第4話 四日目
起きると腹痛は良くなっていた。
しかし体はだるいし、喉の渇きがひどい。とにかく何か飲みたいが、汲んできた水は危険だった。
「煮沸消毒すれば飲めるよな。」
祈るように独り言を呟いた。すぐさま表で火を起こすことにした。雑誌を破って丸めて火口にし拾ってきた枝を組んでライターで火を付けた。
ガスコンロのように火力調節はできないが沸騰させるだけなら十分だ。汲んできた水を入れた鍋を火にかけて沸騰させた。
マグカップに白湯を注いで、冷めるまで異物が入っていないかじっくり観察した。
なにも浮かんでいないし、濁ってもいない。
新鮮で清潔な水に見える。これが飲めないならどこの名水も飲用に耐えないだろう。
一口目はおそるおそる口に含んだが、その後は渇きから一気に飲んでしまった。
「池から直接飲んだ方が味は良かったかもな。」
なんて危険なことを呟いた。
喉の渇きが潤うと、空腹感を感じ始めた。リュックの中には大きな卵が3つだ。1キロ以上ありそうな大きさで若干青みがかっていて、まだら模様がある。一抹の不安があるが試してみるしかない。もはや家に食料はないのだ。
フライパンに油を引いて熱し卵を入れる。卵が大きい分、殻が固いようだ。包丁の背中でコンコン叩いて少しずつ割って中身取り出すことにする。苦労してフライパンに投下するとジューっといい音がなった。
見た目は巨大だが鶏卵とほとんど変わらないように見える。大きいので火の通りは悪いだろう、蓋をしてしばらく待つことにした。
しばらくして蓋を取ると少し焦げているものの、最高の目玉焼きが完成した!
「食べられますように!」
意を決して口に運ぶ。舌は痺れないし変な匂いもしない、食べられそうだ!
味は白身部分は鶏のものとあまり変わらないように感じる、かなりの時間火を通したが黄身はパサつかず濃厚でクリーミーだ!
塩で食べていたが、途中で飽きて醤油やケチャップも試してみた。どれもそれぞれ良さがあって美味しい。
結構な量だったが空腹も手伝い、あっという間に食べてしまった。
「これは毎日でもいけるな。」
あと二つ残っている、一日一個食べれば二日は食べ物の心配は無いだろう。
腹が満たされると活力が湧いてきた。
これから何をすべきか、考えることにする。
まずは水だ、池まで何往復かして、家に水をストックしておくべきだ。
食料は、この卵のように食べられるものがまだあるかもしれない。もうすこし手を広げて調べてみよう。
どちらにせよ林にはもう一度行くことを決めた。
今日は体調が万全ではないので様子を見つつ、自宅で必要な準備をすることにしよう。
水を運ぶ容器に、武器になるもの、歩きにくい場所があったので杖があると良いかもしれない。
家の中を探して空のペットボトルを3本用意した。2Lの容器だ。リュックの中に入れておく。水筒には白湯を満たしてリュックのサイドに入れた。武器代わりの包丁もチラシの紙で包んでサイドポケットだ。
杖は現地で手頃なサイズの木を調達することにしよう。
林に行くのは明日だ。
日中の行動時間を増やせるよう、午前中の間に移動を開始することに決めた。
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