第4話

 フォングラ。

 その中の深い森の中―…。

 どこかって?

 それは―…、今のところは深い森の中なんです!!

 ちゃんとこの場所については、わかりますから!!!


 「ここは―…。」


 「森の中。」


 最初に言ったのは、イルアーナさんで、次に言ったのが有輝。

 ちゃんと誰がどの順番で言ったのか確認しておかないと、もしも、こういうのが作品化した時に困るし、私が一人で語る時も困るんですよ。聞いてくれている皆さんが ―…。

 確認大事。

 ということで、進めていきましょうかぁ~。

 有輝は森の中にいると理解したようですねぇ~。

 というか、周りは木ばかりなので、森だと理解できない要素が皆無という感じですね。


 「それは見ればわかるのよ。というか、ここがどこの森であるのか、近くに町や村がちゃんとあるかどうかということなのよ。

 理解できる、達観有輝!!」


 「ああ、そうだな。というか、ここにいても何も解決できないしな。

 それに―…。」


 有輝は思い出すのだった。ある言葉を―…。



 ―これは、通信機器の「万能くん」だ。こいつは所有者が確定していて、所有者が破壊しない限り、壊れないようになっているが、今回は、まだ所有者を確定していないので、投げる壊れてしまう。そして、有輝―…。これは、君の世界におけるスマートフォンと同じ形をしている。その方が、有輝が使う時にもわかりやすいだろう。機能もやり方、スマホと同じようにしている。……イルアーナ、「万能くん」を肘を置きなさい―



 ―登録いたしました。所有者は、イルアーナ=レイスリ―



 そう、さっきまで、世界管理局にいた時の最後あたりの部長さんが言っていた言葉を―…。

 そうです。有輝、ちゃんと思い出せるのならできますよね、…よね!!


 (何をボ~っと考えていやがる。さっさと、ここから脱出させなさい!!!)


 こういう時でも、イルアーナさんは人頼みですか。

 彼女、能力は優れているのに、怠惰というものを身に付けて、それに依存しすぎ。

 というか、そろそろ有輝の方から言葉にされることだから、私がここで無理に、すぐに説明する必要はない。


 「ふと、フォングラへの移動途中で、部長さんが「万能くん」なんかをイルアーナに渡していたんだった。」


 「万能くん? ってあれね。って、そんな物は、私の仕事机に置いたままよ。というか、私の手元にはないし―…。

 っていうか、なぜ、達観有輝は「万能くん」というキーワードを知っているのかしら―…。」


 イルアーナさんが怒りながら、有輝に向かって言っているよ。

 イルアーナさんは、フォングラ行きにショックを受けていたせいで、部長さんの話を聞いていないようですね。まあ、そうなるとは、私としても展開的に、読めますよ。

 そして、有輝は周囲を探して、部長さんが投げた「万能くん」を発見して、それを拾い上げる。


 「あった!!」


 「万能くんね。」


 イルアーナさんは、物珍しい物でも見るように言う。

 というか、イルアーナさんは良く知っているものですよぉ~。

 有輝は、イルアーナさんが有輝の持っている「万能くん」をちょこちょこと後ろから見るので、鬱陶しいと思うのだった。怒りという感情も混じって―…。

 だけど、有輝はその感情を抑え、話し始めるのだった。

 有輝の方が、人として立派ですよ。


 「そうだな。部長さんがイルアーナに持たせるために渡してくれたものだ。

 それに、この「万能くん」の所有者は、イルアーナになってるから―…。」


 と、有輝は言いながら、イルアーナさんに「万能くん」を手渡そうとする。

 それをイルアーナさんは簡単に受け取る。


 「へぇ~、私のなんだ。」


 と、言いながら、「万能くん」を画面を見ながら、自身が所有者になっているのかどうかを確かめる。

 その確かめる時間は、数十秒というところか。正確にはわからないから、確実なことは言えないが、体感的にはそんな感じなのだろう。というふうに有輝は思っていたりする。言葉にしていないが―…。

 正確に測ると、三十二秒ぐらいでわかりました。私のストップウォッチ調べでは―…。


 「確かに私になっている。ならば、今、ここがどこか、世界管理局に問い合わせるわ。

 その間、達観有輝!! 誰か変なのがこないか見張っていなさい!!!」


 イルアーナさんが命じる。

 命じていることは、連絡するからその間、誰かこないか見張って欲しいのだ。あまり、世界管理局なるものを異世界に広めたいわけではないのだよ。

 世界管理局、それ何? って、説明しないといけないのは目に見えているし―…。

 他の世界があると知られたら、そこにどうやって行けばよいか、何か面白い商売がないかといろいろ面倒なことになってしまうのだ。

 あくまでも、世界管理局とは、世界を管理している機関であり、世界間の交渉のための組織ではないのだから―…。

 有輝がフォングラにいること自体が異例であることは確か―…。

 では、私が世界管理局にいることは異例なのだろうか?

