第13話:ペドフィリア司祭

バレンシア王国暦243年4月17日:エディン大魔境


「ウへへへへへ、今日こそあのウサギ姉妹を想う様犯し尽くしてくれる」


「司祭様、妹の方は司祭様が独占されるのですよね。

 姉の方は俺達に譲ってくださるのですよね?」


「頼みますよ、司祭様。

 私の好みにはもうギリギリの齢なんですよ」


「ええええい、うるさい、うるさい、うるさい。

 ギリギリの齢だとういうのは私の方だ。

 これ以上大きくなったら抱く気が失せてしまう。

 半獣で幼女など滅多に手に入らないのだぞ!

 孤児院の幼女は人間だけだから、完全に満たされないのだ」


 大魔境に司祭と教会騎士が来たから、何事が起ったのかと思ったら、孤児院の子供達を抱くだけでは満足できなくなって、半獣の子供を犯しに来たのか。


 安全のためにソフィアの残してきてよかった。

 こんな汚らしい会話をソフィアに聞かせる訳にはいかない。


 俺が三歳の時に襲おうとした司祭ではないようだが、同類には違いない。

 ここで三人とも殺してしまうか?

 それともウサギ獣人を襲っている所を取り押さえるか?


「分かっていますよ。

 そのために、あいつらの両親や兄弟姉妹を、冒険者に依頼して殺したんじゃありませんか」


「そうですよ、司祭様。

 今回も冒険者に捕らえさせようとしていたのに、急に断りやがって!」


「ふん、噂では年端もいかない小僧に叩きのめされたそうではないか。

 これまで色々融通してやったと言うのに、期待外れにもほどがある。

 まあ、もう抵抗できる大人はいないと言うし、お前達もいる。

 さっさと探し出して教会に連行するぞ」


「「はい!」」

「「「「「ワン、ワン、ワン、ワン、ワン」」」」」


 大体の居場所はローソンズクランから聞いていたのだろう。

 迷う事もなく、猟犬を連れて一直線に移動している。


 強い魔獣が出てこない大魔境の最外縁部、その気になれば直ぐに魔境の外に逃げられる場所についてから、猟犬を使って入念に探していた。


「ウへへへへへ、ついに見つけたぞ!

 死ぬまで犯し抜いてやるから楽しみにしていろ」


 それほどの時間をかける事もなく、司祭達はウサギ獣人を探し出してしまった。

 ウサギ獣人族の年齢はよく分からないが、まだ幼いのだろう。

 大人のウサギ獣人のように深い穴が掘れないようだ。


「「「「「ワン、ワン、ワン、ワン、ワン」」」」」


 猟犬が複数の穴に入ってウサギ獣人を探している。

 ウサギ獣人を見つけたら、そのまま追い立てて地上に出すのだろう。


「「キャアアアアア!」」


 追い立てられたウサギ獣人族が穴から飛び出してきた。

 白い毛並みの子が想像以上に幼い。

 その幼子を護るように少し大きな黒い子が司祭を睨みつけている。


「おお、これなら十分欲望を満たせそうだ。

 サッサと捕らえろ、もう我慢できんぞ」


「司祭様、だったらここで味見してしまいませんか。

 猟犬がいるから魔獣に不意を突かれる事もありませんよ」


「そうですよ、司祭様。

 地下の牢獄で泣き叫ぶ幼女を犯すのもいいですが、たまには魔境で犯すのも趣向が変わって楽しいのではありませんか」


「いや、やめて、お願い!」

「お姉ちゃん、怖いよ」


「ウへへへへへ、怖がり助けを求める幼女を犯すほど楽しい事はない」


「その通りです、司祭様」


「私もそう思います、司祭様」


「もうこれ以上黙って見ていられない。

 あまりにも醜悪過ぎて吐き気がする。

 それが神に仕える者の常識なのだろうが、俺には許し難い」


「無礼者、私をメタトロン教の司祭と知っての暴言か?!」


「そのメタトロン教の司祭と教会騎士が、表向き禁じられているはずの性交どころか、孤児院の幼い子供や半獣族の幼児を犯していると世間に知れてもいいのか?」


「ふん、お前のような小僧の言葉と、敬虔な司祭の言葉のどちらを人々が信じるか、試いしてみるがいい」


「ほう、人々は騙せても、同じ教会の人間は騙せるのか?

 上役に知られたら、懲罰を受けて降格されるのではないか?

 いや、背教徒として破門されるのではないか?」


「ウッハハハハハ、愚か者め。

 教会は、上は教皇猊下から下は助祭まで、皆女子供を抱いておるわ。

 これくらいの事で降格される事などありえない。

 むしろ儂を訴えたお前を背教徒にして抹殺する。

 それが嫌なら儂の命令に従え!

 役立たずのホセの代わりに使ってやるわ」


「そうか、いい事を聞かせてもらった。

 お前の話しでメタトロン教が腐りきっていることが分かった。

 教会を改革するよりは潰した方が簡単なのがよく分かった」


「愚か者が!

 この小僧を殺してしまえ!」


 性根の腐り切ったゲス司祭の命令を受けた教会騎士が襲い掛かってきた。

 装備は騎士に準じた立派なモノだが、動きが遅すぎる。

 重い完全鎧をつけて戦えるほどの訓練をしていないのだろう。


 さて、この三人をここで殺してしまってもいいのだろうか?

 殺すにしても、行方不明にしてしまうべきか、死体を残すべきか?


 人知れずこの問題を闇から闇に葬るのなら、殺して魔獣に喰わせればいい。

 そうすれば教会も追手を差し向けてこないだろう。


 だがそれでは、教会を叩き潰す取っ掛かりを失くしてしまう。

 教会を正面から潰すには、この醜悪な行動を表沙汰にしなければいけない。


 殺して死体を誰かに見つけさせても、同じ事になる。

 教会上層部が隠蔽に走ったら、何も無かった事にされてしまう。


 決まりだな、こいつらを半殺しにして、俺に復讐するように仕向ける!

 教会がどれほど権力を使おうと隠蔽できないくらいの大事にしてやる


「かかってきな、顔の形が変わるくらいタコ殴りにしてやるよ!」

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