第7話:お金持ちが使っているイメージです

 リリーがお金持ちのご老人の家へメイドの仕事の為に向かっていってから、それなりの時間と日数が経った後、結局、むさ苦しくなったガラガラの家に郵便屋から手紙が届いたようだ。差出人はリリーらしい。可能な限りすぐに返事を書くから、ちょっと待ってくれとガラガラは郵便屋を待って貰うようにお願いした。


「ガラガラの旦那。まぁ、すぐに終わるなら、そこらへんで待っておきます」

 郵便屋は、そういうと近くの切り株に座って、ガラガラの家から火を分けてもらい、煙草に火をつけて美味そうに吸い始めて待ってくれた。


 ガラガラは、サーシャ以外から手紙を貰うのは、久しぶりだと思いつつ、慎重にペーパーナイフで手紙を開けた。中身を検めてみる。もちろん、白紙ではなく文字が見えた。


『拝啓、ガラガラのおじ様


 お金持ちのご老人の家に雇われて幾日が経ちましたが、前の家ではメイド・オブ・オール・ワークだった私でも、かなり名誉を傷つけられました。


 最初は色々な雑用をするトゥイーニーでした。色々と努力を重ね、トゥイーニーからコックの補佐をするキッチンメイドを経て、この度、上司であるハウスキーパー様から、同僚であるハウスメイドが結婚するので、その代わりに、ハウスメイドとなるように命令され、ハウスメイドへと出世いたしました。出世したときは、大変うれしかったですわ。ただ雑用をするトゥイーニーよりもやりがいがあります。


 そこでですね、ハウスキーパー様から突然、もちろん解雇ではなく、私としては、それなりに長いと感じる長さの休暇を頂くようになりました。それでですね、町に戻りますので、以前の様に掃除、洗濯、料理をするメイド・オブ・オール・ワークに戻る気分で路銀を節約する意味でも、またご奉公させて頂きたく存じます。


 お返事を頂いたら、すぐに向かいますので、よろしくお願い致します。


                ちょっとむさ苦しい家を綺麗にしたリリーより

                                   敬具』


 といった内容だった。出世が出来てよかったなぁと思いつつ、なれない手紙をガラガラは書き始めた。もちろん了承した。仕事で遠くに出て行った子供が里帰りしてくれる両親の気持ちが分かった気がした。儂もそろそろ同じように長いこと会っていない両親の為に、里帰りでもしようとも思った。


 早速、ガラガラは返事を書いて、配達する分のお金と手紙を郵便屋に渡した。郵便屋は、なごみ惜しそうに煙草の火を靴の裏で消して、お金と渡された手紙を鞄に入れ、他にも仕事があるらしいので足早に去って行った。


 ガラガラが汚い殴り書きの文字で書いた手紙の内容は、こんな感じだった。

『拝啓、お淑やかなリリー様


 もちろん、大丈夫です、むさ苦しくない儂の家に来てください。

 あなたが仰るようなちょっとむさ苦しいことは、まったく起きていません。

 儂の家は綺麗なままです。いつでも帰ってきてください。


                 カーペットスイーパーを作ったガラガラより

                                   敬具』


 嘘をついたガラガラは、リリーのお世話にならないように、以前に発明したカーペットスイーパーで必死に家を綺麗にしようとしたが、あちこちに物が散らばり、失敗してもっと汚くなった。仕方が無いので、おとなしくリリーを待つことにしよう。ポプリとやらも交換せず、リリーが去った時のままだった事は、頭の中から忘れ去られていた。


 数日後、返事を受け取ったリリーが町に戻ってきたようで、ガラガラの家のドアのベルが鳴った。もしかして、残念なことにネズミ男かもしれないと思ったが、ドアを広げた先で目の前にいたのは、幸運にも大きな鞄を持った私服姿のリリーだった。


