同居する歳上の後輩が俺を揶揄ってくるのだが、俺が好きなのは妹の方なんですけど!!
鷺島 馨
同居する歳上の後輩が俺を揶揄ってくるのだが、俺が好きなのは妹の方なんですけど!!
「んふっ♪今日も先輩は可愛いですね〜♪」
弾んだ声でそんな事を俺に告げてくるのは年上の後輩。
いや、年上の後輩についてのツッコミは敢えて受け付けない。
「先輩早く、行きましょうよ」
俺の手をグイグイと引っ張って行く彼女。なお、俺のことを『先輩』呼びするのは学校の中や周りに生徒がいるときだけ。普段は『あなた』や『旦那さま』と呼んで揶揄ってくる。
母親譲りの金色の髪、碧い瞳。整った顔立ちにスラリと伸びた肢体。
本人は『人並みの大きさの胸が気に入らないんだよね〜』と言って、いつも俺に胸を押しつけてくる。
何かにつけて、それをしてきた後、
「どう?私の胸の感触は♪」
それでも後に引けなくなって、両手で胸を寄せて俺に見せつけてくる。
「なんなら触ってみる?」
俺を揶揄いすぎて、言わなくてもいい事を口にしたことに気がついたのか、後ろの方は尻すぼみになっていく。
それじゃあ、遠慮なく。
彼女の手に手を重ねるようにして、そっと下から胸を持ち上げる。
「ひゃう、んっ」
弾む彼女の声は可愛らしくも恥じらいを帯びていて俺の耳朶をくすぐった。
これが彼女と出会ってから今も時々続いている出来事。
この積極性は母親譲りだろうか?
そして今、俺は彼女に手を引かれながら我が母校『桜華高等学校』の正面入り口を出る。
正門前の桜並木は新緑を湛えている。
吹き渡る風は
綺麗だ。思っていることが口をついて出た。
「Je suis troublé même si tu dis que tu es belle. Non, je suis vraiment content.(綺麗だなんて、そんなことを言われても困るんだけど。いいえ、本当は凄く嬉しいわ。)」
照れると母親に習っているフランス語で何事かを呟くのは
幸いにも?俺はフランス語も殆ど分からない。英語もなっ!
でも、文明の利器が俺にはある。いや、みんな持ってるスマホアプリの音声翻訳機能を使えばどうにかなる。まあ、今回は手を引かれていて起動出来なかったんだけどね。
訪れる客層も俺や
それで、どうしてこんな場違いなところに俺を引っ張ってきたんだ?
誰かと待ち合わせの予定もないんだが。
お冷やと一緒に持ってこられたメニューにチラリと視線を送る。
今、俺のお財布の中にあるお金事情でここの店はキツイ。ケーキセット二人分で俺の財布は満身創痍になる事だろう。別に俺が二人分払う必要も無いけどね。
だって、俺と
こいつは俺になついているだけの歳上の後輩。
俺が好きなのは
二人が並ぶとその豊満なお胸のせいで
学校では
二人ともそれを訂正することをめんどくさがっているので学校では姉妹が逆転して認識されている。
そしてその二人と一緒に暮らしている俺もその事を知っている。
どうして俺がこの二人と一緒に暮らしているのかはまたの機会に話すとして、今はどうしてこんな場違いなところに連れてこられたのかだ。
向かいの席に座る
「そんなに見つめたら照れるじゃない、ばか」
頬と耳をほんのりと紅潮させてチラチラと視線を合わせたり逸らせたりする。その仕草だけでも可愛い。俺が
「ねえ、そんなに見つめないでよぉ……、Une expression sérieuse est également bonne. Je ne peux pas m'empêcher de tomber amoureux de ça.(真剣な表情も良い。こんなの惚れないわけないじゃない。)」
俺はクレマコーヒー、
ここで、改めて
「En plus, je voulais juste aller à un rendez-vous...(別に、ただ、デートがしたかっただけだもん……)」
俯きがちで小声で囁かれたその言葉を捉える事ができずに再度尋ねる。
「ここに、来たかったけど、一人だと気後れしたの!だから、一緒に来てもらったの!以上です!」
ぷっくりと頬を膨らませて拗ねているその表情も可愛いな。
途端に赤面したことからどうやら俺の心の声が漏れていたらしい。
「Mignon, mignon, hé, vraiment, quel genre de visage devrais-je avoir ? C'est embarrassant, alors ne me complimente pas si directement.(可愛い、可愛いって、ちょっと、本当に、どんな顔していれば良いのよ?恥ずかしいからそんなに真っ直ぐに褒めないで。)」
クリーミーな泡と苦味が抑えられていて今まで飲んだコーヒーよりも好みだ。
「ぷっ、……髭みたい」
えっ、髭、ああ、泡がついてるのか?
