第2話彼氏の想い
☆☆☆
「絶対に2日で帰るから。心配しないでね」
今まで口答えしない彼女の突然の反応に頭がおかしくなるかと思った。
何がいけなかったのだろうか。
悔やんでも考えても予定は詰まっている。
朝10時から営業の仕事だ。
不安がってもいられない。
翌朝、身支度をして家を出る時にふと気づく。
かかとがすり減った靴。
(いっけね。靴、勝ってもらわないとな)
彼女に買いに行ってもらおう。お互いにフルタイムだけどアイツのセンスはピカイチだ。サイズしか言っていないのに手持ちのスーツに合う靴を見繕ってくれるわけ。ファッションセンスいいんだ。メイク店員なだけはある。
色彩感覚が優れているからかもな。
メール返信が15分ない。けれどそんなに気にすることはない。
チャンと返信もらえるかとかそんな些細なことは考えにない。
だって涼だぜ。オレの頼みならだいたい聞いてくれる自慢の彼女。
ちょっとウエスト太いけど、肌荒れしているけど。
そんなもの料理の腕で帳消し。
育児もしてくれるって話だし、いずれ介護だってあてにできるしな。
「まぁ息抜きだって必要だよなぁ」
「そうだぜ。営業にだって息抜き葉必要だぜ。やっと緊急事態宣言もとれたことだし一杯だけ飲んで帰りますか?」
「やめといたほうがいいんじゃないですか? 先輩ワクチン打ってないでしょ」
「まー。細かいことは気にすんな」
感染症が世界中で起こってる今においては些細な事ではないと思うのだが。
一応、会社としては申告制で打ったか、打たないか、打てなかったかを聞かれている。
打った奴は外回り。打てなかったり打たないものは内勤に回るのだが、先輩はウソ申告だ。
「気にしますから。マスクちゃんとつけてくださいよ。先輩のせいでなんてうわさ流れたらうちの会社おしまいなんで」
「へーい」
その日は先輩をいなして直帰することに成功した。
彼女からの返信は今もない。あり得なさすぎでしょ。
着信15回はさすがに鬼すぎたかな。
だっていきなりだしな。
「まだ大丈夫」
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