第111話いで人は ことのみぞよき 月草の

題知らず

よみびとしらず


いで人は ことのみぞよき 月草の うつし心は いろことにして

                     (恋歌四711)

※月草の:露草のこと。古代日本の染料。花を直接布に移し、あるいは一旦紙に移して乾かし、入用の時に水に浸して移した。一旦は鮮やかに染まるけれど、色があせるのも早かった。「うつし」にかかる枕詞。

※移し心:移り気。浮気。


いや、ほんとうに、あなたという人は、ことば(だけ)がたくみなのですね。

(そんな熱心な口説き言葉を言いながら)(月草で染めた衣が、すぐに色あせるように)浮気心だけは立派なのですから。


こういう歌やドラマは、現代でも数多くある。

一夫多妻制の名残と、言う人もある。

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