第6話
…。
……。
………。
………………………………………………。
誰か反応して、本当に―…。
今、私の登場シーンだったんだよ。
シーンだけに、シーンと静まりかえるのはなしだから―…。
そんな親父ギャグが受けるわけないだろ。
…。
……。
………。
………………………………………………。
……………………………………………………………。
反応して―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!
※しばらくの間、お待ちください。今、語り手があまりにも調子に乗り、馬鹿をやらかした挙句、相手にされなかったにより、ショックを受けた模様です。
【数時間後】
すみませんでした。
つい、調子に乗ってしまったことをここに謝罪します。
私の登場シーンであり、ここから私の怒涛の活躍を見せることができるんです。
本当に、そうなんです。
ナメッキーのことが嫌いになったとしても、私のことは嫌いにならないで―…。お願いだから―…。
私はいたって真面目な人間であり、スペーグラとしても十分に成績を修めてきたつもりです。
だけどね、だけどね、私だって誰かから認められたいし、カッコだってつけたいんだよ。
男だよ。目立ってなんぼだよ。
いや、男全員が目立ちたいと思っているのか、お前は目立つことを望まない男は男ではないというのか?
すいませんでした―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!
……………………。
※もうしばらくお待ちください。
【数十分後】
では、何かの中断があったと思いますが、ちゃんと進めていきましょう。
何で中断があったかって?
そんなもの―…、怒りマークをつけて…ね。
ということで、進めていきましょう。
有輝とイルアーナさんを救ったのは、今、語り手となっている私です。
あの頃は、私がこのようになってしまうとは、一ミリも思っていませんでした。
人生とは一寸先は闇ということを実感させられます。
「俺らは―…、遠い国からシャルーラに向かっているのですが、あのナメクジのようなモンスターに襲われて、命からがら―…。」
有輝は私に向かって、自分達がどこへ向かおうとしているのを言いながら、かつ、ナメッキーに襲われていることを言っていますねぇ~。
だけど、この時、有輝とイルアーナさんが嘘を付いていることに気づきませんでしたよ。二人に嘘だと論破していないんですというか、別のことで知ることになるんです。
本当、人生とは不思議だ。
「わかった。ナメッキーなら、すぐに倒せると思いますから―…。」
そして、私は、すぐに、ナメッキーに向かって行き―…。
ここで、皆さん、スクショの準備をしてください。
私のカッコ良いシーンがきますよぉ――――――――。
(ナメッキー。移動スピードも反応速度もモンスターの中では決して早いわけではない。
厄介なのは、酸による攻撃のみ。)
私は、ナメッキーを分析しながら、もっている杖に魔力を纏わせる。
魔力とは、フォングラでは誰もが持っているものであり、魔法をつかうために必要なものだったりする。
最近の研究では、フォングラの世界に来た人々は必ず、大気中に漂っているほんのわずかな魔力を扱うことができたりする。どうして扱えるのかはわかっていない。
そして、その魔力を自らにより多く覆うことができる者が、フォングラでは強かったりする。それには精神力の強さと関係があったりする。
今は、ここまでで良いでしょう。私、ちゃんと、興味のあることは勉強するタイプなんですよ。
この説明でわかってもらえたでしょうか。
そして、喋るだけの雑魚とか言った奴、後で、世界管理局に呼び寄せて、死よりも恐ろしいことをしてやる~。
そして、私は、杖に纏わせた魔力を今度は鋭利な刃物のように先をするどくしていく。さらに、杖の覆っている魔力にさっき使った「酸浄化」ともう一つを組み合わせて混ぜる。
これで準備完了。
私は、この準備完了と同時に、ナメッキーのすぐ側まで到達し、杖をナメッキーに触れさせるのだった。
「酸浄化………、侵入爆破。」
これは、組み合わせ魔法を発動させる時に唱えるといいですよぉ~。
魔法における技の二つ以上を組み合わせる時、最初に発動させたいものを唱え、次に発動させたいものを、という順番を意識するといいのですよ。
スペーグラ行でおこなわれる座学では、上級者クラスにならないと教えてもらえないことなんですよ、これ。
それだけ、大気中の魔力を集める力とそれをコントロールする力が重要になるし、扱うのもかなり難しんですよ。
本当に、本当ですよ。
まあ、有輝が生まれた世界では関係のないことですけど、魔法がない分、憧れたりはしますよねぇ~。
まあ、そんなことは置いといて、詠唱みたいな長いものは確かにあるけど、それは、より正確に魔法を使わないといけないものに限られますね。コントロールが難しすぎるものなどがそれに該当するんですよぉ~。
そして、今回、私が使ったのは、さっきも見せた「酸浄化」。
ナメッキーは酸を吐き出すのでねぇ~、その酸をちゃんと浄化してあげないといけなんです。
「酸浄化」に関しては、スペーグラ行の座学でも、最初から教えてもらえる技なんですよ。
まあ、酸で溶けた死体なんて、見るだけでも嫌ですからね。
そして、次に、本邦初お披露目の技、「侵入爆破」ですね。
「侵入爆破」は、爆破させたい相手に触れることで、相手の体内へと魔力が侵入し、爆発させてくれるんですよ。ただし、全身に回るまでには時間がかかったりもするんですけど―…。
その時間も、魔力の扱い方を訓練していけば、より速く、相手の体内に回すことができるんですけどね。
おっ、ようやくナメッキーに「酸浄化」入りの魔法が体内に回り、「侵入爆破」をするだけですね。
皆さん、これがシャルーラ名物、ナメッキー爆破です。
では、ご唱和ください。
三、二、一。
ド――――――――――――――――――――――――――――――――――ン。
これ、シャルーラっ子がやるから覚えて、今日は帰ってください。
