第057食 カンダのロクマルカレー:ゴーゴーカレー・神田駅南口パーク(C06)

 ひとつ前のエピソードで言及しなかったカレー・ブランドがあって、それが〈ゴーゴーカレー〉である。

 二〇二二年十二月現在、ゴーゴーカレーの店舗数は、都内だけでも十五店舗、この企画のご当地である千代田区・台東区に至っては五店、さらに、秋葉原には二店もある。


 さて、関西の〈上等カレー〉と関東の〈日乃屋カレー〉に関しては、カレー・グランプリに複数店舗が参加しているのに対して、北陸の〈ゴーゴーカレー〉は、五店舗中、神田店の一店しか参加していない。

 ホームページを参照してみたところ、「会社案内」の項目において「フランチャイズ加盟店募集」とあったので、ゴーゴーカレーの各店舗は、独立運営形式のフランチャイズ店なので、企画への参加は任意なのであろう。


                   *


 実を言うと、書き手が初めて〈ゴーゴーカレー〉に行ったのは、石川県の金沢を旅行した時の事であった。

 その初体験の時には、ステンレスの皿にフォーク、付け合わせに山盛りのキャベツの千切り、そして、黒みがかった粘土の高そうなカレー・ソースという、これまで関東で食べてきたカレー・ライスとは異なるそのカレーに驚いた、と記憶している。

 すなわち、ゴーゴーカレーとは金沢カレーであり、金沢カレーの初体験が、地元金沢で食べた「ゴーゴーカレー」だったので、金沢カレーといえば〈ゴーゴーカレー〉と意識に刷り込まれてしまっているようにも思われる。


 ゴーゴーカレーは、ホームページの「金沢カレーとは?」という項目に、「55の工程を5時間かけてじっくり煮込んだ特製オリジナル・ルー! それを55時間寝かし旨みを熟成させる!」と書かれているのだが、ここで気になるのは、ブランド名にある「ゴー」という音の響きと〈五〉という数字への紐付けであろう。

 そして例えば、「彩り5色カツカレー」という季節限定カレーがあったり、毎月〈五〉のつく日、五日、十五日、二十五日が「ゴーゴーデー」になっていたり、毎年五月五日が、ゴーゴーカレーの〈バースデー〉になってもいる。

 さらには、ゴーゴーカレーでは、二〇二二年の九月から〈五十五日間〉限定で、瀬川瑛子さんとのコラボカレーを販売したのだが、それは、瀬川さんのデビュー〈五十五周年〉を記念しての事であるそうだ。

 つまり、これほどまでに、ゴーゴーカレーは、〈五〉という数字に対して拘りを持っているのである。

 だから、だ。

 店のメニューの中で最もシンプルな「ゴーゴーカレー」の値段もまた〈五五〇円〉に設定されていたのであろう。


 実は、書き手は、ゴーゴーカレーに来たら、五五〇円の「ゴーゴーカレー」と決めているのだが、それは、この店の〈五〉への拘りに敬意を表しているからで、かくして、この日もまた、書き手は、五五〇円分の小銭を準備して、店に入り、券売機にお金を入れたのだが、なんと五十円たりなかった。


 値段が上がっていたのだ。


 その理由は、原料費の価格高騰の影響に違いない。

 これは、致し方がない事態なのかもしれないが、もう〈五〉に拘った「ゴーゴーカレー」は食せないのであろうか。


 だがしかし、『ゴーゴーカレー』の「店舗検索」ページには、「*店舗により、商品ラインナップ、価格は異なります」という但し書きが付されていたので、他の店舗では、未だに五五〇円の「ゴーゴーカレー」を食べられるチャンスが残っているかもしれない、そう思いながら、書き手は神田の〈ロクマル〉カレーを口に運ぶのであった。


〈訪問データ〉

 ゴーゴーカレー・神田駅南口パーク;神田・神田駅南口

 C06

 十月二十日・木曜日・十四時四十五分

 ゴーゴーカレー:六〇〇円(現金)


〈参考資料〉

 「ゴーゴーカレー・神田駅南口パーク」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、五十九ページ。

〈WEB〉

 「店舗検索」「会社案内「金沢カレーとは?」「NEWS」、『ゴーゴーカレー』、二〇二二年十二月三十一日閲覧。

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