前回と今回は読み飛ばしてOKだと思う。不知火って冗談だったんだけどな、拗らせた人には通じないのな

 そんなこんなで?何やら能力も思考もハイスペックになった千代が俺に完堕ちした。

 タアハハー!まいった!まいった…めんどくせ…

 そこから先は、俺の望んでいたアオハルや正しい性春は訪れず、望まぬ方向で忙しい毎日だった。


 中学の終わりから高校初めの本格的に付き合うまで、千代は暴走し続けた。


 千代の元彼、佐伯は半グレの使いっ走りみたいな奴だったようで、ウチの中学の生徒を使って売春やらえっちぃ動画なんかを拡散させてた。

 ウチの中学は完全に終わってた。今でも同級生達の大半が別の中学に通っていた事にしている…


その佐伯とそのバックは千代と千代の実家・定満家から潰された。佐伯は流石に中学生だから少年院だかに行ったらしいけど。


 なのでその元カノであった千代は、中学では勿論評判が最悪。

 その悪の権化のような千代が俺を中心とした帝国制度を敷いた。


『孫一帝王に跪け、皆の衆!』


 一例として葬式明けに学校に千代が正門まで迎えに来た。

『マゴ君、準備しておいたよ!』


 俺はもしかしたら久しぶりの学校だからクラスメイトから『お疲れ様』とか『お帰り』とか言ってくれるのかな?垂れ幕とかあったりしてー?と淡い期待をした。

 俺自身は佐伯ですら特に揉めた記憶は無い、クラスメイトと仲は悪くは無かった筈だった。


 現実は残酷でクソみたいだった…

 教室のドアを開けると、絶望した顔のクラスメイトが、道を作るように左右に土下座していた。

 土下座の道の先で四つん這いになり人間椅子をする千代…俺は開いた教室のドアを再度閉めた。

 中から聞こえてくる馬鹿(千代)の雄叫び…


『マゴ君!?お前等がもっとモーゼの十戒みたいにやらないからだ!いや!?私の椅子レベルが皇帝ランクに達していなかったのか!?チクショーっ!!!』

 

 彼女はどうやら中学で、常識と俺の扱いの2つが破綻したようだ。


 そして犬山学園という高校生活。

 自由を校風とした、一芸秀でていたり、お金持ちだったり、芸能活動が盛んな学園で、定満千代はまた変な方向に頭角を現した。


 普段は肩まで切り揃えた亜麻色の髪に、少し切れある鋭い目だが、微笑んだ時は男女関係無く胸がときめく最高の笑顔。


 俺と二人の時は柔和になり過ぎて鼻が膨らみ眉は垂れ、目はまん丸の犬の様になる。


 170程ある身長に巨乳というほどでは無いがそれなりの胸に、程よく鍛えられたナイスプロモーション、勉学も酷い時に比べれば天と地程の差があり、運動神経は元から異様に高い。


 その運動能力を使って、俺がバイク通勤をしているとナンバープレートの辺りにしがみついて大通りに出るまで並走したりする。


 そんな千代は家族から言われたそうだ。


 『命をかけるというなら、お前の命はマゴ君の価値…そう思って命を使え、お前の行動がマゴ君の評価に繋がると思え』

 

 それから千代は学ぶ。謎の帝王学の本や、俺の小説サイトのアカウントでファンタジータグを付けたまま王様や軍師に転生する物語を読んでいた。

 嫌な予感しかしない、ファンタジータグを外せよ。


 しかし、そんな偏った情報と噂は一人歩きし、外面だけは奇跡的に良くなり、地域では『犬山学園の千代姫』とか謎の高評価を得た挙げく、同年代では犬山学園美女四天王のトップという謎の称号を得ていた。


『民衆の信を得てこそ名君、そして支えるは名臣』


 千代の中では俺を支える為には自分の評価を上げなければいけない、自分の能力を余すことなく他者の為に発揮する千代。最早、彼女の実力を疑う者はいない。それが彼女の首(メンタル)を〆た。


