第58話秋なれば 山とよむまで なくしかに

これさだのみこの家の歌合のうた

よみびとしらず


秋なれば 山とよむまで なくしかに 我おとらめや ひとりゐるよは

                       (恋歌二582)


秋になり、山に響き渡るまで鳴き声をあげる鹿に、私が劣ることはないようだ、特にひとり寝の夜になると。


「一人寝になったからといって、そこまで泣くのか?」とも思うけれど、是貞親王の屋敷での、歌人が多くいる席での歌合である。

ほぼ全員が酒が入っているであろうし、ある程度は「誇張した」歌のほうが、受けるのかもしれない。

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