「おじ様、リリーです。これから、ちょっとの間、お世話になります、おじ様。手紙でここまで分かりやすい嘘をつくのはやめた方がいいですわ。あと、文字が汚く解読するのに時間が掛かりました。明日になったら、早速、すぐにお掃除をしますので、明日の予定でも考えておいてください。もちろん、家から出て行ってもらいますわ」

 長いこと放置され、匂いが無くなったポプリを眺めつつ、呆れたようにリリーは挨拶と共に命令した。


「リリー、分かった。分かった。明日は朝食を食べたら、すぐに出ていく」

 ガラガラは、気が付かれないと思っていた嘘をついた罪悪感から早口で了承した。


 次の日、ガラガラは、相も変わらず美味しいリリーの作った朝食を食べたあと、そそくさと市場へ行ったが、手持ち無沙汰だった。何か作ろうかと思って、材料を探したが、作るものが決まっていないので、何も買う気が起きなかった。昼食となりそうな幾分か時間が経った後、家に帰った。


 前の様に家は綺麗になっていた。これまで、少なくとも窓は定期的に雑巾で掃除をしていたが、リリーには不合格と判断されたのだろうか、綺麗に磨かれていた。窓から家の中がくっきりと見えた。家のドアを開いて、リンリンとベルを鳴らしつつ家に入る。ポプリとかいう花の香りがした。これまで知り合いから聞いたことが無いが、ポプリってどんな植物なのだろうかとも思った。


「お帰りなさい、おじ様。前に比べたら少しは綺麗でしたが、まだまだですわ。私以外にも本当にメイドさんかサーシャお姉ちゃんのようなお手伝いさんを雇った方がいいと思います。これまでどうしていたのですか?」

 昨日、家に戻って来た時のように呆れて、リリーは疑問に思った。


「昔は、掃除にサーシャが手伝ってくれていた」

 またもや罪の意識を感じたガラガラは疑問に答えた。


「サーシャお姉ちゃんは、料理に比べて、そこまで掃除が上手くなかった記憶がありますが、サーシャお姉ちゃんでも掃除したくなりたかったくらい、汚かったみたいですわ」

 リリーは、ガラガラが知りたくもなかった事実を伝えた。今度こそ、反省して欲しかった。


「とりあえず食事にしよう。そうしよう」

 ガラガラは、リリーが作ったであろう食事の匂いに釣られ、話題を逸らした。


「そういうことにしておきましょう。とりあえず食事を用意しますね。お皿の配膳はお任せしますわ」

 リリーは渋々納得して、お願いした。


 ガラガラは、以前見たリリーの配膳を思い出しながら、おっかなびっくり食事の用意をした。その配膳の姿を見て、リリーは仕方なく納得した。少なくとも滞在している間のこれからの配膳は、私がやろうと心に決めた。


 リリーがご飯をお皿に盛ってくれた。最近というかいつも適当な食事だったガラガラはハムスターのように頬を膨らませながら、夢中にご飯を食べた。リリーはその姿に呆れつつ、そのガラガラの食事の様子に、好みの濃い味にきちんとできたことに満足した。自分が食べる分は、ちゃっかりと薄味にしておいた。


 ご飯を食べた後、リリーはガラガラのコップに温かいお茶を淹れた。ガラガラは、温かいお茶を飲みながら、リリーの近況を聞いてみた。虐められていないのか心配だった。


「そういえば、リリー。貰った手紙で大体の状況が分かっているのだが、実際どうなのだ?」


「お手紙に書いた通りですわ、おじ様。ただトゥイーニーのときは、本当に大変でしたわ。トゥイーニーではなく庭師がやる仕事を庭師のおじい様が腰を痛めてベッドで寝込んでいるとかで、トゥイーニーだった私が代わりに芝刈りをすることになりましたわ。

 実際、前に屈みながら鎌を使って芝刈りをしていると、若い私でも腰が痛みましたわ。それに鎌だと芝の長さが均一にできなくて、何度も刈る必要がありましたわ。トゥイーニーからコックの補佐をするキッチンメイドに昇進してからは、特に問題ありませんでしたわ。