 外面は犬山学園歴代一と言われた千代だが、残念ながら本来の姿は変態的な程の本能と欲・偏ったファンタジーな知識にまみれ、躾はまだ、学校どころか動物園に入れないレベルと言った千代の姉の京香さん。


 変態か…片鱗はあった。例えば中学時代。

 アイドルと言われた千代…が、魅せる俺の教室の椅子舐め…

『ウエヘヘヘヘェェ、マゴ君、綺麗にしときやした』

 俺が座ろうとした瞬間、椅子と四つん這いになった千代が瞬時に入れ替わる人間椅子…

『オオウフッ!♥マゴ君の重みで子供袋オゥフ♥』

 正直、記録として残せない。


 そして高校…犬山学園に入ると外面と中身が離れていき、酷い事に…

 NTRビデオレターと称して意味不明な自作の一人エロ動画を2〜3日に1回送り付けてきたり、夜中に襲ってきたりやりたい放題。

 嫉妬心と独占欲、子供には見せられない欲望が加速し、千代の中身は急激に壊れていった。

 しかし周りは付き合ってる事すら知らず、俺が千代を誑かし千代が迷惑しているという噂を聞いて発狂寸前、いや、俺が千代以外の女とデート、というか、ただ遊びに行っただけで発狂した。

 

 正直、ちょっとクラスの女子と遊んだぐらいで俺が悪い?俺は悪くないと自分では思うが千代の友人で四天王の一人、一緒に遊びに行ったギャルの鬼島は言う。


「いやー、白座も悪いっしょ?だって千代があんなに好き好き言ってんのに、私と3日ぐらいだけど付き合ったり、半端に(獅子川)美音に手を出したり、(園田)レオといきなり義理の姉弟になったりしたら壊れるっしょ?」


 そう、俺は犬山学園の美女四天王全員に手を出した事になっていた。

 手を出したというか、アイツらが勝手に騒いでいただけなのに。

 千代のノイローゼというか…元からの資質が爆発し、俺に夜這や薬で眠らせて悪戯するなど奇行に走った。


 そして俺の評判といえば、高校の後半では身長が180近く伸びたとはいえ、パッとしない狐顔の俺が美女を侍らしていた…らしい。

 何故、らしい…かというと、俺にはそんな記憶無いからだ。

 さらに言えば俺は実際友達は殆どおらず、唯一の友人は近隣で最大勢力だった暴走族の頭で、同年代最強だが頭も最狂のエロゲー狂い、永井という友人しかいなかった。

 いや、もう一人いたがメンヘラレイヤー専門ナンパ師で、俺が千代と付き合ったのを知って『羨ましけしからん』と雑なナンパをし、メンヘラに長い事監禁されていたから記憶に無い。

 監禁を一芸だと言いはったのは前にも後にも彼一人。

 永井は永井で『ウ○コ食うエ□ゲ○』や『地球とセ○クスする穴』など、下ネタや、アブノーマルなエロゲーの話をでっかい声で言う…結婚を約束されていた幼馴染で同級生の赤嶺さんは息をしていない。

