第028食 隣の客はコンセプトがチギャうキャレーだ:カレーの市民アルバ・秋葉原本店(E02)
この日の書き手は、中一時間で、朝カレーと昼カレーを食べたのだが、それらは共に、ミニサイズのカレーであったにもかかわらず、書き手のお腹は既にパンパンになってしまっていた。
それゆえに、昼食後即座に、おやつ代わりの三食目にはいけず、食休みをしてから、次のカレーに〈挑む〉事にしたのであった。
食休みの時間帯、書き手は、秋葉原界隈にいたのだが、夕方、小雨が降ってきたので、あまり移動せずに済む、秋葉原のジャンク通りに面している〈カレーの市民アルバ・秋葉原本店〉を選んだのだが、ちなみに、その店の入り口では、『ラブライブ!』の「μ's」の「西木野真姫(にしきの・まき)」ちゃんのノボリが書き手を出迎えてくれたのだった。
さて、食休みを入れたものの、お腹の減り具合が今ひとつであったため、書き手は、今回もサイズがミニの小盛カレーを頼む事にした。
カレーの市民アルバは、創業半世紀の老舗のカレー店なのだが、その開業の地は石川県の小松市である。
そう、石川県ということは、アルバは、いわゆる〈金沢カレー〉なのだ。だから、小盛りにはしても、金沢カレーなので、カツを外す事は出来なかったのだった。
提供されたアルバのカレーは、無論、金沢カレーの特徴を備えていて、器は銀のステンレス、カトラリーは先割れスプーン、皿の端の付け合わせはキャベツの千切りであった。
しかし、肝心のカレールーには、アルバの独自性が認められるそうだ。
それは、アルバカレーの創業者がヨーロッパで西洋料理の修行をし、洋食の基本を習得した経験が反映されているからで、それゆえに、アルバのカレールーはシチューがベースになっているらしい。
アルバのサイトによれば、「ルーはタマネギをたくさん使い、野菜と牛肉をじっくり6時間以上煮込むことで」、「野菜とビーフから出るうま味」を出し、その代わりに、塩分は控えめになっているのだそうだ。
だからなのか、アルバのカレーは、欧風カレーに近く、金沢カレー特有の〈濃さ〉はやや薄めで、他の金沢カレーに比べると粘度が低く、さらに、アルバのカレーはやや辛口になっているらしい。
銀の器に盛られたカレーライスは、一番下にライスがあって、そのライスの上一面をカレーが覆い尽くし、一番上に置かれたカツにはカレーがかかってはおらず、そのトッピングは皿から飛び出さんばかりであった。
これを目にして、書き手は、幾つかの違和感を覚えたのであった。
皿いっぱいのカレーライスなのに、これってミニなの?
どうしてカツにカレーがかかっていないの?
もしかして、皿から飛び出たカツにカレーをかけたら、カレーが溢れてしまうから?
そもそも、何故カツが皿の大きさに収まり切っていないの?
そんな事を考えながら、隣の客の皿を見てみると、それは、明らかに書き手の皿とは大きさが異なっていた。
なるほどそうか。
ノーマルとミニとでは、そもそも、皿のサイズ自体が違っていたのだ。
ミニって、ただ単に普通サイズの縮小版ではなく、サイズゆえに料理の盛り付け方に違いが生じてしまう事もあるんだな。
そして、盛り付けとはカレーのコンセプトである、という前提に立つのならば、ノーマルとミニは別物という事になろう。
今回は、一日三食にチャレンジしたがゆえに、全食ミニサイズにしてしまったのだが、もしかしたら、他の店も、サイズの違いによるカレーのコンセプトの違いが認められる可能性もゼロではなかろう。
だから書き手は思った。
機会があったら、次はノーマルサイズを注文しよう、と。
〈訪問データ〉
カレーの市民アルバ・秋葉原本店;秋葉原・末広町
E02
九月一日・木曜日・十八時半
カツカレー・小盛
七〇〇円(交通系)
〈参考資料〉
「カレーの市民アルバ・秋葉原本店」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、二十四ページ。
〈WEB〉
『アルバカレー | カレーの市民アルバ | Alba Curry』、二〇二二年九月三十日閲覧。
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