「ふふ、可愛い、拭いてあげるね」
自分で拭こうと行動に移す前に
そうなると当然気付かれる。弁解の余地が無いほどに見入ってしまっていた俺は
羞恥の表情を浮かべ顔を紅潮させて、それでもなお左腕で胸を持ち上げるようにして強調する。
「ねぇ、そんなに見たいの」
そう言って右手を襟元にかける。
俺はごくりと唾を飲みそこに視線が吸い寄せられる。
「だめだよ、見せてあげない。私のことが好きなら見せてあげるけど……」
上目遣いで俺を見てくる。ごめんなさい、俺が好きなのは
こほんと咳払いをして取り繕う。
「ねえ、旦那さま」
モジモジとしながら俺の手に手を重ねてくる。
声には恥ずかしさが滲んでいる。
「こんな事をお願いするのは恥ずかしいのだけれど、今度、料理を教えてもらえないかしら」
できるだけ済ました感じで
この姉妹は料理が全くできなかった。初めて会ったのは町内会での野外調理の時だった。うちの両親はキャンプを趣味としていたことから俺もそれなり以上には調理ができるように育てられていたから、その時も調理のできない者のサポート役として参加した。
お米を研ぐことから説明しないといけなかったのは予想外で漫画のように『洗剤はないのですか?』と尋ねられた時には何の冗談かと思った。
それが10歳の時だから、あれから7年が過ぎていた。
彼女達と共に暮らすようになって2年が過ぎた今になって改めて料理を教えて欲しいってどういうこと?
「旦那さま、後二年もせずに卒業でしょ?
ああ、一人暮らしに対する不安があったのかな?
それくらいのことなら家で言えばいいのに。
「じゃあ、この後、買い物デートして、今日から教えてね♡」
俺と
この家に住み出したのは中学三年の時、
あの時のことは忘れられない。俺が『俺は男だよ。娘がよその男と一緒に住んでいいの!?』と言っても『ヒロくんならいいわよ』と
そこまで言われ、すでに俺の両親の了承もとっている状況となれば俺に拒否権はない。この時から
「ただいま〜」
二人揃って無人の家に入り返答がないのがわかっていながら声を上げる。
「おかえり、お姉ちゃん、ヒロ……」
「Ça aurait été mieux s'il n'y avait que ma sœur...(お姉ちゃんだけなら良かったのに……)」
「Ne dis pas ça, Shuri.(そんな事言わないの、
姉妹で何か言い合ってるけど、何度も言うが俺にフランス語は理解できない。
買い物袋を持ちキッチンへ向かう。
この家のキッチンは俺の使い勝手がいいようにレイアウトを変更している。
今から使う物だけをカウンターの上に出し、残りは冷蔵庫等に片付ける。
「旦那さま、夕飯は何を作るの?」
「チッ」
うん、いつもの事とはいえ
以前、俺と
今日の献立はカレー。
「やった!」「私、他のがいい」
カレーを喜ぶ
別に
俺と
以前、その理由を俺は勘違いした。
それでもまだ
ちなみに俺が
引きこもった挙句、先輩から後輩にジョブチェンジした。
あの時の言葉は忘れられない。
『嘘、気づいたら後輩になってた!?』
信じられるか?どうやったら一年以上も引きこもれるんだよって話だ。
その間も結構自由に出かけてたからホントの意味での引きこもりじゃないだろうけど、対外的には自宅療養中だった。
今年になって
「それに、
そんなことを言われると思ってなくて狼狽えたのは記憶に新しい。何よりその時の表情があまりにも可愛くて心が揺らいだ。
いつの間にか、
皮を剥き終えた馬鈴薯と人参を適当な大きさに切ってゆく。
「大きさの目安はあるの、旦那さま?」
