第4話 本当のアイドル、って?「世間ずれ?世間からずれちゃったって、こと?」って母親に言ったら、怒られました。勘違いしている子、多いみたい。

 「レイカ?」

 「はい、はい」

 「やっぱり、ほら、あれよ」

 「あれ?」

 「前にも言ったけれど、家にこもっていることが、多かったでしょう?」

 「でも、お母さん?」

 「わかっていますよ。学校にいけない社会に、なっていましたからね…」

 「…」

 「外出もできず、スマホをいじる生活で、目が、疲れすぎちゃったんでしょ?」

 「うん…」

 「わかるけれど、ね」

 「うん」

 「社会では、言い訳でしかないのよ?」

 「私たちの世代って、かわいそうすぎ…」

 「お母さんは、そうは、思いません」

 「え?」

 「困る人はいても、かわいそうな人は、いません」

 「…」

 「前にも、言ったかしら?あなたたちは、就職氷河期世代の子たちに、何をしたと思うの?」

 「…」

 「かわいそうの意味って、世代で、こんなにも違うんだねえ…」

 「…」

「…困りましたねえ」

 「私、アイドルになれるかな?」

 「本当に、アイドルになりたいの?」

 「うん」

 「アイドルになれたとして、あなたは、どう変われるの?」

 「…そういうの、まだ、わかんないよ」

 「あやふやねえ。アイドルの意味とか、アイドルを目指すあなた自身が、わかっていないわけ?誰だってなれるのがアイドルだなんて、思っちゃっているんじゃないの?」

 「…」

 「そう考えちゃうような人は、本当のアイドルには、なれないんじゃないの?」

 うむ。

 良いこと、言うね。

 「お母さんの、いじわる」

 「世間ずれでも、しているの?」

 「はい?」

 「アイドルも人材不足でねらい目なんじゃないのかなって、思ってない?」

 「…」

 「…世間ずれの、いきすぎです」

 「世間ずれ?」

 「その言葉しか、思いつかなかったから」

 「世間ずれ?お母さんは、世間からずれちゃったって、言いたいわけ?」

 「違います」

 「だって、お母さん?」

 「何?」

 「今、世間ずれって、言ったよね?」

 「まあね」

 「世間から、ずれちゃった?」

 「まったく…、この子は」

 「え、違った?」

 「情けない…」





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