第85話むばたまの やみのうつつは さだかなる

題知らず

よみびとしらず


むばたまの やみのうつつは さだかなる 夢にいくらも まさらざりけり

                           (恋歌三647)


闇の中での逢瀬だったので、はっきりと夢の中とわかっている逢瀬と、何も変わらないのです。


もっとしっかりと、顔を見たかったけれど、事情が許さなかった。

それが残念過ぎて、夢の中とわかっている逢瀬と変わらないと嘆く。


※源氏物語「桐壺」:帝が亡き更衣を思い出す場面で「人よりはことなりしけはひ容貌の面影につと添ひて思さるるにも 闇の現にはなほ劣りけり」(人とは異なる色香漂うお顔立ちが幻のように月の面と重なるのを御覧になるにつけても、歌にある闇中の逢瀬よりも更にあやふやで実感に乏しいものだった)に引かれている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る