あんまり小さく切ると煮込んでるうちに溶けちゃうから、これぐらいを目安にして切ってみようかと手本を見せる。
「ふう〜、緊張する〜」
いや、緊張してるのは俺の方だけど。
手つきを見ていると
不揃いながらもカットが終わり次の行程に移る。
「隠し味〜」
目を離した隙にキムチを入れようとする。コイツ、意外と辛いものが好きなんだよな。
当然、キムチの投入は阻止した。
そう言う事をするから煮込む間も鍋から目を離せない。
ホントなら任せてしまいたいが、俺と
「煮込む間くらい私一人でもいいのよ?」
うん、一人にするとナニを入れられるかわからないからな。
話題を逸らすのに
二人の仲が良すぎないか?と話をふってみる。
実際、
その時の
「あははは、そんなわけないじゃない。妹だよ、姉妹のふれあいだよ〜」
俺の発言をあり得ないと笑い飛ばすとニヤニヤと笑って揶揄ってくる。
「それとも、
俺の気のせいかなあ?
「そんなに気になるなら
うえっ!?俺が慌てると、それが面白かったのかニッコリと笑みを向けてくる。それより、鍋を見てろよと言うとさらに揶揄われた。
「うんうん、照れちゃって、可愛い、旦那さま♡」
わかりやすく狼狽えてしまった。その隙に
「Je souhaiterais être mort(死ねばいいのに)」
リビングに入ってきた
「ダメよ
「嫌よ、
「えっ!?
「違う!、私が好きなのは
「「えっ!?」」「あっ!?」
え〜と、つまり……、
この場を
その後、三人で夕飯のカレーを食べたのだが、非常に気まずい雰囲気で、少し焦げが混じったカレーに意識を向けて現実逃避をしていた。俺から二人に対してかけられる言葉が無い。
「ご馳走さま」
そう言って
残された俺と
「
そうだよな、俺も意外だった。そして、俺がフラれた理由もわかった。
「
珍しく弱気な彼女、テーブルの上で不安げな彼女の手を握る。
「ねえ、
殆ど聞こえなかった
胸が締め付けられた。庇護欲が激しく揺さぶられた。学校では歳上の後輩、家の中では家事もできない頼りない同居人。そう思っていた、『旦那さま』と呼んでくるのも俺をからかっているんだろうと思っていた。
それなのに、今、俺に向けられているこの想いは疑いようのないものに感じた。
俺は何も言えずに思考の沼に囚われた。
「ううん、私も部屋に戻るね……、
涙を拭うこともせずに
俺だけが取り残された。
その日を境に俺たちの関係はぎこちないものになった。
食事は俺が作っているけど、一緒に食べる事は殆どなくなった。
俺と
俺はある決断をする。
そして、夏休みになり数日が過ぎた今日、
「ただいま〜、三人とも、元気にしてた〜」
「お帰りなさい」
「おかえり、ママン」
「おかえり」
女性三人が抱き合う、俺は一歩下がった位置でそれを見ている。
リビングで一頻り談笑する。その間も俺は緊張した面持ちでいた。
「それで
そこに表示されていたのは、この間俺が送信したメッセージ。
それを見た
『これ以上、二人のそばに俺がいると姉妹の関係が悪くなります。俺はココを出て家に帰ろうと思います。つきましては、家政婦さんを雇って下さい』
俺はこの家を出る事を考えていた。
「どうして!どうして、
「
「私?私は
俺を必要としていたのは
「それじゃあ、
「私は嫌よ!!」
「でも、家政婦は雇わないわよ」
「どうして!?」
「一年半年もしたら
「元々、
「う、ぐっ」
「
「それは……」
それは俺も知りたい。
因みに
「
真っ赤になって顔を背ける。
母親はニヨニヨとした表情を浮かべ、
俺だけが
「どうするの
「するわよ!すればいいんでしょ!!」
「
