第027食 アジ変するいわしカレイ:いわしの大松(D04)
店をはしごする場合、量が少なめのカレーを提供しているかどうかが店の選択基準になる。
こういった観点から、この日の二軒目として書き手が選んだのが、神田駅・北口界隈に位置している〈いわしの大松〉であった。
いわしの大松は、その名称が端的に示しているように、いわし料理専門店で、その得意の「いわしカレー」をもってして、今回のカレー・グランプリへの参加を表明したのだった。
いわしカレーとは、文字通りに、トッピングが〈いわし〉のカレーで、このトッピングにこそ、他のカレー店にはない、大松の独自性と優位性があるのだろう。
だが、いわしは専門ではあるものの、翻ってみれば、カレーは門外漢な分けだから、課題はカレーな分けで、結果的に大松が選んだ手段とは、カレー専門店とのコラボであった。
その大松が提携したのは、スパイシーナッツメーカー〈 hybrid〉が、新宿の伊勢丹会館の三階で運営しているカレーショップ〈MINGLE TANGLE(ミングル・タングル)〉であった。
伊勢丹会館の店紹介のサイトによれば、ミングル・タングルのカレーのウリは、「ぐるぐると混ざり合って五臓六腑にしみわたる、からだ想いのスパイスカレー」で、半分ほど食べたら、味を変化させるために、自家製の〈スパイシーナッツ〉をふりかける事を推奨していた。そのナッツは「カリカリとした食感とコクのある甘み」が特徴なのだそうだ。
すなわち、このミングル・タングルのカレーに、大松のイワシをトッピングしたのが、今回の大松提供の〈いわしカレー〉なのである。
書き手は、朝食カレーから中一時間での昼食カレーであったため、大松では「ハーフカレー」と呼ばれているミニカレーを注文した。
会計は、入店してすぐ、入り口で食券を購入するスタイルで、スタンプもその時に押印してもらう事になる。
その際に、店のママから、いわしを揚げるのに時間が欲しい、と言われたのだが、正直に言うと、朝カレーが未だ消化し切れていない感じだったので、少しでも提供は遅い方が助かる。しかし、料理は、さして待つことなく提供されてきたのだった。
大松のいわしカレーは、皿の半分がカレーで、もう半分は、白米ではなく、黒い色の、おそらく五穀米が使われていて、その黒米の上に、目玉焼きと、マヨネーズがかけられたいわしフライ、そして皿の縁には二種類のスパイシーナッツが置かれていた。
ミングル・タングルのサイトでみたカレーの写真も、五穀米や目玉焼きが皿に載っていたので、いわし以外のカレーライスに関しては、ほぼミングル・タングルのカレーであるように思われた。
料理が提供された時に、ママさんから、半分くらい食べたら、味が変わるからスパイシーナッツをかけて、と念を押されたのだが、その時の「アジヘン、味変」という言い回しが妙に書き手の印象に残った。
そして、スパイシーナッツを加えての〈味変(化)〉というのも、カレーを提供しているミングル・タングルと同じコンセプトなのである。
つまるところ、大松のいわしカレーは、カレーに加え、二種類のスパイス、要するに、三種類の味が楽しめる分けなのである。
ちなみに、三種のアジ変のいわしカレイだからといって、鯵(あじ)、鰯(いわし)、鰈(かれい)、という三種類の魚に変化する分けではないのは無論の事である。
〈訪問データ〉
いわし料理 大松;神田・神田駅北口
D04
九月一日・木曜日・十二時
いわしカレー(ハーフカレー)
八〇〇円(現金)
〈参考資料〉
「いわし料理 大松」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、五十四ページ。
〈WEB〉
『大松』、二〇二二年九月二十九日閲覧。
「MINGLE TANGLE」、『伊勢丹会館』、二〇二二年九月二十九日閲覧。
「真打ち登場!究極の『いわしカレー』で勝負。@神田」(二〇二二年三月一日 十一時二十分)、株式会社 hybrid、『PR TIMES』、二〇二二年二十九日閲覧。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます