第14話 安住できたと感じても、疑問を持ち、あがき、努力を続け…。落とされても、はい上がって、何かを手にしようとうめく。それが、美しいんだ!

 「がんばれ!」

 この声掛けは、いただけない。

 がんばれと言われた人は、がんばっているつもり。それなのに…?

 「がんばれって、何…?私は、がんばっているつもりだったのに…。認めて、もらえないのかな?ショックだな…」

 がんばれの声掛けは、ときに、こうして、相手を傷付けてしまうことがある。

 だから、軽々しくは、使っちゃいけない言葉なんだよ?

 「私、がんばっているつもりだったのに!誰かが、私を、きらっているんだ。誰かが、私を、殺そうとしているのかな?」

 こう感じてしまったら、心療内科などの専門家に、診てもらうべき。

 完全に、心が、疲れちゃっているから。

 「あれ…?私って、どうしてあんなにも、アイドルになりたかったんだろう?」

 気持ちが、明らかに、変な回転をはじめていた。

 「これを、使って…」

 いや、やめた。

 スマホに頼りすぎちゃあ、いけないよ。

 風評被害とか…。誰かを傷付け、簡単に死ねと言えてしまうのは、SNSがあればこそ。

 人の気持ちを結びつけるのって、難しい。

 誰かと気持ちを通じ合えるようにするために、かえって、誰かを、傷付けるということもあるんだから。

 「僕たち私たちの世代って、かわいそうだよな?」

 違う。

 かわいそうなんかじゃ、ない。

 あなたたちは、どれだけ、恵まれて生きていると思う?

 もしも、かわいそうと言って許される人がいたなら、誰かを助けたかったのに、動けなくなっちゃった人たちのことだ。

 「あ…」

 ここまで思って、情けなくなってきた。かわいそうの話から、母親に叱られたときのことを、思い出してきちゃったから。

 もがき、苦しむ。

 思うように、生きられない。

 目の苦しみに、似て。

 しかしそれでも、その人たちは、生きていこうとするんだ。

 人は、行き届いたと錯覚する社会に安住できてもなお、疑問を持ち続け、あがき、努力をし続け…。落とされても、はい上がって、何かを手にしようとうめく。

 それが、美しいんだ。

 もちろん、はい上がりたくても、どうしても、はい上がれない人はいる。

 「だったら、どうするのか?」

 点字タイプライターと、共に…。

 努力のできる女性を、目指して。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る