 あっ、たった今思い出しましたが、以前に作っていただいたカーペットスイーパーですが、色々なところで買われているようで、今のご主人様の家にも置いてありましたわ。実際、トゥイーニーだった時、大変お世話になりましたわ。ありがとうございます。他のトゥイーニー達にも好評でしたわ」

 あまり思い出したくなかったリリーは、最初は嫌そうな表情を浮かべて話していたが、カーペットスイーパーを作ってもらったお礼をした。


「それならそれで良かった」

 ガラガラは、リリーが特に問題なく無事であることが分かったので、安心した。それはそれとして、リリーの話からちょっとした儲け話になる気がした。芝刈り機を作ろう。バリカンの要領で作れば、すぐに作れるだろう。


 その日の夜、ガラガラは芝刈り機の構造を考えた。とりあえず芝を刈り取れるように、バリカンを大きくしよう。次に、前に屈んで腰を痛めないよう、立ったまま使えるように長い持ち手を付けよう。ひとまず今晩はここまでにしよう。


 次の日、ガラガラは、相も変わらず美味しいリリーの作った朝食を食べたあと、前の晩考えた芝刈り機の構造を忘れないうちに市場へ行った。市場で必要な部品を買っていると、むさ苦しい姿に戻ったネズミ男と出会った。


「やぁやぁ、これはガラガラの旦那じゃあありませんか。何やら色々と買い込んだみたいですな。旦那の体からなにやら儲け話の匂いがします」

 にやにやと笑いながら、なんだか儲け話がある予感をしつつ、ネズミ男がガラガラに近づいてきた。


「儂には、実際には儲け話かどうかは分からないが、こんな感じで芝刈り機とやらを作ろうと思っている」

 デザインが詳しく出来ていないので、わちゃとわちゃと適当に手を動かして、ガラガラは答えた。


「芝なんか鎌で切ればいいのでは?」

 ネズミ男は、こうやってという雰囲気で鎌を動かす手つきをしながら、疑問を口にした。


「長時間、前に屈んで作業をすると、腰が痛くなるから。そうならないようなものを作りたいと考えている」


「ふーん、そういう物ですか。そうですか、旦那。パッと思いつく売り先はお金持ちか貴族とかでしょうな。あとは、どこだろう?」

 首を傾げながら、ネズミ男は何か考えている。


 むさ苦しい男が二人して市場の道の真ん中で、うんうんと悩んでいると、市場の人達から、お前ら邪魔だと言われて、あしらわれたので、しょうがなくガラガラの家で考えることにした。


「ただいま。今帰ったぞ。」

 ガラガラは、いつもは独り暮らしなので、普段は言わない挨拶をしつつ、ベルを鳴らしてドアを開いて、家に入った。いつもはまだ常識的な旦那がついに狂ったのかと思いながら、その後ろを歩きつつ、ネズミ男が一緒に家に入った。


 ネズミ男は、本当に狂っていたのならば、適当なもので頭を殴ろうとも思った。ガラガラが死ぬかもしれないが、以前のトンカチで殴られそうになったことを忘れていなかった。


「お帰りなさいませ、おじ様。あっ、お客様も一緒ですか、今、お茶を淹れますね。とりあえず椅子に座っていてくださいませ」

 掃除していた手を止めたリリーが笑顔で快く二人を迎え入れてくれた。


 二人は、互いに椅子を引いて机を挟んで向き合って座った。

「あれ?どうしてリリーがここにいるんですか?良い所のお家に雇われていたはずなのに、まさか首になったんですかい?」

 椅子に座りながら、ネズミ男は疑問に思って、直接リリーから聞けないような理由だったらどうしようかと心配しつつ、ガラガラに聞いた。


「ちょっとした休暇らしいから、心配しなくていいぞ。とりあえず芝刈り機の売り先を考えよう」

 ガラガラは、そっけなく素直に返答した。リリーとは、あまり関係を持った仲では無かったが、その返答にネズミ男は安心した。


「まぁ、それならいいんですけどね。芝があってそれなりの広さがある庭を持っている人間と言えば、お金持ちか貴族でしょうが、流石に売り先が限られます。だから、できればもっと台数を買ってくれる場所を探さなければなりませんな」

