壱 不知火の生まれた日、俺と千代の章

俺の思い出独り言…人生始まりから中学まではまともだったかな?いや、駄目だなぁ…

 俺の名は白座 孫一。

 不知火という組織の実質トップ、嫁が語れというから語る。

 俺の、俺自身の人生なんてものは大したものではない。

 大人になり、自ら振り返ればますます実感する。

 大人になって、色々分かった後だと思い出の感じ方も内容も大分違うんだなと思った。


 妻やその友人は面白がって派手にするけどな。

 んー、周りが派手なので俺も派手に見えるんだな。

 

 なんせ欠片の才能も無ければ壮大な夢も無い。

 ただダラダラ楽して楽しく生きる、楽しく生きたい。2度言うぐらい大事。

 『楽』 という字が大好きなボンクラという事だ。


 しかし楽したい…つまり何もしたくないと言うと、子供の時に医者からは早く死ぬと言われたから…人生諦めてしまっている、可哀想に…と近しい人は言うのだ。


 ウチは難病持ちの早死に家系、幼少期に医者に早死にすると言われたのは事実だが、諦めている訳ではない。それに謎の病気だから発症のタイミングもわからない。だから別に早死が決まった訳じゃない。

 もちろん痛いのは嫌だ、ただ元から俺はだらしない人間なのだ。

 だから早く死ぬなんて言われても実感は湧かない。

 ただ、痛いのはやめてくれ。本当にその程度だ。


 当時、小説を読むようになってWEB小説では異世界転生が流行っていると知った。

 いや、今も昔も流行っている、ファンタジー世界で活躍する!男のロマンだからなぁ。

 俺も転生出来るかなぁ。 転生出来たら何しようか?本当に…死んだら異世界に転生してぇなぁ。

 そんな事ばかり考えていた。まさか自分が現代のファンタジーに巻き込まれるとは思わんかったが。


 そんな自堕落な俺には弟がいた。

 アキラといって、よくじゃれついてる、可愛い自慢の弟だった。

 勉強も運動も出来て、周りには友達が沢山いる人気者。


 俺は感情が死んだような馬鹿だったが、 アキラは小学校低学年から人を惹きつける魅力と何でも出来る天才の片鱗があった。

 出来る弟と出来ない兄なんて何かで比喩されそうだが、弟はこんな俺を慕ってくれた。

 それに、俺は俺で、沢山の友達はいなくても、出来が極悪に悪い馬鹿の極みと言える幼馴染の女の子・定満 千代の面倒で忙しかった。

 どれくらい出来が悪いかって?ただの野生動物だよ…


 ある日、小学生の時か?

 何かの拍子で親族が集まった時に言われた。

 俺は破壊の片割れだか死神の生まれ変わりだとか。

 そして弟はスメラギだかスルメだかいう、いつか死神…つまり俺を滅ぼす存在だそうだ。


 大変だな、言い出した奴の精神が…(他人事)


 そして幼馴染の馬鹿の女の子、千代は天獣・天女といって、再生と本能が凄いらしく、アキラと組んで俺の相方の破壊とやらを同じ天女四人ぐらいで殺す選ばれし女らしい…俺もゲームは好きだが…RPGかな?

 まぁまぁ、つまり古くからの伝承通りだとアキラと千代に俺は殺されるらしい。ウケる(笑)


 小学生ながらこのおっさんおばさん達や老人達は何を言ってるのか?

 この現代で何を言っているのか?

