第97話君といへば 見まれ見ずまれ 富士の嶺の

題知らず

藤原忠行


君といへば 見まれ見ずまれ 富士の嶺の めづらしげなく 燃ゆる我が恋

                           (恋歌四680)


あなたのこととなると、お逢いしている時も、お逢いできない時も、富士山が、珍しげもなく(常に)噴煙をあげて燃え続けているように、私の恋心も燃えているのです。


千年以上の前の富士山は、活火山だったようで、常に噴煙が上がっていたようだ。

そのため、富士山の噴煙は、燃える恋心の象徴とされた。

ただ、この歌の場合は、夜離れを妻に責められた夫の言い訳に近い。

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