えっ、失礼。
そんな生物の命をもてあそぶような言動は―…。
確かに、モンスターは倒さないと人に被害が出るからしょうがないとしても、それを興行やイベントのようにするのはモンスターの命を軽視しているのではないか。
…………………………………………………………価値観の違いだからしょうがないじゃないですか。
それに、モンスターは迷惑だし―…。
言い訳あるか……ですか。
そんな目で睨みつけるような顔は止めて―…、お願いですから―…。
※しばらくお待ちください。
【数十分後】
私…なぜか…謝罪している回数が多いような―…。
まあ、それも終わったことですし、ナメッキー爆破後を見ていきましょう。
ナメッキーの体は四散していきました。
まあ、ナメッキーの体液がかからないように、全身の魔力を覆って防御はしていましたけど―…。この時の私は―…。
「ふう~、これで討伐完了。」
そして、私は、有輝とイルアーナさんのいる場所へと視線を向ける。
なぜか、二人は呆けた表情をしているのだった。
ちなみに、二人にも魔力を覆わせてあげて、ナメッキーの体液がかからないようにしました。
まあ、二人は気づかないだろうと思い、お礼を求めませんでしたが―…。
(すげぇ~。)
と、有輝は心の中で思う。
というか、有輝はそのように思っていたのか―…。
語ることになって初めて知りました。
有輝は、私のナメッキーを倒しをすごいことだと思っているのだと―…。有輝はやっぱり人としてできていますよ。人間性有りだね。
(ナメクジモンスターの体液はかからなかったようね。というか、あんな爆破で倒すなんて聞いてないわよ。
助かったのは事実だけど―…。そのせいで、言いずらいわ。)
イルアーナさんが空気を読んだ…だと。
私はこの時、イルアーナさんは清楚な方だと思っていましたが、接していくうちにそのような人ではないと何度、思ったことか。
まあ、別に、女性は世界にいっぱいいますし―…。
私のビビっとくる人と結婚したらいいのですから―…。
まあ、そろそろ進めていかないとですね。謝罪で余計な時間を食ってしまったし―…。
「君たち、大丈夫かい。」
私は有輝とイルアーナさんの元へと向かい、話しかける。
二人のことはちゃんと、警戒していたんですよ。
どこか遠い国から不法に出国した犯罪者かもしれないですからねぇ~。その可能性も考慮しておかないと―…。
それと、後は、ちゃんと声をかけておかないと―…。
「ああ、助かりました。助けていただきありがとうございます。」
有輝はちゃんとお礼が言える人なんですね。
偉いですよ、フォングラという世界、偉い人ほど、このようなことが出来ない人が多いですから―…。
私が見て来た人々からの経験から言いますと―…。
そして、イルアーナさんの方は―…。
「ありがとうございます。あなたのような方に助けられて、私、感謝しています。私の名前は、イルアーナ=レイスリと言います。
あなたのお名前は、さぞや有名な方と存じますが―…。」
私に近づきすぎですよ。
ドギマギしてしまうぐらいに近いですよ。
近いのは、お酒を女性の人からお酌をして飲む高級なお店と、夜のお金を払うことで女性との間でここでは言えない行為をするお店に行った時ぐらいですよ。
私だって、男の端くれなんですから―…。行ってみたい気持ちはあるもんなんです。
そして、イルアーナさんは、私が有名な人であり、その人の下にいれば、安全が確保されるだと思っているようですね。
イルアーナさんにもし言う事ができるのであれば、こう言いたいです。この世に、完全に安全な場所なんて存在しない、と。
ちなみに、私はさぞや有名な方かと言われれば、世間一般ではそこまでないですが、スペーグラの界隈ではそれなりに知られていると私調べでは思いますよ。
だけど、ここは控えめになってしまうのが私という存在なんです。
「有名ってほどではありませんが、ギフトなら持っています。」
私の言葉に、有輝とイルアーナさんが頭を傾げるのだった。
ギフトを知らないようですね。
まあ、フォングラに来たのは初めてであるし、かつ、二人ともフォングラの出身じゃありませんからね。私は、この時、そのようなことはまだ知らなかったのですけどね。
「ギフトですか、素晴らしいですね。では、シャルーラへの行き方を教えて欲しいのですが―…。
助けていただいたのに申し訳ございません。重ね重ね。」
イルアーナさんがシャルーラの場所を尋ねるのだった。
ギフトの話題はまずいと判断したのか、素早く自分達の目的へと話を変えましたね。
イルアーナさん、そういう機転はきくんですよねぇ~。その能力を自分の欲望以外のためにも使って欲しいものです。
そんなことをここから言ってもイルアーナさんには聞こえませんので、ここまでにしておきましょう。
(それにしても、この二人―…、ギフトのことを知らないようだね。
表情からまるわかりですよ。
だけど―…、悪人というわけではないようですね。
なら~、シャルーラに案内しても大丈夫でしょう。)
この時の私はこのように思っていますし、有輝とイルアーナさんが悪人ではなかったことは私なりに納得のいく結果となりました。
この腐ったフォングラという世界をどうにかしてくれることはその後、二人からではない人物から知ることになりましたが―…。
そして、私はスペーグラとして生きてきたが上に、それなりの勘が備わっていると自負しているので、自分の勘に自信をもつことができます。
だからこそ―…。
「わかりました。私もシャルーラに拠点を置いているので、案内いたします。ついてきてください。」
そして、私は、有輝とイルアーナさんをシャルーラへと案内するのだった。
ナメッキーの残骸は処理しなくても大丈夫だと思います。
こういう森は、分解者に分類される生物が生息しており、私たちの目に見えないほどに小さいので、彼らがナメッキーの体をちゃんと分解してくれるでしょう。
ということを補足するかな。
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