 俺はこの親族共が嫌いだ、葬式とかで会うと決まってこの馬鹿みたいな話を真顔でするからだ。


 ラノベの読み過ぎ、 中二病かファンタジーの住人か?頭がヤバいと思ったものだ。

 まぁ、しかし、アキラになら殺されても良いやな。早死にするならどっちも同じ。

 だったらアキラ、転生させてくれ。

 お前程の選ばれし者てあれば、出来る!と思う。

 大丈夫、失敗しても恨まない。


 それに天女とか言われた幼馴染の千代は小学生時代は馬鹿すぎて金持ちの家にいなかったら詰んでたと思う。天女どころかすぐクソ漏らす便女だ。


「ハウスッ!」と言っても帰らない、「トイレの時は言え」と言ったら「マゴ!出た!」と事後報告。

 何かそこら辺の草や虫を食う、腹痛に襲われる等。


 まさに動物、 なんせ日本語というか言葉が単語しか話せない。ただ、とても好かれていたのは分かっていた…何ていうのか、犬的な意味で。

 刷り込み?みたいなもんだと思ってた。ずっと一緒にいたしな。

 一回放っといて遊びに行ったら殺さんばかりの勢いで飛び掛かってきて泣きながら「それは駄目」「やめろ」「ひどい」と怒られ、1日しがみついて離れなかった。


 でもまぁ死ぬ時まで、俺はコイツと一緒に、俺が死ぬ時までにはまともになれば良いかなんて軽く考えていた。

 それにアキラも千代と仲良かった。だから3人でよく遊んだ。

 年寄りの噂通りになっても…俺じゃない悪い奴でもアキラと千代なら何とかなるだろ?

 安心しろ、俺だったら、痛くないようにしてくれるなら…はい!喜んで!と、お前らの為に死んでやる。




 …ところが…小学校低学年のうちにアキラが死んだ。 何でお前だよ…死因はどうやら俺がかかると言われていた難病らしい。


 俺の家族だけは悲しみを笑いに変え、弟を見送った。 弟は悲しい空気が嫌いだったからね。


 本当はとても悲しかったけど、弟とは最後に話せたから良しとした。


「次生まれ変わっても…兄ちゃんの家族になりたい」  


 何て泣きながら言うもんだからさ…


「だったら異世界に転生しろ、 俺はお前の弟か息子になる。 そして俺のスローライフの為に有益な土壌を作って頼れる存在になれ、頼んだぞ! 」


「兄ちゃん、馬鹿か (笑) 本当にもう…それじゃ千代ちゃんと子供と一緒に僕のいる異世界に転生してね」


「あぁ、絶対行くからな??頼んだぞ!」


「アハハ…本当に…兄ちゃんは…馬鹿だ…なぁ…」


 そんな話が最後の会話だった。

 笑いの分かる弟で良かった。

 思い出してみれば家族じゃなくて子供?って思ったが千代と家族になれって事だったんだな。

 今考えると全員いっぺんに死ねってことか?

 ハード過ぎんだろ。



 しかしまぁ、俺の事は安心しろ、アキラ。

 将来、千代と結婚して出来る長男は、お前に頭も顔も似て、出来る子だ。

 しかしアキラ、まさか…異世界から更に転生してきたのか?

