第19話 アイドルは、決して、華やかじゃない!グンマー帝国にきてしまった、アイドル。あの子が、今度でラストステージにするといった理由は?

 「私…。がんばれば、あなたも、日本中の人に注目されるアイドルになれますよって、言われました」

 「…」

 「その人に、あの事務所に、ついていってしまいました」

 「…」

 「気軽な気持ちで、契約書に、サインをしてしまいました」

 「…」

 「そこからは、まるで、変身する前の、シンデレラのしごきですよ」

 「…」

 「私は、冷静さを、失っていました」

 「…」

 「悩んで、悩んで…」

 「…」

 「その悩みが、今日に、つながります」

 「…モモカさん」

 「レイカさんは、輝いていました」

 「…はい?」

 「本当、ですよ?」

 「…」

 「不思議な輝きが、ありました」

 「…私に?」

 「レイカさんって、アユを、歌っていたでしょう?」

 「ああ…」

 「良かったな…」

 「え、あの?どういたしまして」

 「レイカさんって、勇気、ありますよね?ここ、グンマー帝国なんですけれど?浅間山の頂上は、異世界につながっているんでしょう?」

 「…」

 「勇気も、ありますよね?」

 それ、だまされてますよ!

 「そうだ、モモカさん…?」

 「何です?」

 「私がこの施設にいるって、どうして、わかったんです?」

 「あら?あなたの家に電話して聞いてみたら、年輩の女性が、さらりと、教えてくれましたよ?」

 …お母さんだな。

 言っていることとやっていることが、違うじゃないか!

 「私ね…」

 「はい、モモカさん?」

 「まわりには、いろいろ、言われました」

 「え?」

 「コネで、アイドルになれたんだろう、とか」

 「…」

 出来レースかなと思っていたのは、私も、同じ。

 ごめんなさい、モモカさん。

 「私は、アルバイトとしての身分で、なんとか、事務所のアイドル仲間に入れてもらえたっていう感じなのに」

 「…地下アイドル、みたいな」

 「そうですね、レイカさん?予想とは、違った世界でした。チケットとか、私たちが、手売りで…。疲れたなあ」

 「…」

 「私、皆に、こき使われても…」

 「モモカさん…」

 「でも…」

 「…」

 「やるしか、ありませんでした」

 「…」

 「負けたく、なかった…」

 「…」

 「私自身で納得のいけるアイドルに、なりたかったから」

 「…」

 「私ね、レイカさん?」

 「…はい」

 「今度で、最後のステージにしようと、思っています」

 「え?」





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