参 『雄すの娘』ここが一番盛り上がる所、股間が。軍事国家・棺の国の首相 来栖川 棺の章

孫一2000年代後期にプレゼンした『雄すの娘』…俺は時代を先取り過ぎてしまったんだなー…

 ハァーッ!フンっ!ハっ!ヤッッ!


 円卓の上で女性、半分戦争まがいの事をやった二人が一対一で戦っている。


 1人は俺の妻、凄い馬鹿だったけど急に外見も勉強も何でも出来る様になり、その勢いで凄い出来る馬鹿になった妻の千代だ。

 俺を御旗に何やら組織を作り騒いでいるひょうきんな妻。


 もう1人は高校生の時のお見合いの相手、まだ中学生にもなってなかった子供。

 この間、何か喧嘩してるから仲裁しようと電話で話したら、凄い勢いで奇声をあげていた。

 最初に会った子供の時も、目が隠れる様な前髪で暗そうだなと思ったけど、今や暗さを残した感じで千代にそっくりな綺麗な子になった。

 やっぱり思春期でかわるもんだなと感慨深い気持ちになっていた。


 まぁ迷惑だから最初からこうすれば良かったのに…とはいうまい。


 その2人が、先程まで俺が間違えて乗って騒ぎになった大きな円卓の上で、何か名家の代表や棺の関係者、こちらは永井や獅子川、皆が見守っている中で殴り合う。

 永井がこちらを見る。永井とは高校時代からの友人で、大人になってからも業種は違えど同じ会社の同僚だ。まぁ俳優とIT系というかなりジャンルが違うが…その俳優の永井が言った。


『これ、メタ◯ギアシリーズのパクりだな。ほら毎回最後はこんな感じじゃん。』


 確かになぁ…意味深な事も言ってるしな。


『貴様に孫一様を聖戦に導けるのか!?』


『私は孫一を信じる!孫一の選ぶ道の前を征く!』


『チヨオオオオオ!!それが駄目だと言っているのが分からんのかっ!?やはり貴様に孫一様を任せられん!正妻から引けっ!』


 ガコぉっ!ガッガッ!


 俺は素人だから良くわからないが棺が押している様に見える。

 とゆうか、千代の動きが精彩を欠いているな。

 棺の回し蹴りが千代の鳩尾にめり込み引く千代…


『ふっぐぅ!?クソぉ!認めてたまるか!負けてたまるか!マゴジーを装填するしか無い!』


 千代がバトルスーツのガンホルダーの位置にあるケースから何かを取り出す。


『甘いわっ!』


 それを棺が回し蹴りの勢いで距離を詰め、捻る様な動きで制し、千代が取り出した物を奪いながら足払いで転がした。


『返せぇ棺っ!それは私の孫一の!私のっ!』


『千代…孫一様に頼るその姿勢…それが気に入らないんだよ私は…こんなものっ!え!?』


 キュポンッ!


 それは水筒のような入れ物から出てきた布。

 なんだろうなと思ったら…俺のボクサーパンツだった。


『なッ!?コレは!?何でこんな物が…ガァァァァアアア!?!?ハヒイイィイイ♥』

 

 棺が急にパンツを持った手で顔を抑え、空いてる手で股間を抑えて悶絶する。

 俺のボクサーパンツ、そんなに嫌かな?

 

『返せぇっ!それは棺が持って良いものではない!』 

 

 千代が飛びかかる…それを渡すまいと後ろに引き…棺はそのままパンツを被った…何で?