 よって俺の周りは評判最悪だった。

 いや、俺も永井や千代を面白いと思って煽った事はあったから多少悪いのは認めるが…


 評判最高と最悪の秘密のカップル、そんな俺達の最大のイベント…そして不知火発足の原因となったのが…


『不知火流・校門前肛門公開処刑奴隷堕とし』


 という出来事だ。

 何のことは無い…俺がどこかで千代にはもっと良い男が居る筈という空気を数回出したのをきっかけに、千代が秘密で付き合っていても心配が尽きないから公開すると騒ぐ。

 外でエ○い事をしよう(今考えると何故だ?)というから、そんなに言うならじゃあ…と思ったらまさかの登校時間の校門前噴水による公開エロだった。

 千代がコレ絶対!当たり前!みたいな雰囲気だから俺はやっただけ。

 問題は千代が何故か拡声器を持っており、喘声が大音量で朝の校門に流れた…部分が問題だったと俺は思う。


 実際、公然猥褻はやはり問題だったらしく、凄まじい人数に見られていた事もあり、とうとう収拾がつかなくなった俺は厨二病のふりをして誤魔化そうとしただけだ。


 制服が着乱れ肌は露出、見えてはいけないものが全て見え、出してはいけないものを全て出し、アヘ顔でピースしている千代の襟首を持って掲げ、厨二病のふりをした。


『我は不知火の長、白座孫一!この度、肉鎧の定満千代を、妻として召し取ったり!このモノは、これから白座千代なり!ご照覧あれ!』


 結果的に…何故か不知火という、俺が首領の極悪組織に逆らった真面目な千代が、俺を更生させようとしたが返り討ちにあい、奴隷堕ちにした…つまり全面的に俺のせいになり悪者になった。


 千代は千代でそんな噂はつゆとも知らず、公開エンゲージswichがオンしたとか訳の分からない事を言い出し、人目に憚らずイチャイチャし始めた。

 

 つまり華の高校生活が終わった。

 残りの学校生活といえば…そんなの…こうなったら千代とイチャコライチャイチャするしかないだろ…


 あんまり考えない若者のリビドーは、高校卒業寸前で子供が出来るという、分かりやすく計画性の無い家族計画を招いた。

 まぁでも悔いはない。千代なんて考えれば性格、外見、金、全てにおいてトップクラスの、本来は俺如きが結婚出来る訳ない最高の上玉。

 何だったら婿養子でもOK!皆が羨むであろう玉の輿にのったのだ!と、思うしかない。


 運が良かったのは千代の実家、同級生、友人、それらに恵まれ好かれていた事。

 これらは千代の人徳と能力の結果と言える。

 そして彼ら彼女らは皆超人だった。

 俺達から生まれた子供、孫代マシロは、スーパー金持ちの名家や実業家からアイドルまで、俺の周りの成功者全てに愛された。


 だから子育てに困らない、俺はツイテイル男!

 最高についている男だぜ!と脳内麻薬を分泌させながら責任を負わない仕事を探し、結果的に俺の実力を一番理解していた獅子川の動画サイト運営の仕事で落ち着いた。


 まぁ、獅子川は俺の長男を本人自覚無しに誘惑しまくり長男・マシロの幼馴染と本人曰く、千代からNTRした。

 中学生に指チュパした、風呂に一緒に入る等無茶苦茶だなと思ったが上司だし悪い奴ではないので放っといたが案の定マシロは獅子川に堕ちた。

 一応、獅子川は30過ぎていたとはいえ元アイドルで今は起業家、文句は無い。文句は無いが息子と同級生で友達で上司の女がイチャイチャするのは流石にキツいから見えない所でやれと思う。


 それはとにかく、不知火ね…不知火。

 結婚、出産と色々あったから親戚騒ぐかなと思ったけど特に何も無かった…と定満家の皆さんが匿ってくれたらしい。

 千代のお母さん、一代さんが新婚の夫婦に余計な負担を掛けたくないと家は定満家の敷地内に引っ越し、小さい一軒家で普通の家族持ち生活を満喫していたが…。


 実際は偉い家同士で大揉めだったらしく、さぁ大変…だったらしい。

 裏世界の特に大きい家、定満・西園寺・有栖川、それに続く名家や分家の阿修羅、藤原、来栖川、根切…の中で『定満…天獣や阿修羅が死王と皇を独占した』と騒ぎ糾弾された。

 

 それでもウチの母親が生きている間はまだ良かった。バーバは孫に一生懸命、俺は仕事、千代は定満関係で忙しく母親に見てもらう事も多かった。


 そしてマシロが小学校に入った時の入学式の写真…ランドセルを自分の稼ぎで買ってやると言っていた母親が、ランドセルを背負っている孫と写っているその写真が、最後の記録になった。


