第112話いつはりの なき世なりせば いかばかり

題知らず

よみびとしらず


いつはりの なき世なりせば いかばかり 人のことのは うれしからまし

                          (恋歌四712)



嘘や偽りなどが、ありえない世の中であったなら、どれほどあの人の言葉は、うれしいものになるでしょうか。


仮名序の六つの「歌のさま」のうちの「ただごと歌」の例となっている。   


ただごと歌とは、「何というかどもないこと」であり、ありのままを表現した、という歌のさまになる。 

確かに。その通りなので、全く異論はない。

尚、古注では、漢詩における六義の雅、政治賛美の詩に相当しない、として批判、別の歌を例示しているが、これは漢詩ではなく、「古今和歌集:やまと歌の恋歌」であり、古注の批判、他の歌の例示は、相当な的外れのものと考えている。                


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