第84話かきくらす 心のやみに まどひにき


(前歌)

きみやこし 我や行きけむ おもほえず 夢かうつつか ねてかさめてか


返し


在原業平朝臣

かきくらす 心のやみに まどひにき ゆめうつゝとは 世人さだめよ


私の心は すでに真っ暗な闇の中で どこにも動けず迷いの中にいるのです。

夢なのか 現実なのか 世間の人が定めればよいかと思うのです。


斎宮と禁忌である密会をしてしまった業平は、罪の重さに悩みつつ、開き直ったのか、夢でも現実でもかまわない、世間の判断に任せよと、詠む。


古来、事実の有無を含め、斎宮の禁忌に関わるので、問題となり、論争となった歌である。

「伊勢物語」は、この話が載るから、その名がつけられたと、言われている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る