第5話 五日目

体調は万全だ。昨日の水も卵も健康を害することはなかったのだ。

朝食に巨大卵焼きを作った。目玉焼きよりは簡単に作ることができ、焦げることなく最高の物を作り上げることができた。

半分は昼食にできるよう容器に詰めてリュックに入れた。

さあ準備は完了した、出発しよう。


片道40分かけて水を汲みに行く、午前中に始めたこの作業だが、3回目の水汲みの段階でもう夕方になってしまっていた。体力ももう限界だ、杖代わりに拾った木に寄りかかって考えた。一回につきペットボトル3本、それが3往復で18リットルの水が確保できたことになる。しばらくは水の心配をせずに済むだろう。


これで今日は最後にしよう。

そう決めて、帰り道に薪になるものを拾っていると、近くにまた鳥の巣らしきものを発見した。

やった!卵の味を占めた俺は期待しながら近づいていった、しかし卵はそこにはなかった。

がっかりだ、しかし不運はそれだけではなかった、巣の主らしきものと挨拶することになったのだ。


振り返るとそれはそこにいた

ダチョウのような姿の生き物だが頭はヘビに似ている。背丈は俺と同じくらいあるだろうか。表情では読めないが怒っているのは想像できる。


「やばいっ!」

すぐさま逃げ出した!

今度は体が動いた、化け物に出会うことに慣れてきたようだ。

しかし奴は追いかけてきた、素早さは向こうに分がある、瞬く間に追いつかれた。

追い詰められた俺を感情の読めない目で見ている、つぎの瞬間には牙を剥くだろう!

先手を取ってやるしかない!蛇頭に向かって手に持っていた杖代わりの棒を全力で振り回した。


ゴッ!!


口を開けて威嚇する頭に当たった!これが人間相手なら頭蓋骨陥没は間違いない勢いと角度だ。


奴にとっては予想外の反撃だったのだろう、たまらずよろめいた!


「うぉぉっ!」

よろめいて下がった蛇頭目掛けて、再び打撃を与えるため杖を振り下ろした!

ゴグッ!

さっきより柔らかい手応え、片方の目が潰れたようだ、パタタッと赤く黒い液体が地面に落ちる。

「ギャアア!」


短い叫び声を上げた後

やつは方向転換して一目散に逃げていった。

足取りはふらついている!


あっという間の出来事だ。

助かったのか?心臓が激しく打っている。

体が震えているが、ここは危険だ、早くこの場を離れなければ。

肩から落ちそうになったリュックを背負い直し家に向かって歩き出した。

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