第14話 十四日目
「ふぁぁー」
窓から朝日が差している。
ふかふかの布団から這い出す。
背中も腰も痛くないし、体も冷えきっていない。
(布団最高!)
幸せな環境だが、いつまでも惰眠を貪っているわけには行かない。この過酷な世界では怠惰な人間は生き残れないのだ。
今日やることは決めている。
まずは外に簡単なかまどを作ろう、昨日貰った肉を調理するためだ!
鍋を直火で扱うのは火力も調整し難くて困りものだ。
食料と体調に余裕のある今こそ、我が家を充実させるべきだ。
髭を剃ったり身だしなみを整えたあと、付近を歩き回って石を集める。
「うぉぉ…」
石って重いんだな。なんて当たり前の事を考えながら作業を進める。
様々な大きさの石といくらかの土を集める事ができた。石をコの字に組んで、隙間に土を塗って形を整えていく。
左右対称にこだわってみたり、あんがい俺はモノ作りに向いてるんじゃないだろうか、なんて考えながら納得のいく形を作り上げた。
休憩しながら作業をしたが、完成する頃にはお昼を回っていた。
(半日かかったな…疲れた。)
早速かまどの上にフライパンを置いて、肉を焼き始める。
ジュー…
食欲をそそる匂いが立ち昇る。
さあ食べよう!
と思ったら近くに黒い塊が居るのに気がついた。先日の真っ黒な子犬だ。
ちょこちょこ
もふもふ
足元まで近づいてきた!
そしてつぶらな瞳でこちらを見ている。
林からついて来たのだろうか?歩き方はしっかりしていて、足の怪我はもう大丈夫そうだ。
「やっぱり可愛い!」
今日は蛇頭鳥のステーキをご馳走した。
生き残るためには精神の平穏を得る必要があるのだ。…なんて言い訳を考えて食後は子犬とじゃれあって遊んだ。
ひとしきり遊んで満足したあとは食事の後を片付ける。片付け終わる頃には子犬は居なくなっていた。現金なやつだ。
肉は沢山ある。
夕飯に焼いて食べる分だけを残して、残りは手頃なサイズに切り分けて、ベランダに干しておいた。乾燥させて干し肉にする事で保存できるようにするのだ。
毎日の安定した食料供給のために保存食は必要である。
水はもう少し備蓄しておくべきだろう。
明日はまた林に入り、沢で水と魚を得ることにする。
今日も、布団で眠れる。幸せを噛み締めながら夜は更けていった。
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