 そして…ふざけんなアキラ、お前が転生してきたら、俺が転生した時に1からスタートじゃねーか!と長男が赤子の時にふざけて言ったら赤子は笑った。


 何だかんだで早死にすると言われた俺は、子供を除けば一番長生きする事になる。

 何だかんだで俺は同年代の友達、ほぼ全員の最後の言葉を聞く。

 本当に…あとから考えれば親族の言う死神なんてあだ名は良く言ったもんだと思う。

 『全ての生命に死に水を それが死神』

 とか掛け軸にも書いてあったな。


 まぁしかし、アキラが死んだ事でよくわからん遠い親族まで大騒ぎしていたな…アキラ個人ではなく、アキラの才能【皇】が消えた事で…だ。

 葬式でその話するもんだから本気でイライラしたな。


 幼馴染であり天女・天獣とやらの千代の家族、定満家だけは…千代以外、まるで愛する家族が亡くなった様に悲しんでくれた。ありがたいな。

 そして…千代だけは、まるでまだ生きてるような、認めていないような言い方をした。

「寝てるだけだから!それよりも遊び行こ!」

 しかし無神経…とも取れる発言に千代の母、一代さんは千代を泣きながら叩きまくった…メッチャ怒ってた…まぁそうだろうな。一応葬式だからな。

 そして俺は、申し訳程度に千代を庇った。馬鹿過ぎるのはしょうがない。俺の監督不行き届きです。

 まぁでも、その時から千代はちゃんとしようと思ったそうだから結果オーライって事で。


 当時の事を千代に聞くと「ぐう…当時の話はその…馬鹿過ぎまして・・・申し訳ないです」 と言う。

  ただ千代がアキラから言われた言葉があり、 千代はその言葉を心から信じていただけだったんだな。


『もし寝て起きなくてもまた会えるから…ちょっと寝るだけ。いつかまた、会えるから』


 だって。雑な遺言だよ。




 そして時が経ち、小学生から中学生へ。

 馬鹿の幼馴染、千代を野に放った結果、確かに年寄り達の言う通り、中学校で化けた。

   

 美貌、性格、文武の才能、そして人を引き付ける魅力。まさに天女や女神といったチート職にクラスチェンジした。

 ポ○モンの進化じゃないが、本当に小学校から中学に上がる時に別人じゃないかと思う程…まぁずっとに一緒にいた俺は何かおかしいなとは思ったが。

 いやはやなんとも…いきなり化けたなぁと思った。


 そして、困ったことに、その能力の全ては俺の為だと千代は言う。


「マゴ君?何をすれば良い?私に出来る事はないかな?ねぇマゴ君?どうする?私、マゴ君の為なら何でもやるよ?ねぇ?お願いマゴ君!こっちを見て!何で目を逸らすの!?ねぇ!マゴ君!ちょっと!」


 正直、小学校の時とかアキラと比較して出来の悪い可愛い妹の感覚だったから、どんなになっても飼い犬的な感覚が抜けず、良くないと思ってた。

 そんな気持ちの時にそんな事言うから、大丈夫かコイツ?ってなった。

 しかし煩い犬ようだ…独り立ちして頂きたい。


 それに、正直勿体ない。

 自分の為に生きれば良いのに…もしくは俺以外の夢を持つ素晴らしい人にその力やチャンスを与えて欲しいと思った。

 なぁに、いつか旦那に黙ってへそくりの金を貸してくれればそれで良いからさ(ゲス顔)


 俺はというとすっかり小説、漫画、ゲームにはまり、親父も体調を壊したので、中学校に行かなかった事もあり千代を放置した。

「まず俺の事より学校生活を頑張れよ」と。


 すると…千代は何を思ったか、 出来ていた勉強そっちのけで突然、男と付き合いだした。

 さすが元・動物人間、人の話をろくに聞いちゃいない。

 何故、間違えた保健体育をメインに?受験勉強をしろよ… 

 でも彼氏は帰国子女で、何でも知ってる出来るイケメンと聞いたのでそれも良しと思った。


 何事も経験だ。付き合う資格は十分だ。

 何かちょっと中学生では考えられない感じのエロい事もしてるっぽかったけども、まぁそんなもんなんだろう。今どきは。エロ以外でも頑張れ千代!


『明るく!楽しく!元気よく!』


 であれば良いと思うんだよね、個人的には。

 途中、明らかに明るくなく、楽しくなく、元気も無さそうだったけど、まぁ恋愛は大変だわな。

 正直、彼氏になんか言われるのも嫌だから別れたら教えてくれ!また遊ぼうなと思った。

 俺は俺で親父が倒れて、介護でマジで地獄忙しい。


 それに俺は俺で、獅子川さんという女の子と仲良くなった。

 介護で毎日は学校に行けないのは残念だと思ったけど…たまに行く学校ではいつも獅子川さんがフォローしてくれて、これがなかなか楽しく、獅子川さんとも気があった。

 千代みたいに華やかな感じじゃないし、地味な感じだけど照れ屋で、頭の回転が早く、よく見たら可愛いんだな。

 介護が終わったら普通の青春が来るんだ、そしたらのんべんだらりと、イチャイチャと楽しく過ごすぞう!