俺の服をキュッと握りしめる。
「イヤ!私は
「
俺の気持ち……、どうなんだろう、俺は仲の良かった二人の関係が壊れていくところを見たくないんだと思う。
それでも俺は、
俺はこの家を出て行く事を改めて伝えた。
「そう……、気持ちは変わらないのね……」
首肯すると、
実家の近くの高校への転入試験も夏休み中に受けられるようになっている。
俺は彼女達の前から去る事を選んだのだ。
その事をこの場で告げた。
「……もうなにを言っても気持ちは変わらないのね。……今まで娘がお世話になりました。二人に代わってお礼を言わせてもらいます」
今までと少しだけ距離を感じる声でソフィアさんは俺に礼を告げてきた。
礼を言われなくてもいいんだけど、俺は二人の世話をすることで少なくないお金をもらっていた。言うなれば、住み込みでバイトをしていたようなもの。そこに
俺の私物も学校関係のものを除いては服以外、スマホにタブレットくらいなもの。家事に時間を割くため趣味らしい趣味も作ってない。
実家に戻ったらもう少しやりたい事をしよう。
それに
ソフィアさんのすすめで父親が帰ってくるまではこの家に残るように言われた。
最後の務めと、俺は二人に料理を教えようとした。けれど、二人とも自室から出てくる事はなく気まずいまま数日を過ごし、帰ってきた父親にお礼を伝えて
少し寂しくはあったが仕方がない。
荷物は宅配便を手配していたからボディバッグ一つだけと身軽だ。
駅へと歩き自宅方面の電車を待つ。
多分、コレで良かったんだろう。この歳の恋が将来まで続いていく事は少ないだろうし、俺も
転入試験は滞りなく終わった。
二学期からの転入、それなりに仲の良い友人もできた。
今まではできなかった放課後友人と遊びに行くという事もできた。
多分、楽しいんだと思う。けど、なにか物足りないと感じる。
ありふれた日常、その中であの二人の事を思い出すことは少なくなっていた。その内、二人の事を思い出さなくなってしまうんだろうな。
そんな折、
『
俺はそのメッセージに返信を返すことができずにいた。
そのメッセージは俺の心に棘のように残った。
あのメッセージ以降、
それでいい。そう思っているのに、
それでも、俺は連絡を取ることをせずに日々を過ごした。
周りからは進路の話が聞こえ始めてくる。
「
声をかけてきたのは転校して最初に仲良くなった男子、
俺は進学するつもりもないし、継ぐべき家業もないから就職を考えている事を告げた。
そんな話をしていると周りのクラスメイトも集まってきてその話題で盛り上がった。進学、就職の割合で言うとうちの高校は進学・三割、就職・七割と就職するものが多い。まあ、俺を含んだ就職組はまだ呑気に構えているけど。
三年になってしばらく経った頃、
『お姉ちゃん、そっちに行ってない?』
どういう事だと訝しく思って
電話に出た
『なに?』
ムッとしたけどそれよりもメッセージの内容はどういう事かを確認する。
『お姉ちゃんがいないのよ』
時間はまだ18:00。普通ならそんなに気にする時間じゃないけど
『それで、そっちに連絡はないの?』
こっちに連絡がない事を伝えると通話は切れた。
モヤモヤした気持ちを抱え家に戻る。
家に帰り玄関を開ける。
リビングに入るとそこには———
「お帰りなさい、旦那さま♡」
メイド服に身を包んだ
「おかえり、
母さんはこの状況をどう捉えてるの!?平常運転すぎる、正気を疑うよ!?
「綺麗になったわよねぇ〜」
うっとりとした表情で
混乱している俺をよそに、
「娘も欲しかったのよねぇ〜、
とんでもない事を言い放ちやがった!
