第63話たぎつせに ねざしとどめぬ うきくさの

題知らず

壬生忠岑


たぎつせに ねざしとどめぬ うきくさの うきたるこひを 我はするかな

                            (恋歌二592)

激しい流れで、根を張ることができない浮き草のような、浮いているだけ(憂いているだけ)の恋を、私はするのだろうか。


相手は、かなりな高家、深窓の令嬢だろうか。

壬生忠岑が恋文を送ったとしても、酷い拒絶に遭う。(身分の差、財力の差ゆえ)

だから、浮き草のように、恋は根づくことはない。

その根付くことがないから、辛い、憂いを抱えたまま、恋し続けるしかない。

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