 顎に手を添え、したり顔でネズミ男は話している。


「そうだ!牧場や競馬場は、どうだろうか?」

 これは名案だという表情でガラガラは、ポンと手で足を叩き。ネズミ男に相談した。


「うーむ、そこそこの量で売れそうですが、そもそもそんなに多く作れますか?」

 昔、お願いした量が間に合わず、注文主に謝りに行ったことを思い出したネズミ男は、ガラガラへ訝し気に聞いた。


「何とかしてみよう」

 根拠のない自信で胸を張ってガラガラは答えた。


「お茶が入りましたよ」

 そんなこんなで二人が話し合っていると、リリーがお茶を持ってきた。コップからはお茶の香しい匂いがしている。二人は、絶対に美味しいに違いないと確信した。


「いやぁいやぁ、いい香りのお茶ですな。旦那はケチですので、大体は白湯でしたから」

 ネズミ男が、リリーの淹れたお茶を褒めながら、コップを受け取った。


 うるさい、この野郎と心の中でネズミ男を罵倒しつつ、ガラガラもコップを受け取った。


 一口飲む。やはり自分の淹れたお茶とは違い、リリーのお茶は美味しかった。


 温かいお茶を飲み終わると、そこそこの時間が経っていたので、夕食の時間になった。厚かましくネズミ男も一緒に食べた。むさ苦しい男を前にしてもリリーのご飯は美味しかった。


 先にリリーを綺麗なベッドに寝かし、二人でその後も話し合った。さらに夜になってから、やっとネズミ男は帰って行った。


 あくる日、芝刈り機の試作品を作ることにしたガラガラは、とりあえずバリカンと持ち手、コロコロと回転する車輪を作ってみた。作ってはみたが、バリカンはそもそも鋏のようにチョキチョキと開け閉めする動作が必要だ。


 そのため、持ち手を押すと車輪が回り、その際に車輪に付けたバリカンが動作する機構を加えた。さぁ、実験しよう。近くの森に行き、適当な雑草を刈り取ってみる。ざっくりと芝が切れた。とりあえず試作品はこれでいいだろう。


 ガラガラは、早速、そこら辺の孤児にお駄賃を掴ませて、ネズミ男を呼ぶように頼んだ。ドアを乱暴に開けた小綺麗なネズミ男に芝刈り機の試作品を押し付けた。


 ぜぇぜぇとしていたネズミ男は、息を整えてから急いで出て行った。何やら文句を言いたそうな雰囲気だったが、あとはネズミ男に任せよう。自分はゆっくりとリリーのご飯とお茶を堪能するのだ。


「おじ様、お仕事がひと段落したようですが、もうちょっと掃除したい場所がありますので、家を出て、どこかで暇を潰してくださいね。例えば、ネズミ男さんのお手伝いとかいかがでしょうか?」


 そんな思惑があったガラガラだったが、まだ掃除する場所があったらしく、リリーからお尻を蹴り上げられたように家から追い出されるようだった。仕方なく自分も髭や服装を小綺麗にしてから、リリーの提案通り、ネズミ男の後を急いで追っていった。


 二人して、お金持ちや貴族とか色々な場所に行って芝刈り機を売るための実演と説明をした。なんだかかんだで好評だったので、それなりに売れるみたいだった。いくつかの注文をその場でいただいた。とりあえず売れた量に二人は安心した。


 ガラガラは、すぐに家に帰って、家の近くの倉庫で芝刈り機を作り始めた。売れた相手が相手なので、持ち手の誂えに綺麗な紋様を刻んだ。


 2日位の間、ガラガラは芝刈り機を作り続けた。その間に、リリーに贈る分の芝刈り機も併せて作った。とりあえず、注文された分の芝刈り機を作れた。今回は間に合ったので、ガラガラは心底安心した。