「喜んで!!お義母さま」
えっ!?
俺を置き去りにして、二人が盛り上がっている。
連絡が取れなくなっていた理由は単純にバッテリー切れ。なにもなくて良かったけど、心配している
かなり揉めてるような感じだったけど、なんとか話はついたらしい。
それで、もう夕飯の時間なんだけどまだいるの?
そんな俺の思いをよそに母さんからの問題発言再び!
「
なにを言い出すんだこの母親は!?
「はい!部屋は
コイツもなんで了承してるの!?
一先ず落ち着こう。
うちに
「貴方が
いや、それよりも
「それでしたら、
俺は狼狽えて変な声をあげてしまった。
「あの子が
ダメだ、この人もどっかおかしいよ!!
現実が受け止められなくなった俺は母親にスマホを渡し
通話を終えた母親に俺たち二人はリビングに集められた。
「
なんで、ドヤ顔なの?
「今日から暫く
驚き狼狽える俺とは対照的に
「heureux. Maintenant, je peux devenir la femme d'Hiroya.(嬉しい。これで宏哉のお嫁さんになれる)」
嬉し涙をこぼす
「あらあら」
驚き、目を見開く俺と唇を重ねて嬉しそうにしている
あの〜、母さんどいう話になったの?
「それは、お父さんが帰ってきてからね」
結局、はぐらかされた様な気がする。
その後、俺たちはリビングから追い出されて部屋に行くことになった。
「これを持って行きなさい」
そう言って渡されたのは男女の必需品。って、なに考えてんの!?
「避妊はしばさいよ」
すっごい、男前な感じで言ってるけど!!
「
モジモジしながら上目遣いで俺に訴えてくる。どことなく潤んだその瞳にどきりと心臓が跳ねる。
俺は
やっぱり俺は困惑して、目を左右に泳がせる。
そっと俺の頬に手を添えて顔の向きを合わされる。
チークキスをするように
「私、
改めて告げられ、ハッとして
そこには真剣な表情を俺に向ける彼女がいた。
俺にはまだこの思いに応える覚悟ができていない。あの時、俺たちの未来は分たれたと思っていた。それなのに
「Maître, je resterai à tes côtés jusqu'à ce que tu tombes amoureux de moi.(旦那さま、私は貴方が私のことを好きになってくれるまで側にいるわ)」
その顔が俺に近づいてくる。潤んだ碧眼に吸い込まれる。
目が離せない。
「旦那さま、Je t'aime.(愛してる)」
その言葉は俺も知っている。愛を告げる言葉。
ごめん、
結局、
俺と
俺は無事に高校を卒業した。
将来を見据えた結果、大学進学を決意して、結構危なかったけどなんとか合格する事ができた。
俺だけ落ちるとかいう事にならなくて良かった〜。
この春から俺たちは二人で暮らすことになった。
両家の両親同意の上で部屋も用意された。完全に外堀が埋められている。このまま、流されている訳にはいかない。俺の意志を彼女に伝えたい。
「
恥ずかしさに顔を背けそうになったが堪える。
初めて俺は
「うん……、嬉しい……、私も
唇を重ね、気持ちを伝え合う。何度も、何度も唇を重ねる。
落ち着いたところで彼女は一枚の紙を俺に差し出してきた。
そこには両親達と
婚姻届。
俺たち、まだ大学の入学式も迎えてないのに婚姻届ってマジ!?
「結婚式は後でもいいから、先に届けてもいいよね」
ニッコリと笑うその笑顔が愛おしいと感じてしまっているあたり俺はいつの間にか
こうして俺と
好きだと気持ちを伝えたら婚姻届が出て来た事には両親達に対する呆れしかないけど、それでも
「絶対、幸せにしてあげるね。旦那さま♡ Je t'aime.(愛してる)」
同居する歳上の後輩が俺を揶揄ってくるのだが、俺が好きなのは妹の方なんですけど!! 鷺島 馨 @melshea
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