 はてさて、そんなことよりも、有輝はイルアーナさんの言う事を聞くのだろうか。


 「わかった。」


 (ムカつくが、俺らの今後の行動をしていくためには、重要になる可能性もある。言う事を聞いておくか。)


 言う事を聞かないで、一悶着があると思った人は残念でしたが、有輝はそこまで、今の状況が理解できないほどの人物ではないのだ。

 ということで、有輝はイルアーナさんの言い方に不満を抱きながらも、すぐにイルアーナさんが襲われないようにするために、見張るのだった。

 さて、有輝をしばらくの間、見るのはあまりにも暇なんで、イルアーナさんの方を見ていくとしましょうか。

 服装とか、体がどうなっているとかじゃないですよぉ~。ここはちゃんと言っておかないと―…。


 (さて、有輝に見張ってもらうことになるけど、頼りになるとは思えないし―…。

 まあ、今は、ここがどこか、それと必要なものとして、フォングラという世界の必要なもの、場合によっては取り寄せてもらわないといけない。

 何で私が―…。出世のため、出世のため―…。

 出世すれば、毎日、私を顎で使っているような奴らに、命じていてさえすれば良いのだから―…。今度は、私が顎で使ってやるわ。)


 イルアーナさんの心の中で、己の出世欲しかありませんねぇ~。

 もう少し他者に対する思いやりというものを身に付ければ、出世もよりスムーズにできただろうし、部長さんから問題児扱いをされることはなかったと思うのだけど―…。

 私がイルアーナさんに言うことは、今はできないので無駄でしょう。

 ということで、イルアーナさんは「万能くん」を使って、世界管理局の方に電話するのだった。

 トゥルルルルルルルルルルルルルルルル。

 スマホから電話する時に流れる音がしばらくの間、続く。というか、こういう音にしているのはなぜだろうか。

 私、実に気になってしまいます。

 フォングラでは、このような音が鳴る感じの通信機器は存在しないんですよ。

 マジで―…。

 というか、通信手段が鳥などの生物を使ったものや、王族や上級貴族、国の要人クラスは、テレパシー=コミュニケーションという特別の機械を使ったりするのだ。数百年前の技術だそうで、すでにオーバーテクノロジーとなってしまっている。

 原因は、まあ、推測できるのですが、ここで言って余り意味のないことですし、言いません。

 そして、応答があったようですねぇ~。


 『もしもし、イルアーナか。無事にフォングラに辿り着いたか。』


 「はい、ちゃんと辿り着きました。」


 イルアーナさんは、ちゃんと、右耳にスマホを当てて会話をしているようですねぇ~。有輝の生まれた世界では、そのように今もやっているのでしょうか。

 部長さんは、そのような感じで、右耳にスマホを当てて電話するそうですし―…。


 『そうか、そうか。それは良かった。辿り着いたのなら、必要なものをいくつか送ろう。』


 「必要な物って―…。」


 『そうだな。最初にフォングラでもイルアーナ、それに達観有輝の身分証がないと、生活していくことができないだろう。

 だから、偽造ということになるが、二人の身分証を作っておいた。送っておく。くれぐれも紛失をしないようにな。』


 部長さんが言うと、イルアーナさんの手元には、イルアーナさんと有輝の分のフォングラにおける身分証が出現するのだった。

 ほんの一瞬で、出現したので、さすがのイルアーナさんも心の中で少しだけ驚くのだった。

 ちなみに、この身分証というものは、不思議なんですよねぇ~。

 詳しく説明しますと、身分証、人が生まれた時に出現し、その人の体の中に宿るのですよ。

 そして、必要な時に、体から念じることで、身分証を出現させることができ、身分証明をおこなうことができるのだ。

 便利ですよぇ~、ていうか、どうしてフォングラではこのようになっているのかを、私が説明することができないのだから―…。一言、フォングラはそうなっている、としか―…。

 さらに、身分証はさっきも言ったけど、その人の体の中に宿るということから―…。


 「わっ、ちょッ…、何よ!!」


 イルアーナさんは驚きのようですね。

 要は、イルアーナさんが持っていた二人分の身分証のうち、有輝の分は有輝のいる方へと勝手に飛んでいくのだった。


 『フォングラの身分証だ。所有者のところへと飛んでいき、体の中に宿る。

 イルアーナの分もそうなっているはずだ。我々、世界管理局は、すべての世界が技術を偽造する…、言い方が悪いな、すべての世界の技術を扱うことができるのだ。

 フォングラのシステム通りにすることは造作もない。

 ということで、さっき言った紛失に関しては、よっぽどのことがない限り、あり得ないことになろう。』


 「そういうのは早く言って欲しい。」


 『すまん、すまん。』


 部長さんも説明をし忘れていたようで、イルアーナさんがプンプンという感じ、怒っていますねぇ~。

 女性は、男性が思っているよりも綺麗なイメージ通りの生き物ではないのだよ。ちゃんと強かに行動することが男性以上にできる人がいるのだから―…。

 まあ、ここで、男女の違いなんて言っていたとしても意味がないことですからねぇ~。男性だろうと女性であろうとも、人それぞれに違いというものは存在するのですから―…。

 その間に、有輝は―…。


 「おわぁ!!!」


 (何だこれ…。というか、俺の体の中に入っていく。何でだ。フォングラって、俺らの世界で言うところの異世界系小説の世界のような感じなのか。

 漫画やアニメもあるのだから、小説だけに限定しても意味はないか。

 つ~か、何だろう、これは―…。)


