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲 優詩)