第61話秋風に かきなすことの こゑにさへ

題知らず

ただみね


秋風に かきなすことの こゑにさへ はかなく人の こひしかるらむ

                          (恋歌二586)


秋風が吹いている時に、琴をかき鳴らしたりするのですが、その音にさえ、あてにもならないとわかっている人を、どうして恋しくなってしまうのでしょうか。


秋の季節が深まり、冬に向かうにつれて、その風の音も、冷たさと寂しさを増す。

そのような中、琴をかき鳴らせば、相手にもしてくれない人を想ってしまう、心の寂しさと、肌に触れる風の冷たさを感じながら。

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