 母親は親父を愛していた。

 親父が死んだ後、マシロが生まれるまで狂ったように働き、マシロが生まれた後は西園寺家と真っ向から揉めた。


『何かしてないと、お前や千代ちゃんになにか残してやらないと…あの人の顔を思い出すんだよ…だから働いて…お前に家の事で心配させなければ、天国であの人も喜ぶだろ?』


 一代さんいわくポヤっとしたウチの母親が、仕事、そして一切関わりたくないと言って、家出した西園寺家に真っ向と立ち向かうなんておかしいとは言っていた。

 無理した…のかどうかは、分からんけどそれから7年間、最後はマシロに抱かれながら死んだ。

 マシロに泣きながら『孫六!会いたかった!』と言ったらしい。マシロ、親父には似てねーけど。


 俺だけ聞いたことある母親の弱音…病室のドアの隙間から聞こえてきた夫婦の奏でる音。


『私は…アンタに…孫六に狂ってるんだよ…幼馴染だから…子供の時からずっと…だから孫一がいて良かったよ…じゃないと…アンタを追っかけてしまう…愛しているのよ?孫六…』


『それ…は…ま、マゴ…ロッケンロー…』


『何それ?本当に…馬鹿♥(チュっ)』


 死ぬ少し前でもマゴロッケンローとか言い続けていた馬鹿…それがうちの親父。

 その後を、俺の母親が俺達の為、孫のマシロとチカの為、10年近くかけて、とうとう親父の後を追いかけていった。

 母ちゃん、おつかれさん。と冥福を祈った。


 俺は単純に過労だと思う。どう見ても働きすぎだし、それに親父の所に行きたがっていた。だけどマシロやその下の妹、チカに会えた。

 大往生だと思う。思うのは生きてる方の勝手だ。


 だが、定満家の考えは違ったらしい。

 ウチの母親がいかに西園寺家と渡り合っていたか?母親のお陰で定満は没落仕掛けたけど再興し、維持できているのもまた、定満の背後に西園寺の影がチラつく事で初めて成立していると。

 今までこれたのは白座家の面々のおかげだと言い張る…全てを知る母と父の幼馴染、千代の両親は引退と同時に、子供達に言った。


『定満家を潰してでも!孫一にだけは未来永劫、あいつ等の火の粉をかけるな!定満をかけて守り抜けっ!今こそ大恩を返す時!分かったか!?』


 母親が西園寺を止めることで、定満は有栖川や阿修羅にだけ対応出来た…と言い張る。

 俺から見れば、実際は定満家の女帝・一代さんと出来の悪い長男が化けたと言われていた辰兄と京香さんが凄かっただけだと思うが。


 聞くところによると母親が死んで勢力図が大きく変わった…分家の来栖川が本家の有栖川を乗っ取り、その来栖川の圧倒的な武力による脅しと、西園寺は後継者問題が起きていたので母親の実家、西園寺は崩壊寸前。

 阿修羅や藤原も台頭した来栖川になびき、辰兄の嫁に来ていた根切真琴さんも来栖川の圧力により根切家から断絶された。

 

 25歳の時か?その頃から千代は不知火とか言い出す。

 俺と子供達、家族を守る為、闘うと言っていた。


 俺にできる事と言ったら、それぞれの家に争いは辞めましょうと言ったり土下座含めて話し合いに行くぐらい、そうだ、永井もつれて土下座しよう。

 アイツは190ぐらいあって俳優やってるし土下座インパクトが強いだろう。

 なに、レアな昔のエロゲーやるって言えばやってくれるさ。



 


 ここまで俺が話せば、後は千代の出番だ。

 子供が出来るまでの過程は刺激が強すぎるので俺がすっ飛ばした。

 勿論、この後の千代の話は添削する。

 これ以上、恥をかくわけにはいかないからな。

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