第021食 国産三元豚のカツカレー:ティーダイニング(A16)
『神田カレー街スタンプラリー』には、カレー専門店だけではなく、牛焼き肉店や、とんかつ専門店、あるいは豚肉料理専門店も参加している。
とんかつ専門店系のカレーライスの決め手は、当然、豚肉に起因する分けなのだが、週明けの月曜日の午前中、豚肉が食べたい気分になった書き手がカレーライスを食べに訪れたのは、豚肉料理専門店の〈T.dining(ティーダイニング)〉であった。ちなみに、この店がカレーライスを提供しているのはランチタイムのみなので、行くなら昼時だったのである。
東京メトロ・丸の内線の淡路町駅の〈A5〉を出てから、靖国通りと交差している外堀通りを左折し、一番最初の細道を左に曲がり、そのまま、まっすぐ進んでゆくと、道の左手にあるのが、目当ての豚肉料理専門店である。
あるいは、〈A5〉を出てから、神田方面を背にして、靖国通りを進み、自転車屋とつけめん屋の間にある細道を右折し、道にぶつかったら左折しても店に辿り着けるので、ティーダイニングへは、少なくとも二つの方法でアクセスできる。
店内に入って、ランチメニューを見てみると、カレー以外の様々な豚肉料理もあった。しかし、もちろん、カレー以外の選択肢はない。
そして、カレーライスに関しては、「びっくり!おどろき!黒カレー」、「絶品黒オムカレー」、そして「贅沢ロースの黒かつカレー」の三つがあったのだが、豚肉専門店で、カツカレーを頼まないのはあり得ない話なので、当然、書き手は「贅沢ロースの黒かつカレー」を頼んだ。
冊子の店の紹介頁によれば、この店の豚は、「三重県亀山市のオーナーの実家」のファームから取り寄せたもので、店内の掲示によれば、それを一頭買いしているのだそうだ。だから、食材が無くなったら、その時点で料理の提供は終わりであるらしい。
しばらく待っていると、注文した「贅沢ロースの黒かつカレー」が提供された。
白い大きな皿の片面は、白いライスのエリアで、その上には、カツが置かれている。
もう一方の片面が、黒いカレーのエリアで、白い皿から、ぎりぎりはみ出すかはみ出さないかという程、カレーがたっぷりと盛られていた。
最近の書き手は、カツカレーを食べる時には、まず、カツだけを塩で味わい、それから、カツをおかずに御飯を食べ、最初にとんかつ定食として堪能した後に、カツにカレーをつけ、さらにその後、カレーとカツ、ライスを同時に口に運び、カツカレーとして食べるパターンが多くなっている。
今回もそのような食べ方をしたのだが、単品で塩で食べても、とんかつ定食として食べても、カツカレーとして食べても、この店のロースカツは絶品であった。
まさに、これこそが豚肉専門店のカツカレーである。
かくの如く、カツを味わいながら、書き手は、テーブルの上に置かれていたポップに目を通した。
この店の豚肉は「チャンピオン豚」なのだそうだ。
チャンピオンポークとは、「全体出荷の13%の厳選され」た「臭みが少ない雌豚」で、「冷めてもおいしさもやわらかさも変わらない」、「国産三元豚(さんげんぶた)」であるらしい。
ところで、〈国産三元豚〉って何なのだろう?
『和豚もちぶた』のコラムによると、三元豚とは、銘柄やブランド名ではなく、日本にいる純粋品種を〈三つ〉交配させている事を意味しているのだそうだ。
そのコラムによると、日本で飼育されている豚の純粋品種とは、ランドレース、大ヨークシャー、 中ヨークシャー、バークシャー、ハンプシャー、デュロックの六種で、三元豚とは、これら六種のうちの三つを掛け合わせた豚であるらしい。
さらに読み進めてみると、三元豚の最も主流な組み合わせは、ランドレース、大ヨークシャー、デュロックである事が分かった。
もちろん他の組み合わせもあり得る分けで、ということは、一概に、三元豚といっても、交配パターンの結果誕生した三元豚は多種多様ということになろう。
こうした三元豚の交配が急速に普及したのは、昭和四十五年らしいのだが、おそらくはこの半世紀の間に、様々な品質の追及がなされてきたに違いない。
ちなみに、三元豚があるという事は、四元豚も存在している分けで、四元は三元よりも高価であるそうだ。
ティーダイニングのチャンピオン豚は、どの種類の国産豚を掛け合わせた豚なのか非常に気になったのだが、ポップにはそこまでの情報は書かれてはいなかった。
書き手は、今まで、豚肉の交配法とか銘柄とかを意識した上で、豚肉料理を食べた事がなかったので、これから、そういった事にも敏感になりつつ、情報でも、カツカレーを堪能しよう、と思ったのであった。
〈訪問データ〉
T.dining(ティーダイニング);神保町・小川町
A16
八月二十九日・月曜日・十二時
かつカレー:一四〇〇円(QR)
〈参考資料〉
「T.dining(ティーダイニング)」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、六十五ページ。
〈WEB〉
「豚肉のプロが「三元豚」を世界一わかりやすく解説!レシピやお店の紹介も!」、『和豚もちぶた』、二〇二二年九月十六日閲覧。
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