第46話

 「ふう~、ゴブリンの通常の奴以外に赤いのもいる。

 それに、剣士としての装備をしている奴らも―…。

 ランクDのゴブリン系モンスターがいるわね。」


 イルアーんさんは言う。

 その声は、ヒソヒソ声の感じであり、近くにいる有輝が聞き取れるぐらいの声である。

 さて、有輝とイルアーナさんは昼食後に休憩を挟んで、移動を開始してから四十分後という感じですね。

 二人は今、ゴブリンの群れを隠れて観察している感じです。


 「だな、コブリンナイトが群れのボスという感じだな。

 あいつの持っている装備は、ショボいが、金属で出来ているから、スペーグラ行でもそれなりの値段で買い取ってくれる。

 再利用技術があるとはなぁ~。」


 有輝、フォングラの技術を舐めないでください!!!

 そして、そういう守銭奴なことはイルアーナさんのセリフですよ。

 そういうお株はとってはいけないと、ちゃんとあなたの両親から教えてもらっていないのですか!!

 まあ、人の感情なんて、完全に操ることができはしないのだから、そういう意味ではこういうお株を奪うようなセリフも十分にあるということなのでしょう。

 ということで、補足説明をいたしますと、ゴブリンナイトに装備してある装備は、一部金属が使われていたりするんですよ。

 ゴブリンに冶金術は無理……なんて思っている人はフォングラでも多いでしょうが、ゴブリンの中にはゴブリンスミスというのがいて、そいつが冶金術を持っていたりするんですよ。

 このゴブリンスミス…、なかなか戦闘のある場所に出現することはないんですよぉ~。

 ゴブリンスミスを見た人の多くは、ゴブリンが形成している集落にいることが多く、そこでゴブリンたちの生活に必要な物を生産していたりするんですよ。

 だから、戦闘に出現するということは、ゴブリンたちによっては、征服して、永続に支配することと同じであり、その征服が発生する理由はいくつかあるが、多くは、ゴブリンがある土地で過剰に発生して、移動しないとその土地が駄目になってしまうからだ。

 そういうわけで、ゴブリンというのは、人々の束になる移動と似ている行動を集団でとったりするわけです。

 ケースとして多いわけではないので、それに出くわした場合は不幸と言うべきなのだろうか、倒せば、一気に成り上がってしまうことができるので、チャンスととらえるべきか。

 う~ん、状況によりけり。

 さて、ゴブリンがなぜ金属を装備をしたりするのかは、ゴブリンスミスがいてそいつらが作ったものを装備したからということで、話を進めていくことにしよう。


 「ええ、それでもわずかでも現金になるのなら、それを手に入れる。

 私たちの生活の糧になってもらうわ!!

 そして、私の栄華のために、潔く散るといいわ!!!」


 イルアーナさんは、完全に目の前の金の成るゴブリンにしか興味がないという感じだ。

 そして、ゴブリンナイトを中心として見ている感じだ。

 ゴブリンナイトは、ランクDモンスターであり、イルアーナさんや有輝なら何とか倒すことができるでしょう。

 それに赤い奴、オーガゴブリンと言われるオーガに進化する可能性が高いゴブリンである。こいつはランクEモンスターである。

 駆け出しのスペーグラにとっては大変な相手であるが、スペーグラランクDの二人には、十分な相手だってことに変わりない。

 二人はもうスペーグラランクCに近かったりしますから、実力は―…。

 そして、二人は隠れながら、ヒソヒソと言うのだった。


 「じゃあ、行くわよ。」


 「ああ。」


 ということで、有輝とイルアーナさんは、動き出す。

 最初は有輝が、小さい火の玉を五つほど展開し、集中して―…。


 「火の玉………貫け!!!」


 と、有輝は小声で言いながら、静かに正確なコントロールをもって放つのだった。

 有輝が狙ったのは、ゴブリンナイトではなく―…。


 「ゴギャッ…。」


 赤いオーガゴブリンを狙ったのである。

 群れのボスと思われるゴブリンナイトを狙うには、さっき展開した「火の玉」は小さすぎ、ゴブリンナイトに致命傷を与えることができないと判断したからだ。

 その判断は正しく、小さいスピードのある発射された弾丸のようなスピードの「火の玉」は、一秒という時間を経過させることなく、五匹のオーガゴブリンに何もさせることになく、彼らの頭部を貫き、一瞬にして彼らを生を終わらせるのだった。