 二人は可能な限り売れる分だけ、芝刈り機を売った。ただ、いつものように結局は他の工房でも作られるようになった。まぁ、いつもの事だしと二人は諦めた。ひとまず二人の懐は温かくなった。アイデアをくれたリリーへのお礼を兼ねて、リリーを含めた三人でちょっと豪華な食事をした。


 ガツガツと汚く食べる二人のむさ苦しい男達とは違って、リリーはとても綺麗なテーブルマナーでご飯を食べていた。メイドって凄いと二人は思っていたが、ひとまず目の前にあるご飯を食べることに夢中だった。リリーは自分よりも年上であるはずの二人のその姿に呆れていた。ただ、このちょっと豪華なご飯はいつも食べられるものではなかったので、静かに噤んでいた。


 リリーがそろそろお金持ちの老人の家に戻る日が遂にやってきた。ガラガラは、ちょっと悲しくなった。気丈な表情で話しを切りだした。

「リリーが帰った後にリリーの雇われた家へ芝刈り機を送るので、受け取ったら使ってみてくれ」


「ありがとうございます、おじ様。芝刈り機を受け取ったら、早速使ってみますわ。それでは、大変お世話になりました。また、休暇がありましたら、お世話になりたいと思いますので、その際はよろしくお願いします」

 そう言うと、両手でスカートの裾を掴んで、見事なカーテシーをしつつ、にっこりと笑顔でリリーは別れの挨拶をした。


「使い方の説明書も一緒に送る。達者でな、元気でいるんだぞ。」

 また来てくれるかもしれないので、ちょっと期待しながら、ガラガラは別れの挨拶をした。


 リリーの休暇が終わって、またお金持ちのご老人の家へメイドの仕事の為に向かっていった。郵便屋に頼んで、芝刈り機をリリーの元に運んでもらうように頼んだ。


 その数日後、ガラガラの家に郵便屋から手紙と何かの箱が届いたようだった。差出人はリリーだった。ガラガラは、すぐに開けたい気持ちで嬉しい気持ちだったが、慎重にペーパーナイフで手紙を開けた。早速、中身を検めてみる。とってもわくわくした。


『拝啓、ガラガラのおじ様


 早速、家に届いた芝刈り機を庭師のおじい様やトゥイーニーの皆で使ってみました。とても好評でしたわ。とても珍しかったみたいで、ご主人様や同僚のハウスメイドやハウスキーパー様も一緒に芝刈り機が動いているところを見ていましたわ。使い勝手を皆であーだこーだと話していましたわ。


 なんだかこの話が噂になったみたいで、近所の色々な人達がいっぱい来訪されて、ハウスメイドの本領を発揮できて、とても忙しかったですが、嬉しくなりましたわ。お貴族様もいらっしゃって顔を覚えていただきましたわ。こんな幸運は、あまり訪れないものですから、この出会いのきっかけをいただきましてありがとうございます。


 そのお礼として、日持ちするお菓子を小包で手紙と一緒に送りますので、日持ちするからといって、適当にサーシャお姉ちゃんも言っていたよく分からない棚に保管せず、なるべく早く食べてくださいませ。本当に腐る前に食べてくださいませ。作った甲斐が無くなりますので。


               おじ様の酷い日常生活を心配しているリリーより

                                  敬具』


 受け取ったリリーからの手紙の内容をしっかり見たガラガラは、ちょっとほっこりとした気分だった。


 それからガラガラは、久しぶりに実家に帰った。実家には、健在な両親がいた。両親は、大層喜んでくれたが、体感的に大げさに言うと人間の一生を二回りする時間帰って来てくれなかったので、生きている事が奇跡の様に感じたらしい。長らく連絡してなかったなぁと呑気に考えながら、ガラガラの母が作ったご飯を食べた。いつのものようにお母さんの味だった。

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