■menu17:「ピーマン食わんのなら、何故、つくるぅ?」

テムズ川から7キロもの道のりを。

イギリス市民達の行列が続く。


偉大な「リズ」エリザベス女王の棺を見に、人々は集まったのだ。


感動的なシーンの脇で。

泣き崩れるマダム。


ピーマンを。

只、ピーマンを、美味しく味わってほしかっただけなのに。


ピーマン、好かんのよ。

(知ってます)。


間髪入れずに呟いた本音。


この悲しくも切ないドラマを。

カクヨミの住人達は知っているのか?


※※※※※※※※※※※※※※※


「新吉っつあん・・・」

相変わらず、誰?と突っ込まれるジジイが、人力車を停める。


「へい・・・・」

いつもと変わらぬ平常心の新吉。


「このお土産、台所の隅においといて・・・」

「へい・・・・」


「イトはんの大好きな「スグキ」と・・・。」

「それと・・・?」


「大根の赤しそ漬け・・・甘ぉて、ワテは苦手なんやけど、イトはんは好きそうや・・・」

「わかりましたっ・・・おいてきます・・・」


「イトはんに、気づかれんようになぁ・・・気ぃつこうて、ピーマン箱で送られても、カナンからなあ・・・・」


新吉を見送りながら、ジジイは今宵も月を眺めるのであった。


「ピーマンもゴーヤも・・・嫌いやったら、植えるなや・・・・」


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