―――愛人モード…起動。パージします―――


『デャアアメメメメエエエエエエッッ♥♥♥ミュンナァァァ!♥ミテリュウウウウウウウ♥♥♥』


 棺のコートのような軍服型のバトルスーツが脱げていく。胸を露わにし、コートとグローブとブーツだけを残し落ちていく外装…そして痙攣しながらブリッジの姿勢になる棺…


 俺も流石に驚いた…股間周りのアーマーのようなパーツが取れた取れたと思ったら…




 血管の浮いたカッチカチの、棺の15センチ砲(長さ)がまろび出た…





 千代に似た、しかし千代より身長があり自信と誇り高い、世界一美しい首相と言われた棺。

 千代より大きいおっぱい、高身長ながらスタイルも良いあの棺の股間からマグナムが飛び出した…

 ブリッジをして、まるで武力を股間で誇示するかのように…


―――脳の限界が来てもやめないモード、起動―――


 変な音声と共に、棺の義手らしき左手が自らマグナムを掴んだ。


『でぃゃめ!♥こりぇでゃめ!♥わらしのひみちゅ!♥みゃごいちしゃまの…違…う…ま、孫一さまぁぁぁぉ!!!』




 俺は何が?と思ったが棺か凄い目でこっちを見てきた…しかし俺は俺で、棺を見て思う所があった…






        『すの


 …俺が過去にプレゼンしたゲームだ。 

 永井は引くし、岡田は滅茶苦茶馬鹿にしてきたが俺にとっては会心の一作のつもりだった。

 子供も大きくなれば精通が来る…娘もいる…だからその前に俺の本気を見せたかった…


 内容は…要は男が中途半端に女の子になっちゃうアレだ。

 今やスタンダードなジャンルだが…当時は泣きゲー全盛期、男のアレというと『やらないか?』という台詞が流行り、汗臭ぇガチムチの男同士がヤッセヤッセするイメージしか無かった。


 確かに俺のもう一つの性癖『女体化するウ◯ト◯マン』は一生認められないだろう…だかコレは絶対来ると思って同級生の揃う会議室で本気のプレゼンした。


 営業部の岡田は言った…

『お前、まさかセルフざまぁするとは…流石、白座…俺にはどうする事もできないのか…』

 と、馬鹿にされた。


 普段エビデンスという台詞を連呼するオーナーの獅子川は言った…

『エビ…エ…ビ…白座君…マシロは違うよなぁ…?教えてくれ…頼むよ…頼むから違うと…』

 と、ちょっかい出してる俺の息子の心配をした。


 俳優をやっているが変態性癖で有名な永井ですら

『流石孫一…未来に生きてんな…俺はノンケだが…リアルでケツは…ちょっと入れるのも入れられるのも…』

 と、謎の勘違いをした。


 その後、会社でプレゼンした事が岡田の口から広まり、部下から『マゴさん、ゲイなんっすか?』と言われた。

 俺は、いや、だからゲイとかじゃなくて…と何度も説明したが


 この世界に生まれ落ちたこの俺を…自由と言われた…この時代の…この国は…俺の性癖を否定した


 Too fast to TS too young to 雄すの娘


 そして今や『雄すの娘』みたいなタイトルのアイドルのアニメまで流行っている…


 悔しい…俺は感情が無いとか言われているが…心から悲しかったんだぜ…付き合いが長い千代ですら理解出来なかった…いや、元から千代は俺の性癖を理解してないが…


 気付けば…俺はもう枯れたと思っていた涙を流していた…


 そして言った…


『もっと早く…(TSや男の娘の時代)来ていれば…未来は変わっていたのかも知れないな…』


 俺の言葉は静寂に響いた…この場にいる誰も理解はしまい…しかし棺は目を見開き、マグナムを高速で扱きながら、円卓の上で叫んだ。


『ミャアアあごいちいいしゃまあああぁぁぁぉっっ!!!♥わらしいぃッはぁぁ!♥あにゃたぁ!ダァけええええけ!!♥』


 千代は俺の涙を見た直後、半狂乱になりながら棺に襲いかかった。


『チクショオオオオオオオオオッッッ!!!孫一はぁ!私の夫だ!マシロやチカの父親だ!渡さないっ!きさまにぃ!きさまなんかにぃ!』


 その後、千代の持っていた何か液体が降り注いだ後、棺かスプラッターな感じになってマグナムから白い何かを蒔き散らし、円卓は地獄絵図になったが関係無い…

 


 棺の話とは…俺にはとっては…こんな感じの話だ。

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