第12話―—―我慢の断捨離。?
僕は、確実に自律神経失調症と診断され、心身が楽になった。と言っても、とてつもなく楽になって自由になんでもできるようになった、という訳ではなく、ただ単純に、「こういう自分になったからこそ、色んなことを試して治療しよう」と思うことができた。
あまり自由に自分の好きなことをすることに抵抗があったので、元々、僕はやりたいと思ったことでも我慢することが多かった。それは大学生になってもそうで、やりたいことには、理由を考えて「我慢する」という選択を続けてきた。それでも自律神経失調症になり、自分をたいせつにしたいと考えるようになり、自分がやりたいと思ったことや、リラックスできそうだと思ったことは、どんどんやりたいと思った。
僕は、最初に自分が思いついたやりたい事柄を、どんどんインターネットで検索し始めた。まずは、アロマ―—―僕自身が、大学生活を始めて惹かれた分野。だけど、色々なことを考えて諦めたことだった。ただ、ここで一歩踏み出せば何か変わると思った僕は、アロマディフューザーを通販サイトで調べ始めた。
元々は、金銭面で負担が多いことや、種類が多すぎて始め方が分からないことで諦めていた。それでも、どこか吹っ切れた僕は、多少家格が高くなっても一括購入し、リラックスしたり落ち着いたりすることができるように部屋を整えようと決めた。
こういう「自律神経失調症になったから」という理由は、周囲に乱用することはいけないと思っている。もしそうすれば、他の人と距離を置かれてしまうかもしれないし、僕自身もそれを理由にしてしまうと治らないかもしれないと思っている。だけど、周囲ではなく「自分だけ」の場所で変化させたら、他の人のことを気にせず、一人でいる時は楽になれると思っている。
僕は、今考えれば「全て他の人に見せられるような生活をしよう」と意気込んでしまってたのかもしれない。部屋の中でも、課題を地道に進めて家事も行い、常に人を家に呼べるような場所にしていた。誰かに「真面目だね」と言われれば、「そうだと思う。」と言えるようにしていた。
だけど、それで自分が本当にやりたいことを後回しにして、常に「我慢」という選択をしていたことに、僕は気づいた。そして、それによって今の僕は壊れかかっているとも気づくことができた。自然と「我慢」が日常に溶け込んでいたことで、僕はどんどん自分がやりたいことを詰め込んだ思考に鍵をして、いつしか頭で封印をしていたと思う。
「それはいけないよな。」
僕は、心の中で言った。そして、「我慢する」ということを断捨離して、いつか本当に自分のやりたいことを迷うことなくできるように、そして、それを優先することができるようになりたいと思った。
僕は、ネット通販でいい感じのディフューザーを見つけると、それを躊躇することなく「購入したいものリスト」への追加ボタンを押した。たったそれだけのこと。だけど、どこかで一歩、僕自身の声に応えられた気がした。これからも、少しずつ我慢ではなく、時には自分のやりたいことを優先したいと思うことができた。
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