第17話 笑顔でいなければならない、アイドルの現実って?「私たちは、皆の前では、笑顔。悲しい顔をしていたら、買ってもらえない商品ですから」 

 また。

 モモカさんの目から、また、しずくが…。

 「レイカさん?」

 「は、はい?」

 「あの事務所には、女の子の情報とか守ろうという気持ちが、あったのでしょうか?」

 「…」

 「何度も、考えさせられますけれど…」

 「はい?」

 「アイドルは、冷たく言えば、事務所の商品でしかありません」

 「…」

 「アイドルの世界での女の子は、都合の良い、物にすぎないんですよ」

 「…」

 「物は、売れなくなってきたら、店には、並びません」

 「…」

 「私は、新人アイドル、新人アイドルともてはやされて、見えるものが、見えなくなっていたんですよね」

 「…」

 「視力とは、また、違う意味で…。何も、見えてはいませんでした」

 「…」

 「アイドルは、ある意味、物。商品なんです」

 「…」

 「物は売れなくなったら値引きされ、店の奥に、追いやられていく」

 「…」

 「たらい回しにされるかもしれない、商品としての、偶像」

 「…」

 「私たちは、何のための偶像になるのでしょう?」

 「…」

 「…私、毎日、泣いていたんですよ?ステージの裏で、こっそりとね」

 「…」

 「不公平ですよね、レイカさん?」

 「はい?」

 「アイドルの子は、いつも、笑顔だね!って言われがちです」

 「…ええ」

 「不公平です…」

 「…」

 「そりゃあ、私たちは、皆の前では、笑顔ですよね?悲しい顔をしていたら、買ってもらえない商品になっていって、お払い箱いきなんですから」 

 「…モモカ…さん」

 「アイドルって、客に、いつも素敵な笑顔で良いねって言われるたびに、悲しくなります」

 「…」

 「もちろん、そんなことはないって言う子も、いるでしょう。客に、笑顔をほめられると、うれしいじゃないかって…」

 「…」

 「でも、それって、本心?本当は、いつわりの仮面なんじゃないでしょうか?」

 「仮面…」

 「そうです」

 「アイドルの、仮面…」

 「あなたと出会った、あの、オーディションで…」

 「はい」

 「私は…」

 「はい?」

 「私は、グランプリをとれませんでした」

 「…」

 「だから…」

 「はい」

 「だから、アイドルにはなれないんだなって、あきらめかけていました」

 「…」

 「私、さみしかった」

 「…」

 「そこで…」

 「はい」






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