 間違いなく脈あるしな、多分…童貞の勘違いかもだけど…いや、イケるだろ、あの頬を赤らめたメス顔は…

 そして、あわよくば獅子川さんとエロゲみたいな事を…グヘヘ


 忙しかった事もあり、妄想の中とはいえ獅子川さんへのゲスい事を考えているうちに親父は死んだ。

 わりぃな親父!でも親父もロッカーだからな。別に良いだろ?これから親父の分まで楽しく生きるぜよ(笑)


 しかし、またここから面倒くさい事の始まりだった。

 親父の葬式、これがもう面倒い事ばかり起きるのなんの。

 まず、正確には死ぬ数日前から葬式やお通夜まで本当に嫌だった。


 当時、説明するのも面倒くさいから人に言わなかったが、アキラの葬式の時とは別パターンで、俺への親族のアプローチがとにかく酷かった。

 死ぬ少し前からお見合いや養子縁組の話が大量に来た。

 以前は母が止めていたらしいが、親父の介護の心労でぶっ倒れている母にその能力は今はない。

 そもそも今回は母を通さずガンガン来た、色んな聞いたことない家の名前が並んだ。

 さらに正気を疑いたくなるような聞きたくもない話をペラペラ喋られた。


 後から考えれば大筋はウチの母親の実家が西園寺?という名家である事。

 まぁ子供の時に聞いた事はあったが…小説家になりたいから家出して絶縁だろ?確か。

 母は天女・天武とかいう暴力の素質(笑)があるらしいけど、力を失ったとか。

 んで、母の妹、つまり伯母さんの子供か、俺の子供に力が行く可能性あるらしい…へぇ。


 そして、親父の実家が本当は白座じゃなく白日はくじつという皇とかいうスーパースターの家系…これまた家出した親父が白座と名乗っているだけとか?もう訳分からないよなぁ、だから西園寺の養子になれとか。破壊の阿修羅の血が入った定満だけは許さんとか?色々いっぺんに言うな。

 

 ただ、父方の白日は元々全ての家を統べる血で短命過ぎてほぼ絶滅。

 当時は親父が一番長生きで、次いで俺らしい。

 責任感が無い奴程、長生きするのが白日って事ですか?(笑)


 要は俺の存在は種馬、つまり種馬の孫一である。


 種馬関係については、特に有栖川の分家、来栖川とやらは酷かった。皇亡き今、死神に誰がつくか、誰かと契れとか、来栖川は生贄とか言ってたな。


 何言ってるか分からないから「ハハハ、ちょっとまた後で考えます」と新聞勧誘の断りと同じ様な理由を言い続けた。


 葬式の時には、何か小学校低学年ぐらいの、怯えたちっこい女の子を連れてきて、おっさんがこの娘を差し出すから好きなようにして良いとかもう、めちゃくちゃ(笑)女の子が言うのね。

「貴方の生贄になれなければ死ぬだけです、駄目ですか?血肉一滴まで貴方様の物です、ですから…」


 生贄ってなんだよ(笑)いつから俺はカニバリズムに?(笑)

 だから抱きしめながら言ってやったね…いつか俺の所来いと、結婚は出来ないけど、俺の所に自力で来れるまで頑張れ、痩せてるから肉を付けろ!強くなれ!そしたら一緒に楽しい事しようぜ!みたいな結構適当に色々言って生きてもらう方向で説得した。


 無責任なこと言うのは良くないから今は何も出来ないけど、死ぬとか言うし、自力で脱走出来るようになったら脱走してこいと。定満家の人が何とかしてくれるから(他力本願)