 という感じで、不思議に思うのだった。

 そして、イルアーナさんが有輝の方へと向かって行く。


 「さっさ、何か変なの飛んで、体の中に入っていった。」


 「ああ。」


 「それは、フォングラにおける身分証だから―…。その身分証、念じれば、手元に出現させることができるから―…。」


 「はい。」


 有輝は、イルアーナさんの言葉を、驚きながら聞くのだった。

 というか、急に言われたので、驚いてしまったのだ。

 そして、有輝は驚きながらも、イルアーナさんの言葉を聞いていたのは確かだ。

 有輝は念じながら、フォングラにおける自身の身分証を展開するのだった。


 「おお、これが―…。」


 (フォングラの身分証か。俺は名前は漢字でちゃんと表記されている。そして、出身は和奈倉わなくらという国なのか? 

 まあ、よくはわからないが、そういうことにしておこう。

 フォングラで行動する以上、和奈倉に関する情報の収集はしっかりとしておかないとな。

 で、属性ってものが書かれているな、イルアーナの上司の人が見せていた魔法のようなものがある可能性もあるのか。

 俺のは、地、水、火、風、光、闇、生の七つの属性を扱えるのか。これはある意味で有利だな。

 後は、もろもろあるな。)


 ということで、優しい私がわかりやすいように達観有輝のステータスを述べておくとするかぁ~。

 達観有輝は、和奈倉という国の出身。

 この和奈倉という国は、フォングラでもそれが実際に存在しているのか分からない国であり、私の知識でもその程度のことしか分かっていないんだよ。

 私自身も有輝とイルアーナさんの先の話に関しては、少しだけ先を知っているだけで、今、どうやってイルアーナさんと有輝がフォングラに来たのかという理由を追っている途中だよ。

 動画配信サイトで長時間配信する配信者の人を最近見始めて、最近の投稿まで追うのが難しいぐらいなほどなんだよ。理解できる。理解できない人はそれぐらいに膨大なんだよ。まだ、更新され続けているし―…。

 さて、物語を戻して、次に行こう。

 有輝の属性は、有輝も言っているように、地、水、火、風、光、闇、生の七属性だ。すごいなぁ~。

 どうすごいかって? 

 そりゃ~あ、フォングラでは一つの属性を持っているのが大半であり、三つの属性を持っていたら珍しい扱い受けるぐらいだ。

 それを七つなんて―…。

 チートですか、チートなんですよね。

 だけど、チートであるがゆえに、欠点があったりするもんなんですよ。絶対にそうだ。

 そして、その他にも、身長、体重、年齢、性別、職業などがあり、職業の方は無職となっていた。

 その後、有輝は自らの身分証をしまうのだった。体の中に―…。

 イルアーナさんは、有輝がフォングラにおける自身の身分証を見ている間に、また、部長さんとの話し合いをしているのだった。


 「で、ここ、森の中なんですけど―…。一体、場所はどこなんですか?」


 そう、イルアーナさんにとっても、有輝とっても、一番の問題である。

 二人のいる場所がフォングラのどこであり、近くに町や村があるのかということが重要であり、今、確認しないといけないことだ。

 そして、そのことを部長さんもすぐに理解できたのか、答え始める。ちゃんと調べてくれていたのだろう。

 というか、有輝はフォングラを崩壊から救う大事なピースなのだから、そういうところはしっかりとしておくはずですね。


 『ここはグラアルラ国のシャルーラの近辺だな。イルアーナのいる場所から、南西方面に向かうとある大きな街だ。

 今は、フォングラにおける正午の時間だから、太陽から斜め右に向かえばある。』


 部長さんは、イルアーナさんが森の中にいてわからないと判断して、太陽のある方向からどのように進めば良いかを言うのだった。

 ちゃんとしてますねぇ~。


 「わかった。」


 そして、「万能くん」をきると、とにかく、イルアーナさんと有輝はシャルーラへと向かって、太陽のある場所から右斜めに移動しようと開始する。

 が―…。

 そこで、この二人は悪運に愛されているのかどうかはわからないけど、こういう珍しいことに遭遇するようだ。

 そう、有輝とイルアーナの身長の二倍ほどのあるナメクジ型モンスター、ナメッキーにあたることになったのだ。

 強いよ~、ナメッキー。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る