 このオーガゴブリンの悲鳴に気づいた他のゴブリンとゴブリンナイトは警戒するが、時すでに遅しという感じだ。

 ゴブリンナイトの後ろには―…。


 「魔力覆い………衝撃浸透拳。」


 と、イルアーナさんがゴブリンナイトのいる場所に到達し、素早くゴブリンナイトの顔面に衝撃を与える拳の一撃を食らわせる。

 その一撃は、ゴブリンナイトの命を奪うには十分であった。

 たとえ、防具で覆われていようとも、ゴブリンの素肌に当たってしまえば、防具の意味はないですし―…。

 ということで、群れのボスであるゴブリンナイトが倒されると、他のゴブリンたちは散り散りになって逃げようとするが―…。


 「ゴガァ…。」


 「ゴギャッ…。」


 「ゴガァ…。」


 これは、ほんの一例にすぎませんが、有輝とイルアーナさんは、散り散りになっているゴブリンたちを片っ端から始末していき、一匹たりとも逃がさないという感じにしていく。

 一匹逃せば、この地により多くのゴブリンたち、コブリンから派生し、進化したものたちがやってきて、大変なことになる場合があり、その被害は馬鹿にならない。

被害からの再興というのは、かなり時間を要するものであり、領主にとっては、なるべくそのような被害を出せば、集めた税金をこの分野に消費しないといけないし、そのせいで、進めていきたい事業とか計画を遅らせないといけなくなる。

 まあ、それを面倒くさがって、このような出た被害をなかったことにし、無視することもできるが、それは他の土地への移住を促すことになり、別の土地での問題を発生させることになる。

 普通ならば、このような被害が出た場合は、領主側はしっかりと税金を投入し、国も同様にしないといけない。

 結局、そのような資金を使って、素早く復興させる方が結局、再度収入を得ることができる方法としては、考えられる中で一番なのではないかと思われる。

 一時的に、領主側の集めた税金を減らすことになってしまうが、こういうことはしっかりとしておかないといけない。自分の経済基盤でもあるのだから―…。

 そして、同様に、未然に防ぐための行動も重要である。

 そのための費用を惜しんではいけないし、油断してもいけない。

 この油断といわれるのが、一番恐ろしいのだ。

 大丈夫とか、蜂に刺された程度だとか、そのような如何にも今の状況を理解できていない言葉を言うことは絶対にいけないことであり、為政者であれば、そのことに細心の注意を払わないといけない。

 さて、長く真面なことを言ってしまい、申し訳ございませんが、大事なことなので、しっかりと言わせていただきました。

 そういう自らの経済基盤や、その基盤となっている人々のことを心配し、領土内における人々のより良い生活を築けるように努めているのかというを皆さんは、いろんな情報に惑わされることなく、見張らないといけませんから―…。

 どんな政治体制でも言えることです。

 ということで、話を戻しましょう。

 ゴブリンたちの死体が数匹ほど発生する。


 「これで全員か。」


 「そうね。」


 有輝はイルアーナさんにゴブリンを全員倒したのかを確認する。

 こういう確認は重要だし、映像から見させてもらった時は、全員倒しているような感じでした。

 これで、有輝とイルアーナさんの今日の分は終わりになるのかなぁ~、と、私個人としては思ってしまいますが、二人がさらに獲物を追う可能性もありますねぇ~。

 そして、亜空間バックに、ゴブリンの死体は詰め込まれていくのだった。



 ◆◆◆



 二人はフロンティラベルトへと向かって歩く。


 「大量、大量。」


 と、イルアーナさんは満足な気分で、誇らしげな表情をする。

 ゴブリンナイトを倒して、ゲットしたのだから、それは鼻高々になってしまうものです。

 ゴブリンナイト一匹で、1万ペンアルマルになるんですから―…。

 マジで―…。

 そして、それよりも強いゴブリンを探していたけど、フロンティラベルトの戻って、スペーグラ行に戻って、手続きのことを考えると、今日はこれ以上できないと二人は判断しているのだ。

 まあ、2万ペンアルマル以上はあるので、今日は良い方でしょう。


 「油断するなよ。」


 有輝はまだ、他に何かあるのではないかと思いながら、周囲を見回しながら警戒するのだった。

 過剰に警戒しているふうに見せないようにしながら―…。

 その中で―…。


 「達観有輝とイルアーナ=レイスリ。スペーグラ行の情報から推察するに、あなたがたのようですね。

 私は―…、アルーラファル国の国王直属の者です。」


 いきなり、有輝とイルアーナさんの目の前にフードに覆われた人物が、声からして男が現れるのだった。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る