第6話 両家に説明

 彼に問い詰めたところ、浮気していたことが発覚した。

「いつから?」

「お前が連絡取れなくなる半年前から」

 

 まず、時系列を整理しよう。

 付き合いだしたのは2年半ほど前。 

 婚約しようと言われたのは1年位前。

 

 それから両家での顔合わせとか経済的なことととかを調整してきた。

 それなのに半年前から浮気。それも週1であっていたとか。

「本当に申し訳ない。すまない」

「信じられない」

 お互いに仕事関係の酒の席で知り合ってそのまま体の関係になったとか。


 男性とはわからない。

 浮気発覚で、婚約破棄は確実だった。


 一応、お互いの親友に相談してみることにした。

 女友達からは「頑張って続けてみれば」とのこと。

(続けられるわけないよ)

 友達に相談しても、自分がさめたという実感だけがあった。

 何も彼のためにしたいと思わない。

 どころか触ることも話すことにも少し嫌悪感がある。


 彼のほうも男友達に相談したらしい。その友達からは烈火のごとく怒られる。

 「そんなに大切な奴なら泣かせるなよ」


 両家に説明して別れることになった。

 彼の父親には「息子をどうしようもない男に育ててしまったようで申し訳ない」と謝られた。


 もう未練もない。


 相手の両親からは謝罪と引越料と慰謝料をもらうことになった。

 婚約破棄には慰謝料が発生することを彼は知らなかったらしい。


 結構な額をもらうことになった。遠慮するつもりはない。

 それくらい悩んだし、仕事にも支障をきたすので困っているのだ。


 彼のその後は聞きたくなかったのでしらない。


 その時の浮気女と付き合うなり結婚するなりすればいいと思っていたが、

 あっさり破局したそうだ。


 なぜそんなことが分かったかって?


 彼から一方的な連絡が来ているからだ。

 よりを戻さないかとか浮気していた彼女とは別れたとかなんとか。


 通知を切ることも面倒だし、彼との心地よい時間があったこともまた事実。


 もうこちらから相談することはないのかもしれないが、

 接客の与太話くらいにはなるかもしれない。


 もちろんストーカー化するようなら警察に相談するが、

 今のところはそんな様子もない。


 なにかの役には立つかもしれないから連絡先だけは残してある。


 体の関係はもちろんない。


 きっと、互いにもっともっとふさわしい相手がいるはずだ。

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