第109話すまのあまの しほやく煙 風をいたみ

題知らず

よみびとしらず


すまのあまの しほやく煙 風をいたみ おもはぬ方に たなびきにけり

                       (恋歌四708)

※すまのあま:須磨の海で働く人の総称。この歌の場合は、女性。

※しほやく煙:当時の製塩法は、海藻に海水をかけて焼いた。


須磨の海人が潮を焼く煙は、風の激しさで、思ってもいない方にたなびいています。


譬喩歌の代表の歌とされている。

「恨み歌」。

自分の恋人の心と身体を奪った相手と恋人への恨み。

「おもはぬ方」が、二重の意味か。


心変わりなど、予想もしていなかったということ。

なびいた相手が、恋敵として見ていなかった女性。

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