よく見たら美少女だし弟死んじゃったからな、妹でもええんやで?千代も成長して手を離れ、イケメソとズッコンバッコンたからな。少し寂しいぜ。

 今となっては、誰かとジェンガとか一緒にしたり、テレビゲームとか久しぶりにしたいな。と思った。

 まさがこれが…血を断絶させる為、男の娘で…この国の生む傑物と言われる来栖川 棺という化物になるとは思わんかった。


 まぁまぁ、そんな俺への親族からのダイレクトアタックに母親が途中で気付いてブチギレ。西園寺家の自分の妹、つまり伯母さんをフルスイングでひっぱたく、来栖川の女の子の親を金的ごと蹴り上げる等、千代の母親で元要人SPの一代さんが止めるまでやりたい放題。

 お通夜はもうぐっちゃぐちゃ…俺は言ってやったね。


「俺は白座家・家長!その名は白座孫一!」


 もちろん、殆どの人や知り合いは、一瞬だけこっちみた後、また揉め始めたね。

 今考えても、だからどうしたって感じだね。


 しかし、俺の当時流行ってた『○双シリーズ』のパクリ台詞をコッソリ聞いた親族は「白日を…捨てる!?つまり定満…阿修羅と組んで全てを破壊し再生するつもりか!?」と言ってた。

 厨ニ病ここに、極まったな…俺もアンタも(笑)


 ちなみに葬儀関係の話やお金は全部、何でもやってくれるから俺が勝手に兄貴と慕う、お隣の豪邸の定満家のデキる長男・定満 辰さんに丸投げした。

 納棺からお支払いまでしっかりと最後までやってくださった。

 それと介護から葬式、母親のケアまで全てフォローしてくれた高校3年の定満家長女・京香さん。

 二人には未だに頭が上がらない、高校生の俺の頭のキャパでは、下手すりゃ意味が分からなさすぎて、親父の死体置いてノイローゼ気味の母ちゃん連れて逃げてたわ。

 辰さんはまだ、大学入ったばかりなのに全部仕切る出来た男…爪の垢を煎じて飲みたいわ(笑)


 その葬儀で、母が親族と揉めて葬儀後半は一部しか居なくなり、辰さんが介入して全部仕切るからやっと落ち着いてお別れ気分になった。

 一応、ろくに行ってない学校関係で世話になった同級生の田中君と獅子川さん、赤嶺さんも呼んだ。

 獅子川さんが凄い勢いで泣きじゃくり始めた、嬉しいけども…こんなテンションだっけ?しかも抱きついてきた… 

 コレ押せばイケる系だな。しかしちょっと情緒不安定な所あり、要警戒と脳内メモに書き込んだ。

 メンヘラには気をつけようとか、その時は思っていた。 

 赤嶺さんは脇汗で制服が濡れてた、汗嶺のあだ名は伊達じゃないな。


 葬儀の終わりに何か千代が問題を起こしたとかで、定満一家で騒ぎになってるらしい。

 忘れていたが、そう言えば…少し前に千代の彼氏含めた複数人で行う行為、それはまぁ破廉恥な動画みたいなのが送られてきたから、流石に中学でそれは人としてヤバいから程々にしときなよって返事した事を思い出した。

 後、マゴ君も一緒にみたいな事言うから流石に俺もそんなハードなエロゲみたいな事はしたくないのではっきり拒否した。


 後、千代の彼氏から「千代は俺のものだ」みたいなメール来てたからね。

 千代が俺を巻き込もうとあんなこと言うもんだから、怒ってんだろう。

 まぁでもソイツからも複数人でする破廉恥な動画きたから「程々にな」って返しといた。

 最近の中学は凄いなと、思った。


 そんな千代とのやり取りを、千代の姉の京香さんが後ろから見ててブチ切れてた。

 最初、妹のエロ動画見てニヤつく変態と思われてキレたのかと思ったら、普通に千代にキレてた。

 まぁまぁそんなに怒らんでもと言っても『私が何でもしてあげる、私が孫君を救ってあげる…だからあの妹の事はもう忘れて…』と取り付く島もない。参ったな。

 でも、個人的には千代も頑張ってると思うから、話だけでもとしつこく言ったら何とかなった。


 知ってんだけど京香さんは俺の粘りに弱い。

 そして本人が俺に何かの間違えで好意があったとしても、ぶっちゃけ姉にしか見えないのが残念な所。将来医者確定だから最高のヒモ何だけどなぁ。

 そう、本人には言わないが一切性欲がわかない。

 下手すりゃ母ちゃんポジだ。

 幼馴染や姉に色々湧かないってアレ本当よ?

