第11話 意見をぶつけあい、思いを伝えあうことのできない、オンライン面接世代の男子。反発のできないような男子に、成長はあるのかな?

 「反発したって、良いじゃないか」

 …その考え方が、変わってきた。

 オンライン面接世代の子たちは、反発をしない。というのか、できない。

 男子は、特に。

 「親を、乗り越えていけ!」なんて、思っていない。それより、ラブラブ。

 「成人式、一緒にいこうよ!」

 「入学式も!」

 「入社式も!」

 「いつだって、一緒だよ?」

 こういう男子と、どんな女子が、結婚していくんだ?

 「今どき世代の男子は、フユヒコさんね」

 「フユヒコさんって、誰です?」

 「レイカさん、知りませんか?」

 現実に、戻っていた。

 「今ころ、皆、どうしているだろう?」

 中退しても、気に、なっちゃうもんだ。あんなにも努力をして入った高校、なんだし。

 「うちの高校の部活とか、今、どうなっているんだろうな?」

 ブラスバンド部に入っていた友達が、LINEをくれた。

 「レイカ?部の大会が、おこなわれるんだよ?」

 顧問の先生が、参加するべきか、真剣に、悩んでくれたという。

 「レイカ?先生の立場で、判断を押し付けなかった。生徒の意思に任せてくれる人って、いるんだね」

 こんな話し合いに、なったんだとか。

 「君たち?」

 「あ、先生」

 「大会が…」

 「わかっているさ」

 「君たちは、大会に出たいかい?」

 「出たい」

 「出たい」

 「でも…」

 「出たいけれど…」

 「うちらが大会に出て、変なウイルスを広げるわけには、いかない」

 「そうかも、しれんな」

 「休校期間が、長すぎた。練習が、できていない。聴きにきてくれた人たちに、ちぐはぐした行動をとっちゃうかもしれない」

 「…だったら、出ないほうが良い」

 「かもな」

 「私…苦しい。考えたことを、なかなか、口に出せない人たちの苦しみが、わかってきたかも」

 「ああ。我が指のオーケストラが、狂うな」

 「我が指の、オーケストラ?」

 「我が指の、オーケストラ?」

 「そういうマンガを、知らないのか?」

 「先生?」

 「何だ?」

 「聴きにきてくれた人の、心のオーケストラも、狂っちゃうんじゃないかって…、思います」

 「よし。これで、決まったな」

 意見をぶつけあうということの、大切さ。

 反発のできない男子に、成長はあるのかな?



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