第13話―—―音に救われた僕。


 ネット通販で買いたい商品をリストに保存しながら、僕は別のこともしていた。

 僕は、動画配信で有名な某アプリを開き、そこに「自律神経失調症 ヒーリング」と検索をかけた。


 これが、僕が始めようとした別のこと―—―ヒーリング系の音楽の視聴だ。


「ヒーリングの音楽は、今は色んな所で無料で聞けるものが多いです。なので、そういうものを再生して自然と眠りにつけるようにすることも大切です。」

 僕は、二回目の診察でお医者さんから言われたことをしっかり思い出した。

 元々、動画配信アプリは何時間も見ることが好きで、夜までよく視聴していたが、ヒーリング系の音楽は聞くことが少ない。それを聞く時間を、他の動画を視聴する時間にあてたかったし、そもそもスマホをベッドまで持ち込むことが少なかった。

 だけど、寝つきが悪く何時間も目が覚めたままになってしまう僕は、ヒーリング系の音楽を聞いて眠りにつけるかどうかを知りたくなり、その日の夜から始めようとした。




 その日、夕方に少し眠くなった僕は、動画配信アプリでヒーリング系の音楽を探し、少し再生してみた。すると、すぐに自分の世界に浸る感覚がして、そこからしばらく眠ることができた。

 僕はそれを機に、その日の夜も寝ようと思ったタイミングでヒーリング系の音楽を探し、一番よさそうなものを見つけた。自律神経を整える、や、睡眠用、という誘い文句にしっかり誘われて聞いたそれは、少し聞いただけでも十分に落ち着くことができるものだった。

 僕は望みがあると思って、そのまま再生してベッド横に置いて寝た。


 音楽があると、不安は少しずつだがなくなっていった気がする。音に集中すればするほど、僕自身が音楽に浸る感覚になり始め、段々と瞼が落ちていくことが分かった。

 ―——こんなに眠りやすくなるんだ!

 僕は、次の日の朝起きて、自分が自然と眠りにつけていたことに気づき、素直にそう思った。あまり寝る時に音楽を再生することをしない分、今回の発見は新鮮で驚きがあったのだ。

 これは効果があるな、と僕は気づいた。音の影響は多くあって、方法や音楽を考えて視聴すれば、色んな症状が改善できるとも思えた。

 もしかしたら、僕は音に救われたのかもな―—―僕はスマホを見てそう思った。

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