 もし皆湧くとしたら、思春期前に少し離れたり、ずっと昔から好意があった場合のみだ。

 これで性欲湧いたら姉や妹居るやつ、皆近親相姦地獄だよ…

 


 そして葬儀も終わりに近付き…何故か千代が血塗れでバットマンのコスプレみたいな格好で登場した。ウワァ!凄い(笑)

 まぁでも、親族のクソ話含めウンザリしてたからぶち壊す気配丸出しで登場は嬉しかった。

 大人になったとはいえ、さすが千代…いや、正直、動物の千代がぶち壊してくれる事を期待していた。


 この時に親族、特に西園寺と来栖川の人から、千代はいつか、他の3人の天女と共に俺を殺す可能性があるから定満…特に千代とは距離を取れ、自分達は資格を失っているから安心しろとか、言われた事を思い出した。何言ってんのか分からないよ?

 

 千代が高級車から降りて歩いてくる…何か血塗れのバットマンの格好で…近くに来ると涙目で怯えている…捨てられた仔犬のようだ…何で? 

 その後も漏らしたり足舐めたりズボン脱がしたり…あまりに無茶苦茶だからやさ~しくビンタしたら葬儀場に響き渡る声で奇声をあげたり大変だったな。


 どうやってこの珍生物が俺を殺すというのか?

 でも不思議と昔、アキラに俺は殺されると聞いた時に、すんなり受け入れられた様に…千代になら殺されても良いと思ってしまったんだな、コレが。

 だから自然体ですんなり千代を受け入れたけど…





 後から千代に聞いたんだけど、葬儀の時は俺の雰囲気と目が凄かったらしい。

 その後軽くビンタした筈なのに肉体と魂がズレて全部の神経が悲鳴をあげたらしい。何だそれ?

 直前までバタバタしてたし、疲れてたからだろって言ったけど…


 そして妻で天女・天獣とやらで不知火の御館代行とか言う極道の妻みたいになってる千代が…未だに言うんだ。

 俺があん時は大変だったなぁって、そして早く不知火を解散しろって話をすると…


『もし、私が天女とやらでマゴ君と闘うなんてなったら…あの葬儀の時のマゴ君と闘うなんて考えられない…例え私がマゴ君を愛してなくて、他人であっても勝てる気がしない…葬儀の時、色々言わなきゃいけない事があったのに…目があった瞬間に腰抜かして漏らして…赦しを乞う事しか出来なかった…私が組織を形成するのは…もしマゴ君が死神として、同じ格と言われるの【破壊】と相対した時にマゴ君を守る為。ゴメンナサイ…マゴ君と同じ格だったら…私一人じゃ…勝てる気がしないの…組織化…するしかないの…』


『ビンタされた時、悟ったの…私はマゴ君の奴隷になる為に生まれてきたんだって。私、思うんだよね…伝承だと魅了されていたからとか言うけど…天女は死神じゃなくて破壊を襲ったでしょ?それって嫉妬じゃないかなぁって。だって…もしこんな…大切な人を突然現れた奴に奪われると思うと…破壊に奪われると思うと…ぐぅ…うぅ…グス…』


 こんな話を2児の親になってもまだ言い続ける…

 これでも世間的には凄い慕われてるらしい…

 俺的にはそろそろ病院で処方箋を貰った方が良いと思うが…更年期とか心配だし…


 とまぁこの後、高校在学中に気付けば不知火ができる話になるんだけど…誰も興味無いだろ?なぁ千代。

 続けるとしてもお前が書くと官能小説になって消されるんだろ。

 はい、じゃあぼちぼち続き書くよ…

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