第83話きみやこし 我や行きけむ おもほえず
業平朝臣の伊勢のくににまかりたりける時、斎宮なりける人に、いとみそかにあひて、又のあしたに、ひとやるすべなくて思ひをりけるあひだに、女のもとよりおこせたりける
よみびとしらず
きみやこし 我や行きけむ おもほえず 夢かうつつか ねてやさめてか
(恋歌三645)
業平朝臣が伊勢国に下った時に、斎宮であった女性に、ごく内密に通い、翌朝になり、(後朝)の使いを送る方法がなくて悩んでいた時に、その女性(斎宮)から送ってきた歌。
あなたはお越しになったのでしょうか それとも私が逢いに行ったのでしょうか。
よくわからないのです。これは夢なのか、現実なのか、寝ているのか、あるいは起きているのでさえも。
斎宮と情事など、本来あってはならないこと。しかし、業平はその禁を破ってしまった。普通の女性ではないので、逢瀬をした証拠にもなる後朝の文など、送れる手段などない。そんなことで迷って思案していると、斎宮から文が来たと言うのである。
また、その文も実に絶妙に、事実をぼかしてある。(歌そのものも、美しい)
尚、この時の斎宮は、恬子内親王らしい。父は文徳天皇、母は紀静子。後に、業平の室となる。
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