第98話夢にだに 見ゆとは見えじ 朝な朝な

題知らず

伊勢


夢にだに 見ゆとは見えじ 朝な朝な 我が面影に はづる身なれば

                       (恋歌四681)


夢の中でも、あの人に顔を見せたくありません。

毎朝、鏡に映した自分の顔を恥ずかしく思っているのですから。


何故、恋人に「夢の中でも、逢いたくない」と思うほど、自分の顔を恥ずかしく思うのか。


大別して

・年齢がかさむなどして、衰えを自覚してしまった。

・恋人の夜離れが続き、嘆きのため、涙顔で腫れてしまっている。


の二説がある。


ただし、恋歌なので、後者と理解したい。

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