第16話 アイドルガチャって?「アイドルは、都合の良い商品にすぎないと思っている大人もいる」女の子は、これに、気付けないとならない!

 モ、モモカ…。

 私のムナカタ君を奪った疑惑の、モモカ!

 「モモカさん?」

 「お久しぶり、ですね」

 「…ど、どうして、ここに?」

 「私…」

 「はい」

 ど、どうしよう?

 モモカの目から、しずくが、落ちていますけど…。

 「私、歌って、踊りすぎました」

 「…」

 「アイドルになるって、どういうことなのか?甘く、考えすぎていました」

 「…」

 「私、色紙のサインのしすぎで、腱鞘(けんしょう)炎にも、なりました」

 「…」

 「ライトを浴びすぎて、視力も、かなり、落ちたと思います」

 「…視力!」

 「私…。痛くて、悩みました。悩んでいたら、なぜか、あなたのことを思い出しました。それで、ここにきちゃいました」

 「…どうして、私なんです?」

 「だって、あなたは、3人もの人に囲まれて、オーディションにきていたでしょう?」

 たしかに…。

 「この子、本物のアイドル?だったら、どうして、オーディションを受けにきたんだろうとか…。いろいろ、思っちゃいましたよ」

 「私が、本物のアイドル…?」

 「あなたからは、不思議な魅力が見えたんですよね…」

 「…」

 「少なくとも、私には」

 「…」

 クスクス、笑われた。

 「今こそ、そんなあなたのアイドルパワーを借りたいなと思って…。あなたを、追ってきちゃったんですよね」

 「…」

 「…でも」

 「え?」

 「もう、良いんです」

 「…モモカさん?」

 「私、疲れちゃった…」

 「あの…、モモカさん?」

 「何です?」

 「ここにあなたがいることは、事務所の人とか、マネージャーの人は、知っているんですか?心配、しているでしょう?」

 「…」

 モモカは、何も、答えなかった。

 「私…」

 「何でしょう、モモカさん?」

 「実は、あのオーディションをやった事務所まで、聞いてみたんです」

 「…」

 「そうしたら、あなたの家の連絡先を、教えてくれました」

 「そんなことを、他人に、教えちゃうんですか?」

 「…そういう事務所、みたいですよ?」

 「…」

 「芸能事務所なんて、いろいろ」

 「…」

 「アイドルは、都合の良い商品にすぎないと思っている大人もいます」

 「…」

 「まさに、アイドルガチャ」

 「アイドルガチャ、ですか…」

 あ、あ…。





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